早期パーキンソン病へのdeferiprone、疾患進行に有効か?/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/09

 

 レボドパ製剤による治療歴がなく、ドパミン作動薬の投与が予定されていない早期パーキンソン病患者において、deferiproneによる36週間の治療はプラセボと比較して、パーキンソン病の臨床的な悪化が認められたことが、フランス・リール大学のDavid Devos氏らにより欧州の23施設で実施された医師主導の第II相無作為化二重盲検比較試験「FAIR PARK II試験」の結果、示された。パーキンソン病患者では黒質の鉄量増加が認められており、疾患の病態生理に寄与している可能性が示唆されている。鉄キレート剤のdeferiproneは、パーキンソン病患者の黒質線条体の鉄量を減少させることが、初期の研究で示されていたが、疾患進行に対する有効性は不明であった。NEJM誌2022年12月1日号掲載の報告。

deferiproneを36週間投与、MDS-UPDRS総スコアの変化量を評価

 研究グループは、新たにパーキンソン病と診断され、レボドパ製剤の投与歴がない18歳以上の患者を、deferiprone(1回15mg/kg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、1日2回36週間経口投与した。症状のコントロールのために必要と判断された場合を除き、ドパミン作動薬は投与しないこととした。

 主要評価項目は、運動障害疾患学会・改訂版パーキンソン病統一スケール(MDS-UPDRS)の総スコア(範囲:0~260点、スコアが高いほど障害が大きい)の36週時のベースラインからの変化量であった。

 副次評価項目は、36週または40週時のMDS-UPDRSパートIIおよびIIIのスコア、パートIIとIIIの合計スコアであった。探索的評価項目は、MDS-UPDRSパートIのスコア、モントリオール認知評価(MoCA)スコア、パーキンソン病質問票(PDQ-39)で評価した疾患関連QOL、MRIを用いて評価した脳内鉄量などとした。

 2016年2月~2019年12月に372例が登録され、deferiprone群186例、プラセボ群186例に割り付けられた。

36週時の平均MDS-UPDRS総スコア、deferiprone群で15.6点悪化

 ドパミン作動薬の治療導入につながる症状の進行は、deferiprone群22.0%、プラセボ群2.7%で確認された。

 ベースラインの平均MDS-UPDRS総スコアは、deferiprone群34.3点、プラセボ群33.2点であり、36週時までにそれぞれ15.6点および6.3点増加(悪化)した(群間差:9.3点、95%信頼区間[CI]:6.3~12.2、p<0.001)。

 MDS-UPDRSパートI、IIおよびIIIのスコア、パートIIとIIIの合計スコア、PDQ-39スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群よりdeferiprone群で大きかった(悪化)。また、黒質線条体における鉄量は、プラセボ群と比較してdeferiprone群でベースラインより大きく減少していた。

 重篤な有害事象は、deferiprone群で9.7%、プラセボ群で4.8%に認められ、無顆粒球症はdeferiprone群でのみ2例、好中球減少症はそれぞれ3例および1例であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 内山 真一郎( うちやま しんいちろう ) 氏

国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授

赤坂山王メディカルセンター脳神経内科部長

J-CLEAR評議員