モルヌピラビル、新型コロナの入院・死亡リスクを低減/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/06

 

 重症化リスクがあるワクチン未接種の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人患者について、モルヌピラビルによる早期治療(発症後5日以内に開始)は、入院または死亡リスクを低減することが、コロンビア・IMAT OncomedicaのAngelica Jayk Bernal氏らによる第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験で示された。試験は約1,400例を対象に行われ、29日間の入院または死亡の発生リスクは中間解析で-6.8ポイント差、全解析で-3.0ポイント差であったという。モルヌピラビルはSARS-CoV-2に対し活性を示す、経口小分子抗ウイルスプロドラッグである。NEJM誌オンライン版2021年12月16日号掲載の報告。

発症後5日以内に治療開始、800mgを1日2回、5日間投与

 研究グループは、検査によりCOVID-19が確認され、重症化リスクが少なくとも1つあるワクチン未接種の軽症~中等症の成人患者を対象に、症状発症後5日以内に開始したモルヌピラビルによる治療の有効性と完全性を検証した。

 被験者は無作為に2群に割り付けられ、一方にはモルヌピラビル800mgを1日2回5日間投与し、もう一方にはプラセボを投与した。

 主要有効性エンドポイントは、29日時点での入院または死亡の発生。主要安全性エンドポイントは、有害事象の発現頻度とした。

 目標登録患者数1,550例の50%が29日間の追跡を受けた時点で、事前に規定した中間解析を行った。

対プラセボの入院/死亡リスク、中間解析で-6.8ポイント差

 被験者1,433例が無作為化を受け、716例がモルヌピラビル群に、717例がプラセボ群に割り付けられた。両群のベースライン特性は、性別の偏り(女性がモルヌピラビル群のほうが多く、中間解析では7.6ポイント差、全解析では4.7ポイント差)を除けば類似していた。

 中間解析(15ヵ国78地点で775例が登録)では、モルヌピラビル群の優越性が示された。29日間のあらゆる入院または死亡のリスクは、モルヌピラビル群(385例中28例、7.3%)がプラセボ群(377例中53例、14.1%)よりも有意に低下した(群間差:-6.8ポイント、95%信頼区間[CI]:-11.3~-2.4、p=0.001)。

 無作為化を受けた全被験者を対象とした解析でも、29日間の入院または死亡の発生率は、プラセボ群(699例中68例、9.7%)よりも、モルヌピラビル群(709例中48例、6.8%)が低率だった(群間差:-3.0ポイント、95%CI:-5.9~-0.1)。

 サブグループ解析は全体解析とほぼ一貫した結果だったが、SARS-CoV-2感染既往者や、ベースラインウイルス量が低値の感染者、糖尿病患者などでは、推定群間差がプラセボ群で良好だった。

 29日間の死亡は、プラセボ群9例、モルヌピラビル群1例だった。有害事象の発生率は、それぞれ33.0%(701例中231例)、30.4%(710例中216例)だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 小金丸 博( こがねまる ひろし ) 氏

東京都健康長寿医療センター 感染症内科専門部長

J-CLEAR推薦コメンテーター