メトトレキサート(MTX)による維持療法を受けている関節リウマチ(RA)患者において、インターロイキン-6(IL-6)を直接の標的とするヒト化モノクローナル抗体であるolokizumabを併用すると、12週の時点における米国リウマチ学会基準の20%の改善(ACR20)の達成に関して、プラセボと比較して優越性を示し、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体アダリムマブに対し非劣性であることが、オーストリア・ウィーン医科大学のJosef S. Smolen氏らが実施した「CREDO2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年8月25日号に掲載された。
世界209施設の無作為化プラセボ対照・実薬対照第III相試験
CREDO2試験は、RA治療におけるMTXへのolokizumab追加の有効性と安全性の評価を目的とする24週間の二重盲検無作為化プラセボ対照・実薬対照第III相試験であり、2016年5月~2019年11月の期間に、米国、欧州、英国、アジア(韓国、台湾)、中南米の209施設で参加者の登録が行われた(ロシアR-Pharmの助成による)。
対象は、年齢18歳以上、活動性のRAで、ACR-EULAR分類基準(2010年改訂版)を満たし、12週間以上にわたりMTX(15~25mg/週、この用量で許容されない有害事象がみられる場合は≧10mg/週[韓国は≧7.5mg/週])の効果が不十分で、66関節中腫脹関節が6ヵ所以上、68関節中圧痛関節が6ヵ所以上、C反応性蛋白>6mg/Lの患者であった。
被験者は、24週にわたり、olokizumab(64mg)を2週ごと、同4週ごと、アダリムマブ(40mg)を2週ごと、プラセボを2週ごとに投与する群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けられた。全例でMTXの投与が継続された。
主要エンドポイントは、12週の時点におけるACR20(圧痛・腫脹関節数が20%以上減少、他の5つの項目のうち少なくとも3項目で20%以上の改善)の達成とされた。ACR20の達成について、olokizumab群のプラセボ群に対する優越性の評価とともに、olokizumab群のアダリムマブ群に対する非劣性の評価が行われた(非劣性マージンは、群間差の97.5%信頼区間[CI]下限値が-12ポイントとされた)。
3割以上で感染症が発現
1,648例(intention-to-treat集団)が登録され、olokizumab 2週ごと投与群に464例、同4週ごと投与群に479例、アダリムマブ群に462例、プラセボ群に243例が割り付けられた。これら4つの群の平均年齢の幅は53.3~54.7歳で、女性の割合の幅は75.9~78.9%であった。1,479例(89.7%)が24週の投与を完遂した。
プラセボ群における12週時のACR20の達成割合は44.4%であった。これに対し、olokizumabの2週群のACR20達成割合は70.3%(プラセボ群との差:25.9ポイント、97.5%CI:17.1~34.1)、同4週群は71.4%(27.0ポイント、18.3~35.2)、アダリムマブ群は66.9%(22.5ポイント、95%CI:14.8~29.8)であり、2つの用量のolokizumab群はいずれも、プラセボ群に比べ有意に優れた(いずれもp<0.001)。
また、12週時のACR20の達成割合に関して、2つの用量のolokizumab群はいずれも、アダリムマブ群との差の97.5%CI下限値が-12ポイントを上回っておらず(olokizumabの2週群:3.4ポイント[97.5%CI:-3.5~10.2]、同4週群:4.5ポイント[-2.2~11.2])、2つのolokizumab群のアダリムマブ群に対する非劣性が示された。
一方、試験薬の1回目の投与以降に、初めて発現または重症度が悪化した有害事象が少なくとも1件認められた患者の割合は全体で68.0%であった(olokizumab 2週群 70.0%、同4週群70.9%、アダリムマブ群65.4%、プラセボ群 63.4%)。最も頻度の高い有害事象は、感染症(鼻咽頭炎、上気道感染症、尿路感染症など)だった(30.2%、34.0%、32.0%、34.6%)。また、試験薬の投与中止の原因となった有害事象は、それぞれ4.5%、6.3%、5.6%、3.7%で、重篤な有害事象は、4.8%、4.2%、5.6%、4.9%で認められた。
olokizumabに対する抗体は、2週群が3.8%、4週群は5.1%で検出された。
著者は、「RA患者におけるolokizumabの有効性と安全性を明らかにするには、より大規模で長期の試験が求められる」としている。
(医学ライター 菅野 守)