超加工食品の摂取の多さは、有害な健康アウトカム、とくに心代謝系、一般的な精神障害および死亡のリスク増大と関連していることが、オーストラリア・ディーキン大学のMelissa M. Lane氏らの検討で示された。超加工食品と有害な健康アウトカムとの関連性についてはメタ解析が行われているが、研究グループは幅広い視点を提供し、先行研究のメタ解析によるエビデンスを評価するため、包括的なアンブレラレビューを行った。結果を踏まえて著者は、「今回得られた知見は、健康改善のために超加工食品への曝露を減らす公衆衛生対策の策定、およびその効果の評価に論理的根拠を与えるものである」と述べている。BMJ誌2024年2月28日号掲載の報告。
超加工食品の摂取と健康アウトカムとの関連についての疫学的メタ解析のアンブレラレビュー
研究グループは、Nova食品分類システムで定義されている超加工食品の摂取と、健康への悪影響との関連を評価する目的で、既存のメタ解析のアンブレラレビューを行った。
MEDLINE、PsycINFO、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviewsおよび参考文献リストをデータソースに、2009年から2023年6月までの研究を検索し、適格基準はコホート研究、症例対照研究、および/または横断研究デザインのシステマティックレビューとメタ解析とした。
アンブレラレビューによる各再メタ解析結果は、エビデンスの信頼性についてはエビデンス分類基準および既存のアンブレラレビューに従い、「クラスI(信ぴょう性が高い)」「クラスII(強く示唆的)」「クラスIII(示唆的)」「クラスIV(弱い)」「クラスV(エビデンスなし)」に分類。また、エビデンスの質についてはGRADEシステムを用いて評価し、「高」「中」「低」「非常に低」に分類した。
超加工食品の摂取は、32の健康アウトカムと関連
検索の結果、430本の論文が同定され、適格基準を満たした14件のメタ解析研究、計45件の異なるプール解析が対象となった。
プール解析に含まれた参加者の総数は988万8,373例で、13件は用量反応モデリングが検討されたものであった。32件(71%)の異なるプール解析において、ランダム効果モデルに基づき、超加工食品の摂取の多さと死亡、がん、精神、呼吸器、心血管、胃腸、代謝等に関する健康アウトカムとの間に直接的な関連が示された。
事前に規定したエビデンスの分類に基づくと、クラスIで関連が示されたのは、心血管疾患関連死(リスク比:1.50、95%信頼区間[CI]:1.37~1.63、質:非常に低)および2型糖尿病(用量反応性のリスク比:1.12、95%CI:1.11~1.13、質:中)の発生、ならびに不安アウトカム(オッズ比[OR]:1.48、95%CI:1.37~1.59、質:低)および一般的な精神障害の複合アウトカム(OR:1.53、95%CI:1.43~1.63、質:低)の有病リスクであった。
クラスIIは、全死亡(リスク比:1.21、95%CI:1.15~1.27、質:低)、心疾患関連死(ハザード比[HR]:1.66、95%CI:1.51~1.84、質:低)、2型糖尿病(OR:1.40、95%CI:1.23~1.59、質:非常に低)および抑うつアウトカム(HR:1.22、95%CI:1.16~1.28、質:低)の発生、ならびに有害な睡眠関連アウトカム(OR:1.41、95%CI:1.24~1.61、質:低)、喘鳴(リスク比:1.40、95%CI:1.27~1.55、質:低)および肥満(OR:1.55、95%CI:1.36~1.77、質:低)の有病リスクであった。
残りの34のプール解析のうち、21件はクラスIII~IV、13件はエビデンスなし(クラスV)に分類された。
全体でGRADEシステムによるエビデンスの質は、22件のプール解析が「低」、19件が「非常に低」であり、「中」は4件であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)