デュアルチャンバー型リードレスペースメーカー、安全性を確認/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/01

 

 オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏ら「Aveir DR i2i試験」グループは、デュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムが安全性の主要エンドポイントを達成し、移植後3ヵ月間、適切な心房ペーシングと確実な房室同期が得られたことを報告した。シングルチャンバー型リードレスペースメーカーでは心房ペーシングや確実な房室同期が得られないが、右心房と右心室にそれぞれデバイスを経皮的に植え込むデュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムは、より幅広い適応症の治療選択肢となることが期待されていた。NEJM誌オンライン版2023年5月20日号掲載の報告。

合併症(デバイス/手技関連の重篤な有害事象)なし患者の割合を評価

 研究グループは、従来のデュアルチャンバーペーシングの適応を有する患者を登録し、デュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムの植え込みを行った。

 安全性の主要エンドポイントは、植え込み後90日間の合併症(デバイスまたは手技に関連した重篤な有害事象)の発生で、合併症なしの患者の割合78%を達成目標とした。また、性能の主要エンドポイントの1つ目は3ヵ月時点の適切な心房捕捉閾値と感知振幅の複合、2つ目は3ヵ月時点の座位での房室同期70%以上とし、達成目標はそれぞれ、患者の割合82.5%、および同83%であった。

 今回は、2022年2~8月に、米国、カナダおよび欧州の55施設でデュアルチャンバー型リードレスペースメーカーシステムの植え込みが行われた最初の登録患者300例に関する、追跡調査3ヵ月間の主要エンドポイントの解析結果が報告された。

90日間の合併症なし患者の割合は90.3%

 300例中、190例(63.3%)は洞結節機能不全、100例(33.3%)は房室ブロックが主たるペースメーカー植込みの適応であった。295例(98.3%)で植込み手術が成功し、植え込まれた2つの機能するリードレスペースメーカー間の通信が確立された。

 植え込み後3ヵ月間で、29例に計35件の合併症(デバイスまたは手技に関連した重篤な有害事象)が発生した。安全性の主要エンドポイントである合併症なしの患者の割合は90.3%(95%信頼区間[CI]:87.0~93.7)で、達成目標の78%を上回った(p<0.001)。

 性能の主要エンドポイントの1つ目である3ヵ月時点の適切な心房捕捉閾値と感知振幅の複合は、90.2%(95%CI:86.8~93.6)の患者で満たされ、達成目標の82.5%を上回った(p<0.001)。平均(±SD)心房捕捉閾値は0.82±0.70V、平均P波振幅は3.58±1.88mVであった。P波の振幅が1.0mV未満の患者21例(7%)のうち、感知が不十分でデバイスの再調整が必要となった患者はいなかった。

 性能の主要エンドポイントの2つ目である3ヵ月時点の座位での房室同期70%以上の患者の割合は97.3%(95%CI:95.4~99.3)であり、達成目標の83%を上回った(p<0.001)。

(ケアネット)