内視鏡での大腸がん検診、がんリスクを減らせるか/NEJM

大腸がんのスクリーニングとして大腸内視鏡検査を勧められた集団は、スクリーニングを受けなかった集団と比較して、10年後の大腸がんによる死亡リスクには大きな差はなかったが、大腸がんの発症リスクが18%低下したことが、ノルウェー・オスロ大学のMichael Bretthauer氏らが実施した「NordICC試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年10月9日号で報告された。
4ヵ国の実践的な無作為化試験
NordICC試験は、大腸内視鏡によるスクリーニング検査が大腸がんのリスクを改善するかの検証を目的とする実践的な多施設共同無作為化試験であり、2009年6月~2014年6月の期間に、4ヵ国(ポーランド、ノルウェー、スウェーデン、オランダ)で参加者が募集された(ノルウェー研究評議会[RCN]などの助成を受けた)。この報告では、オランダを除く3ヵ国のデータの解析結果が示された。対象は、4ヵ国の1つに居住する年齢55~64歳の健康な男女で、過去に大腸がんの診断およびスクリーニング検査を受けたことがない集団であった。被験者は、大腸内視鏡によるスクリーニング検査の勧奨を受ける群(勧奨群)、または勧奨およびスクリーニングを受けない群(通常治療群)に、1対2の割合で無作為に割り付けられた。
主要エンドポイントは大腸がんおよび大腸がんによる死亡のリスクとされ、副次エンドポイントは全死因死亡であった。
1人の大腸がん予防の勧奨必要数は455人
8万4,585人(年齢中央値59歳、男性50.1%)が解析に含まれた。勧奨群に2万8,220人、通常治療群に5万6,365人が割り付けられた。勧奨群のうち実際にスクリーニングを受けたのは1万1,843人(42.0%)であった。追跡期間中央値は10.0年。ポリープ切除後の大出血が15例(0.13%)で発現した。大腸内視鏡後30日以内に、腸管穿孔およびスクリーニング関連死はみられなかった。
大腸がんと診断されたのは、勧奨群が259人、通常治療群は622人であった。intention-to-screen解析では、10年の時点での大腸がんのリスクは、勧奨群が0.98%、通常治療群は1.20%であり、勧奨群で18%のリスク低下が認められた(率比:0.82、95%信頼区間[CI]:0.70~0.93)。
また、1人の大腸がんの予防に要するスクリーニングの勧奨必要数(number needed to invite)は455人(95%CI:270~1,429)だった。
10年時までの大腸がんによる死亡リスクは、勧奨群が0.28%(72人)、通常治療群は0.31%(157人)であった(リスク比:0.90、95%CI:0.64~1.16)。全死因死亡のリスクは、それぞれ11.03%および11.04%だった(リスク比:0.99、95%CI:0.96~1.04)。
著者は、「今回の結果は、大腸がんの予防のための大腸内視鏡によるスクリーニングの有効性を定量的に示すものであり、これにより、意思決定を行う者はがんのスクリーニングや保健サービスのための医療資源の優先順位を適切に決めることが可能になると考えられる」とし、「大腸内視鏡によるスクリーニングの効果を完全に把握するには、より長期の追跡調査が必要だろう」と指摘している。
(医学ライター 菅野 守)
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大腸内視鏡検診が大腸がんおよび関連死亡のリスクに及ぼす影響(解説:上村直実氏)
コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏
国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長
東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授
J-CLEAR評議員