週1回のrezafungin、侵襲性カンジダ症治療に有望/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/12

 

 カンジダ血症または侵襲性カンジダ症の成人患者の治療において、週1回投与の次世代エキノカンジン系抗真菌薬rezafunginは、2つの有効性の主要評価項目について、毎日1回投与のカスポファンギンに対し非劣性であることが、米国・カリフォルニア大学デービス校医療センターのGeorge R. Thompson III氏らが実施した「ReSTORE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年11月25日号で報告された。

15ヵ国の無作為化非劣性試験

 ReSTORE試験は、15ヵ国66施設が参加した多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化非劣性第III相試験であり、2018年10月~2021年8月の期間に患者のスクリーニングが行われた(Cidara TherapeuticsとMundipharmaの助成を受けた)。

 対象は、年齢18歳以上、カンジダ血症または侵襲性カンジダ症に起因する感染症の全身性の徴候(発熱、低体温、低血圧、頻脈、頻呼吸)が認められ、真菌学的に血液または通常は無菌と考えられる部位の検体からカンジダ血症または侵襲性カンジダ症と確定された患者であった。

 被験者は、rezafungin(1週目に400mg、2週目以降は200mg、2~4回投与)を週1回(残りの6日はプラセボを投与)、またはカスポファンギン(1日目に負荷投与量70mg、2日目以降は50mg)を毎日1回、いずれも最長4週間、静脈内投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 有効性の主要評価項目は2つで、(1)14日の時点での欧州医薬品庁(EMA)の総合的治癒(臨床的治癒、画像的治癒、真菌学的消失)、(2)30日の時点での米国食品医薬品局(FDA)の全死因死亡(死亡または生死不明)とされ、いずれも非劣性マージンは20%であった。

安全性も両群で同程度

 199例が登録され、rezafungin群に100例、カスポファンギン群に99例が無作為に割り付けられた。全体の平均年齢は61(SD 15.2)歳、女性が41%であった。

 EMAの主要評価項目である14日時の総合的治癒は、rezafungin群が93例中55例(59%)、カスポファンギン群は94例中57例(61%)で達成された(重み付け群間差:-1.1%、95%信頼区間[CI]:-14.9~12.7)。

 また、FDAの主要評価項目である30日時の全死因死亡は、rezafungin群が93例中22例(24%)、カスポファンギン群は94例中20例(21%)であった(群間差:2.4%、95%CI:-9.7~14.4)。

 総合的治癒は群間差の95%CI下限値が-20%より大きく、全死因死亡は群間差の95%CI上限値が20%より小さかったことから、いずれもrezafungin群のカスポファンギン群に対する非劣性が示された。

 試験期間中に少なくとも1件の有害事象が、rezafungin群の98例中89例(91%)、カスポファンギン群の98例中83例(85%)で発現した。いずれかの群で5%以上の頻度で発現した有害事象のうちrezafungin群で高頻度であったのは、発熱(rezafungin群14%、カスポファンギン群5%)、低カリウム血症(13%、9%)、肺炎(10%、3%)、敗血症性ショック(10%、9%)、貧血(9%、9%)であった。重篤な有害事象は、それぞれ55例(56%)および52例(53%)で認められた。

 著者は、「安全で有効な週1回投与のエキノカンジン系抗真菌薬が使用可能になれば、投与回数が減少することで、カテーテル留置の必要性やその関連費用が削減され、カテーテル関連の有害な転帰が減少する可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)