肝線維化やNASH消失にpegozaferminが有効か/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/18

 

 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療において、線維芽細胞増殖因子(FGF21)アナログpegozaferminはプラセボと比較して、NASHの悪化を伴わない肝線維化の改善効果が優れ、肝線維化の悪化を伴わないNASH消失の達成割合も良好であることが、米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のRohit Loomba氏らが実施した「ENLIVEN試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年6月24日号に掲載された。

米国の無作為化プラセボ対照第IIb相試験

 ENLIVEN試験は、米国の61施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2021年9月~2022年8月の期間に患者の登録が行われた(米国・89bioの助成を受けた)。

 年齢が21~75歳、肝生検でNASHと確定され、肝線維化ステージF2またはF3(中等度または重度)の患者が、pegozafermin 15mg(毎週1回)、同30mg(毎週1回)、同44mg(2週ごとに1回)、2種のプラセボ(毎週1回または2週ごとに1回)を皮下投与する群に無作為に割り付けられた。

 主要エンドポイントは2つで、24週時点のNASHの悪化を伴わない肝線維化の改善(ステージ0~4のスケール[ステージが高いほど重症度が高い]で、1ステージ以上の低下)と、24週時点の肝線維化の悪化を伴わないNASHの消失であった。

第III相試験での開発の続行を支持する結果

 222例が無作為化され(pegozafermin15mg群21例、同30mg群73例、同44mg群57例、プラセボ群71例)、うち219例が投与を受けた。全体の平均(±SD)年齢は55.6±10.4歳、87例(39%)が男性、208例(94%)が白人で、平均体重は102.2±20.9kg、平均BMI値は36.6±5.9で、147例(66%)が2型糖尿病だった。

 24週時にNASHの悪化を伴わずに肝線維化が少なくとも1ステージ改善した患者の割合は、プラセボ群が7%であったのに対し、15mg群は22%(プラセボ群との差:14ポイント、95%信頼区間[CI]:-9~38)と有意な差は認められなかったが、30mg群は26%(19ポイント、5~32、p=0.009)、44mg群は27%(20ポイント、5~35、p=0.008)で、プラセボ群に比べ2つの用量とも有意に優れた。

 また、24週時に肝線維化の悪化を伴わないNASH消失を達成した患者の割合は、プラセボ群が2%であったのに対し、15mg群は37%(プラセボ群との差:35ポイント、95%CI:10~59)、30mg群は23%(21ポイント、9~33)、44mg群は26%(24ポイント、10~37)で、プラセボ群に比して3つの用量とも良好だった。

 pegozafermin群で最も頻度の高い有害事象は、吐き気(15mg群19%、30mg群32%、44mg群19%)と下痢(24%、19%、14%)であった。重篤な有害事象は、プラセボ群4%、15mg群5%、30mg群4%、44mg群11%で発現し、44mg群の1例(急性膵炎)が担当医によって治療関連と判定された。

 著者は、「2週間に1回の投与が可能であれば、患者の利便性と治療へのアドヒアランスが向上する可能性がある。本試験の結果は、より大規模で長期の第III相試験におけるpegozaferminの開発の続行を支持するものであり、用量選択の指針として有益な情報となるであろう」としている。

(医学ライター 菅野 守)