重度虚血性左室収縮障害患者において、至適薬物療法に加え経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の実施は、全死因死亡または心不全による入院の低減には結び付かなかった。半年、1年後の左室駆出分画率(LVEF)は同等で、2年後のQOLスコアについても有意差はなかった。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのDivaka Perera氏らが、700例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2022年8月27日号で発表された。重度虚血性左室収縮障害患者においてPCIによる血行再建は、無イベント生存および左室機能を改善するが、至適薬物療法単独(心不全について個別に調整した薬物療法およびデバイス療法など)との比較検討は行われていなかった。
LVEF 35%以下でPCI適応、心筋生存能ある患者を無作為化
研究グループは、LVEFが35%以下でPCI適応、心筋生存能の認められる患者を無作為に2群に分け、一方にはPCI+至適薬物療法を(PCI群)、もう一方には至適薬物療法のみを行った(至適薬物療法群)。
主要アウトカムは、全死因死亡または心不全による入院の複合だった。主要副次アウトカムは、6ヵ月時点および12ヵ月時点のLVEFとQOLスコアだった。
主要アウトカム発生率、両群ともに約37~38%
合計700例が無作為化を受けた(PCI群347例、至適薬物療法群353例)。
追跡期間中央値41ヵ月において、主要複合アウトカムの発生は、PCI群129例(37.2%)、至適薬物療法群134例(38.0%)だった(ハザード比[HR]:0.99、95%信頼区間[CI]:0.78~1.27、p=0.96)。
LVEFについても両群で同等で、6ヵ月時点の平均群間差は-1.6ポイント(95%CI:-3.7~0.5)、12ヵ月時点は0.9ポイント(-1.7~3.4)だった。
6ヵ月および12ヵ月時点のカンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)などで評価したQOLスコアは、PCI群で高かったものの、24ヵ月時点で両群間の差は縮小していた。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)