パニック障害の治療に有効なSSRI、最も効果的なのは?/BMJ

パニック障害の治療において、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は寛解率が高く有害事象のリスクは低いことが、タイ・マヒドン大学のNatasha Chawla氏らのメタ解析で示された。SSRIの中ではセルトラリンとエスシタロプラムで良好な結果が得られた。しかし、著者は、「これらの知見は、研究内バイアス、不一致、および報告された所見の不正確さによりエビデンスレベルが『非常に低い』~『中程度』の研究に基づいているため、注意して解釈する必要がある」とまとめている。BMJ誌2022年1月19日号掲載の報告。
パニック障害の薬物療法に関する87件の臨床試験を評価
研究グループは、広場恐怖症を伴うパニック障害の治療において、寛解率が高く有害事象のリスクが低い薬剤クラス、ならびに個々のSSRIを特定する目的で、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を行った。Embase、Medline、ClinicalTrials.govを用いて2021年6月17日までに公表された研究を検索した。適格研究は、パニック障害と診断された18歳以上の成人患者を対象に、薬物を用いた介入による寛解、脱落、有害事象などを、無治療(プラセボや待機)または実薬と比較した無作為化試験とした。
改訂版コクランバイアスリスクツールを用いて各試験のバイアスリスクを評価し、ランダム効果モデルを用いて直接メタ解析を行うとともに、SUCRA(Surface under the cumulative ranking curve)を用いた2段階法のネットワークメタ解析により、薬剤クラスと個々のSSRIの効果の比較を推定した。
計1万2,800例、12の薬剤クラスを含む87件の臨床試験が解析に組み込まれた。
SSRIの有益性が示されたが、ほとんどの試験はバイアスリスクが高かった
ほとんどの試験は、いくつかの懸念があるかバイアスリスクが高く、バイアスリスクが低いと見なされたのは1試験のみであった。寛解に関するネットワークメタ解析では、プラセボと比較し、三環系抗うつ薬(リスク比:1.39、95%信頼区間[CI]:1.26~1.54)、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬(1.47、1.36~1.60)、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)(1.30、1.00~1.69)、SSRI(1.38、1.26~1.50)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)(1.27、1.12~1.45)で、一貫して有意に高い寛解率が得られた。
SUCRAでは、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬(84.5%、平均ランク=2.4)、三環系抗うつ剤(68.7%、3.8)、SSRI(66.4%、4.0)が寛解のための治療薬ベスト3であった。しかし、三環系抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系抗うつ薬、SSRIは、プラセボと比較して有害事象のリスクも有意に増加し、リスク比はそれぞれ1.79(95%CI:1.47~2.19)、1.76(1.50~2.06)、1.19(1.01~1.41)であった。
介入に関連した有害事象のリスク増加については、ネットワークメタ解析で当初一貫性に欠けることが示されたが、女性患者あるいは広場恐怖症を有する患者の割合が高いことが不一致の原因と特定され、これらの試験を除外すると一貫性に欠けることは改善されたもののまだ不一致が存在する可能性が示唆された。
寛解と有害事象の両方を考慮した全薬剤クラスのSUCRAクラスターランキングプロットでは、SSRIは寛解率が高く有害事象のリスクが低いことが示された。個々のSSRIについては、セルトラリンとエスシタロプラムで寛解率が高く、有害事象のリスクは容認可能であった。
(ケアネット)
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