グラム陰性菌尿路感染症、CFPM/enmetazobactamがPIPC/TAZに優越性/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/17

 

 グラム陰性菌が原因の複雑性尿路感染症(UTI)または急性腎盂腎炎の患者において、セフェピム/enmetazobactam(CFPM/enmetazobactam)はピペラシリン/タゾバクタム(PIPC/TAZ)と比較して、臨床的治癒と微生物学的根絶の主要アウトカムに関して非劣性および優越性の基準を満たした。米国・Robert Wood Johnson Medical SchoolのKeith S. Kaye氏らが世界90施設で行った第III相無作為化二重盲検実薬対照非劣性試験の結果を報告した。セフェピム/enmetazobactamは、新規のβラクタム/βラクタマーゼ阻害薬配合剤で、薬剤耐性グラム陰性菌感染症に対して経験的治療となる可能性が示唆されていた。今回の試験の結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、セフェピム/enmetazobactamの複雑性UTIおよび腎盂腎炎の治療における位置付けの可能性を確認する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年10月4日号掲載の報告。

事前規定の非劣性マージンは-10%とし比較検証

 研究グループは、2018年9月24日~2019年11月2日、欧州、北中米、南米、南アフリカの90施設で、18歳以上成人でグラム陰性菌による複雑性UTIまたは急性腎盂腎炎と診断された患者において、セフェピム/enmetazobactamはピペラシリン/タゾバクタムに対して、主要有効性アウトカムについて非劣性か否かを検証した。最終フォローアップは、2019年11月26日。

 適格患者は無作為に2群に割り付けられ、セフェピム2g/enmetazobactam 0.5g(520例)またはピペラシリン4g/タゾバクタム0.5g(521例)を、8時間ごと2時間静注で7日間(ベースラインで血液培養陽性患者は最長14日間)投与を受けた。

 主要アウトカムは、主要解析対象患者(ベースラインで、グラム陰性菌はいずれの治療に対しても耐性を有しておらず尿培養≧105CFU/mL、または血液・尿培養で同一病原体が認められ試験薬を任意量投与された患者)において、全体的治療成功(感染症の臨床的治癒と微生物学的根絶[尿中<103CFU/mL]が認められた場合として定義)を達成した患者の割合であった。

 両側95%信頼区間(CI)は階層化Newcombe法を用いて算出し、事前規定の非劣性マージンは、-10%とした。非劣性が示された場合、優越性の比較を行うことも事前に決められていた。

全体的治療成功率は79.1% vs.58.9%

 1,041例(平均年齢54.7歳、女性573例[55.0%])が無作為化を受け、1,034例(99.3%)が試験薬を投与され、995例(95.6%)が試験を完遂した。

 主要解析対象患者において、主要アウトカムの発生は、セフェピム/enmetazobactam群79.1%(273/345例)、ピペラシリン/タゾバクタム群58.9%(196/333例)であった(群間差:21.2%[95%CI:14.3~27.9])。

 治療関連有害事象の発生は、セフェピム/enmetazobactam群50.0%(258/516例)、ピペラシリン/タゾバクタム群44.0%(228/518例)であった。重症度は軽度~中等度がほとんどであった(それぞれ89.9% vs.88.6%)。

 有害事象のために治療完遂できなかった患者は、全体でセフェピム/enmetazobactam群1.7%(9/516例)、ピペラシリン/タゾバクタム群0.8%(4/518例)であった。

(ケアネット)