新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンAZD1222(ChAdOx1 nCoV-19、AstraZeneca製)は、高齢者を含む多様な集団においてCOVID-19の発症・重症化を安全・有効に予防することが示された。米国・ロチェスター大学のAnn R. Falsey氏らが、米国、チリ、ペルーにおいて現在進行中の、高齢者を含む3万例超を対象とした第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「AZD1222試験」の結果を報告した。同3ヵ国では、AZD1222の安全性および有効性が明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月29日号掲載の報告。
米国、チリ、ペルーで3万2,451例を対象に試験
試験は、米国、チリ、ペルーで高齢者を含む成人集団を対象に、AZD1222の2回投与の安全性、有効性、免疫原性をプラセボと比較し、AZD1222の2回目投与後15日以降のCOVID-19発症および重症化の予防効果を調べた。
研究グループは被験者3万2,451例を2対1の2群に分け、一方にはAZD1222を(2万1,635例)、もう一方にはプラセボを(1万816例)投与した。
完全接種者約1万8,000人中重症者はなし
AZD1222群は重篤・医師の診察を要する有害事象や、特定の有害事象の発生率は低く、安全であることが確認された。事象はプラセボ群で観察されたものと類似しており、非自発的な局所および全身性反応は、両群において概して軽度または中等度だった。
ワクチンの推定有効率は、全体で74.0%(95%信頼区間[CI]:65.3~80.5、p<0.001)、65歳以上では83.5%(54.2~94.1)だった。ワクチンの高い有効性は、年齢や職業などの人口統計学的サブグループにおいても一貫して認められた。
完全接種者(AZD1222またはプラセボ2回接種後15日以降)を対象に行ったサブグループ解析では、重症または命に関わるCOVID-19の発症例は、AZD1222群1万7,662例では認められなかった。一方、プラセボ群8,550例では8例(<0.1%)報告された。
SARS-CoV-2感染予防(ヌクレオカプシド抗体セロコンバージョン)の推定有効率は64.3%(95%CI:56.1~71.0、p<0.001)だった。SARS-CoV-2スパイクタンパク質結合と中和抗体は初回投与後に増加し、2回目投与後28日の測定ではさらに増加が認められた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)