非低リスクの非浸潤性乳管がん、ブースト照射が再発抑制/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2022/08/19

 

 乳房温存手術を受けた非低リスクの非浸潤性乳管がん(DCIS)患者において、全乳房照射(WBI)後の腫瘍床へのブースト照射(追加照射)は、Grade2以上の有害事象が増加したものの局所再発が有意に低下することが示された。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のBoon H. Chua氏らが、多施設共同無作為化非盲検第III相試験「BIG 3-07/TROG 07.01試験」の結果を報告した。DCISに対する乳房温存手術後のWBIは局所再発を減少させるとの強く一貫したエビデンスが、無作為化試験により示されている。一方で、ブースト照射および分割照射の有効性について前向きに検討する必要性が示唆されていた。Lancet誌2022年8月6日号掲載の報告。

DCIS患者の約1,600例、従来型WBI/寡分割WBI後の±ブースト照射で検証

 研究グループは、11ヵ国(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、カナダ、オランダ、ベルギー、フランス、スイス、イタリア、アイルランド、英国)の136施設において、片側性の非低リスクDCISで乳房温存手術を受けた切除断端1mm以上の18歳以上の女性(50歳未満、症候性、触知可能な腫瘍、腫瘍径15mm以上、多巣性、核グレードが中または高、中心壊死、面疱型、切除断端10mm未満などのうち少なくとも1つのリスク因子を有する)を登録した。

 試験開始前に、各参加施設は3つのカテゴリーのうちいずれか1つへの参加を選択した。カテゴリーAでは、患者を従来型WBI(50Gy/25回)群、寡分割WBI(42.5Gy/16回)群、従来型WBI+ブースト照射(16Gy/8回)群、寡分割WBI+ブースト照射群の4群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けた。カテゴリーBでは従来型WBI群、従来型WBI+ブースト照射群の2群に、カテゴリーCでは寡分割WBI群、寡分割WBI+ブースト照射群の2群に、それぞれ1対1の割合で無作為に割り付けた。なお、治療の割り付けに関して、患者および医師ともに盲検化されなかった。

 主要評価項目は、局所再発までの期間(主要解析はブースト照射の有効性の評価)、副次評価項目は、乳がん再発までの期間、全生存期間、毒性、整容性(手術および放射線治療後の乳房の外観)であった。

 2007年6月25日~2014年6月30日の期間に、計1,608例が、ブースト照射なし群(805例)またはブースト照射群(803例)に無作為に割り付けられた。従来型WBIは831例、寡分割WBIは777例に実施された。

5年無局所再発率は、ブースト照射なし92.7% vs.ブースト照射あり97.1%

 追跡期間中央値6.6年において、5年無局所再発率はブースト照射なし群92.7%(95%信頼区間[CI]:90.6~94.4%)、ブースト照射群97.1%(95.6~98.1%)であった(ハザード比[HR]:0.47、95%CI:0.31~0.72、p<0.001)。

 ブースト照射群はブースト照射なし群より、Grade2以上の乳房痛(14%[95%CI:12~17]vs. 10%[95%CI:8~12]、p=0.003)および硬結(14%[11~16]vs. 6%[5~8]、p<0.001)の発現頻度が高かった。

 著者は、術後補助内分泌療法の順守に関するデータがないこと、民族性に関する情報が収集されておらず一般化可能性は制限される可能性があることを研究の限界として挙げたうえで、「今回の結果は、乳房温存手術を受けた非低リスクDCIS患者において、WBI後のブースト照射を支持するものである」とまとめている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)