新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンCoVLP+AS03(カナダ・Medicago製)は、各種変異株によるCOVID-19の予防に有効で、症候性COVID-19に対する有効率は69.5%、中等症~重症COVID-19に対する有効率は78.8%であったことを、カナダ・MedicagoのKaren J. Hager氏らが第III相無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。CoVLP+AS03ワクチンは、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)という植物で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質を発現させ形成されたコロナウイルス様粒子(CoVLP)と、アジュバントシステム03(AS03)を組み合わせた、新しい植物由来COVID-19ワクチンである。NEJM誌オンライン版2022年5月4日号掲載の報告。
2021年3月~9月、南・北米で約2万4,000人を対象に無作為化プラセボ対照試験
研究グループは、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、メキシコ、英国および米国の85施設において、SARS-CoV-2に対するワクチンの接種歴がなく、確認されたCOVID-19の既往もない18歳以上の成人を、CoVLP+AS03ワクチン群またはプラセボ群に1対1の割合に無作為に割り付け、それぞれ21日間隔で2回筋肉内注射した。
主要評価項目は、2回接種後7日以降のRT-PCR法で確認された症候性COVID-19発症に対する有効性である。事後解析として中等症~重症COVID-19に対する有効性なども評価した。
ワクチンの有効性は100×(1-発生率比)で算出し、発生率比はプラセボ群に対するワクチン群のCOVID-19発生率(人年当たり)の比と定義した。
解析は、RT-PCR法で確認されたCOVID-19症例が160例以上認められた後、中央値で2ヵ月以上の安全性追跡調査を経て行った。なお、本試験は2021年3月15日~9月2日に実施され、有効性解析および安全性解析のデータカットオフ日はそれぞれ2021年8月20日および同年10月25日であった。
計2万4,141例が無作為化され、intention-to-treat集団に含まれた(ワクチン群1万2,074例、プラセボ群1万2,067例)。対象の年齢中央値は29歳で、14.8%はベースライン時に血清陽性であった。
有効率は69.5%、中等症~重症化の予防効果は78.8%
2021年8月20日時点で、RT-PCR法で確認されたCOVID-19はintention-to-treat集団で165例(ワクチン群40例、プラセボ群125例)であり、全体におけるワクチンの有効率は69.5%(95%信頼区間[CI]:56.7~78.8)であった。165例中122例でウイルスの配列が同定され、デルタ株56例(45.9%)、ガンマ株53例(43.4%)、アルファ株6例(4.9%)、ミュー株4例(3.3%)、ラムダ株3例(2.5%)であった。
事後解析の結果、ベースライン時の血清陰性集団における有効率は74.0%(95%CI:62.1~82.5)であった。また、中等症~重症COVID-19に対する有効率は、intention-to-treat集団で78.8%(55.8~90.8)、血清陰性集団で86.0%(66.2~95.1)であった。
ワクチン群では重症COVID-19は認められず、感染例におけるCOVID-19診断時のウイルス量中央値は、ワクチン群と比較してプラセボ群で100倍以上高かった(ワクチン群3.46 log
10コピー/mL、プラセボ群5.65 log
10コピー/mL)。
非自発的な有害事象はほとんどが軽度または中等度で、一過性であった。発現率はワクチン群がプラセボ群よりも高かった(局所有害事象:92.3% vs.45.5%、全身性有害事象:87.3% vs.65.0%)。また、自発報告による有害事象の発現率(ワクチン群vs.プラセボ群)は、接種後21日目まで(22.7% vs.20.4%)、ならびに43日目から201日目まで(4.2% vs.4.0%)のいずれも、両群で同程度であった。
(ケアネット)