サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬併用の有無にかかわらず、アロマターゼ阻害薬の治療中または治療後に病勢進行したホルモン受容体陽性(HR+)HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者において、AKT阻害薬capivasertibとフルベストラントの併用療法は、フルベストラント単独療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、英国・Royal Marsden HospitalのNicholas C. Turner氏らによる第III相無作為化二重盲検比較試験「CAPItello-291試験」で示された。AKT経路の活性化は内分泌療法の抵抗性に関与することが知られているが、HR+進行乳がんに対するフルベストラントへのcapivasertib上乗せの有効性と安全性に関するデータは限られていた。NEJM誌2023年6月1日号掲載の報告。
capivasertib+フルベストラントvs.フルベストラント単独を比較
研究グループは、CDK4/6阻害薬併用の有無にかかわらずアロマターゼ阻害薬による治療中または治療後に再発または病勢進行した、HR+HER2-進行乳がん患者(閉経前または閉経後の女性、および男性、化学療法歴1ライン以下)を、capivasertib+フルベストラント群(capivasertib群)、またはプラセボ+フルベストラント群(プラセボ群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。
主要評価項目は、全体集団およびAKT経路の遺伝子変異(
PIK3CA、
AKT1または
PTEN)を有する患者集団における、治験責任医師評価によるPFSで、安全性も評価した。
主要評価項目のPFSは、capivasertib+フルベストラントで有意に延長
計708例が無作為化され、289例(40.8%)がAKT経路の遺伝子変異を有しており、489例(69.1%)が進行乳がんに対するCDK4/6阻害薬の治療歴を有していた。
全体集団におけるPFS中央値は、capivasertib群7.2ヵ月、プラセボ群3.6ヵ月で、病勢進行または死亡のハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:0.51~0.71、p<0.001)であった。また、AKT経路の遺伝子変異を有する患者集団におけるPFS中央値は、capivasertib群7.3ヵ月、プラセボ群3.1ヵ月であった(HR:0.50、95%CI:0.38~0.65、p<0.001)。
capivasertib群で頻度の高かったGrade3以上の有害事象は、発疹(12.1% vs.0.3%)、下痢(9.3% vs.0.3%)であった。投与中止に至った有害事象は、capivasertib群13.0%、プラセボ群2.3%で報告された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)