capivasertib+フルベストラント、CDK4/6治療歴によらずAI耐性進行乳がんでPFS延長(CAPItello-291)/SABCS2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/20

 

 アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のエスロトゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性進行・再発(ABC)乳がん患者において、AKT阻害薬capivasertib+フルベストラントが、プラセボ+フルベストラントと比較して無増悪生存期間(PFS)を約2倍に延長した。日本を含むグローバル第III相CAPItello-291試験の結果を、英国・王立マーズデン病院のNicholas Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。なお、本療法については第II相FAKTION試験で閉経後女性患者において全生存期間(OS)とPFSを有意に改善したことが報告されているが、CDK4/6阻害薬治療歴のある患者は含まれていなかった。

・対象:閉経前/後のER+/HER-の進行・再発乳がん患者(AI投与中/後に再発・進行、ABCに対する治療歴として≦2ラインの内分泌療法・≦1ラインの化学療法、CDK4/6阻害薬治療歴ありも可、SERD・mTOR阻害薬・PI3K阻害薬・AKT阻害薬の治療歴ありは不可、HbA1c<8.0%)
・試験群(Capi群):capivasertib 400mgを4日間投与3日間休薬で1日2回経口投与+フルベストラント500mg 355例
・対照群(プラセボ群):プラセボ+フルベストラント 353例
・評価項目:
[主要評価項目]全体集団およびAKT経路に変異(≧1のPIK3CAAKT1PTEN遺伝子変異)を有する患者におけるPFS
[主要副次評価項目]全体集団およびAKT経路に変異を有する患者におけるOS、奏効率(ORR)
[層別化因子]肝転移の有無、CDK4/6阻害薬治療歴の有無、地域

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン特性は両群でバランスがとれており、年齢中央値はCapi群59歳vs.プラセボ群58歳、女性が両群とも約99%を占め、閉経後患者は81% vs.74%、アジア人が両群とも約27%、肝転移ありが44% vs.43%だった。
・前治療歴は1ラインのABCに対する内分泌療法歴ありが81% vs.71%、CDK4/6阻害薬治療歴ありが両群とも約69%だった。また術前/術後化学療法歴ありが51% vs.48%だった。
・AKT経路に変異を有する患者は44% vs.38%だった。
・全体集団におけるPFS中央値は、プラセボ群3.6ヵ月に対しCapi群7.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.51~0.71、両側p<0.001)となり、Capi群で有意に改善した。
・AKT経路に変異を有する患者におけるPFS中央値は、プラセボ群3.1ヵ月に対しCapi群7.3ヵ月(HR:0.50、95%CI:0.38~0.65、両側p<0.001)となり、Capi群で有意に改善した。
・サブグループ別にPFSをみると、肝転移の有無およびCDK4/6阻害薬治療歴の有無を問わず、Capi群で改善がみられた。
・全体集団におけるORRはプラセボ群12.2%に対しCapi群22.9%(オッズ比[OR]:2.19、95%CI:1.42~3.36)だった。
・AKT経路に変異を有する患者におけるORRはプラセボ群9.7%に対しCapi群28.8%(OR:3.93、95%CI:1.93~8.04)だった。
・immatureなデータではあるが、全体集団におけるOSのHRは0.74(95%CI:0.56~0.98)、AKT経路に変異を有する患者におけるOSのHRは0.69(95%CI:0.45~1.05)だった。
・Capi群で多く報告されたGrade3以上の有害事象は、下痢(9.3% vs.0.3%)、斑状丘疹(6.2% vs.0%)、発疹(5.4% vs.0.3%)、高血糖(2.3% vs.0.3%)だった。治療中止につながる有害事象の発生は、13.0% vs.2.3%だった。

 Turner氏は「capivasertib+フルベストラント併用療法は、内分泌療法ベースのレジメンで治療し進行したホルモン受容体陽性進行・再発乳がん患者における将来の治療オプションになる可能性がある」と結論付けた。OSフォローアップは進行中である。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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