好酸球性食道炎患者において、デュピルマブ週1回皮下投与は組織学的寛解率を改善するとともに、嚥下障害症状を軽減することが、オーストラリア(4施設)、カナダ(4施設)、欧州(25施設)および米国(63施設)の96施設で実施された第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で認められた。米国・ノースカロライナ大学のEvan S. Dellon氏らが報告した。デュピルマブは、好酸球性食道炎に重要な役割を果たしているインターロイキン(IL)-4とIL-13のシグナル伝達を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体で、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎や気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療薬として承認されている。NEJM誌2022年12月22日号掲載の報告。
デュピルマブ300mgを週1回または隔週皮下投与とプラセボを比較
本研究の対象は、内視鏡生検で好酸球性食道炎と診断され(高倍率1視野当たり好酸球数が15以上)、ベースライン時の嚥下障害症状質問票(DSQ)スコアが10以上(スコアの範囲:0~84、スコアが高いほど嚥下障害症状が高頻度または重度)の12歳以上の患者である。パートAとして、適格患者81例をデュピルマブ群(300mgを週1回)とプラセボ群に1対1の割合で(それぞれ42例、39例)、パートBとして240例をデュピルマブ300mgの週1回または隔週、またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け(それぞれ80例、81例および79例)、24週まで皮下投与した。
その後は引き続きパートCとして、パートAを完遂した適格患者は全例52週までデュピルマブ300mgを週1回皮下投与し(パートA-C群)、パートBでプラセボ群に割り付けられた患者は、デュピルマブ300mg週1回または隔週群に1対1の割合で無作為に割り付け、パートBでデュピルマブを投与された患者は同じ用法用量で、それぞれ52週まで皮下投与を継続した。なお、パートCは現在進行中である。
パートAおよびBの主要評価項目は、24週時の組織学的寛解(高倍率1視野あたりの好酸球数が6以下と定義)を達成した患者の割合(組織学的寛解率)、およびDSQスコアのベースラインからの変化量であった。
週1回皮下投与で、組織学的寛解率60%、嚥下障害症状も有意に改善
組織学的寛解率は、パートAではデュピルマブ群60%(25/42例)、プラセボ群5%(2/39例)で、デュピルマブ群が有意に高かった(補正後群間差:55ポイント、95%信頼区間[CI]:40~71、p<0.001)。パートBでは、デュピルマブ週1回群59%(47/80例)、隔週群60%(49/81例)、プラセボ群6%(5/79例)であり、デュピルマブ週1回群はプラセボ群との比較で有意差が認められたが(補正後群間差:54ポイント、95%CI:41~66、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との比較では階層的検定で有意差はなかった(56ポイント、43~69)。
ベースラインの平均(±SD)DSQスコアは、パートAで33.6±12.41、パートBで36.7±11.22であった。24週時のDSQスコアのベースラインからの変化量(最小二乗平均変化量)は、パートAではデュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかった(-21.92 vs.-9.60、群間差:-12.32[95%CI:-19.11~-5.54]、p<0.001)。パートBでも、デュピルマブ週1回群がプラセボ群と比較して有意に大きかったが(-23.78 vs.-13.86、-9.92[-14.81~-5.02]、p<0.001)、デュピルマブ隔週群とプラセボ群との間に有意差は認められなかった(-14.37 vs.-13.86、-0.51[-5.42~4.41]、p=0.84)。
重篤な有害事象は、パートAまたはBにおいて9例(デュピルマブ週1回群7例、デュピルマブ隔週群1例、プラセボ群1例)、パートA-Cにおいて1例(パートAではプラセボ群、パートCではデュピルマブ週1回投与群)に発現した。
(ケアネット)