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前立腺全摘除術後放射線療法へのADT追加、6ヵ月vs.24ヵ月/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/31

 

 前立腺全摘除術後の放射線療法への24ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)の追加は、6ヵ月のADTを追加した場合と比較して無転移生存期間(MFS)を改善したことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の138施設で実施した無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、初期治療として放射線療法とADTの併用を支持するエビデンスがあるが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADTの至適併用期間は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。

主要評価項目はMFS

 研究グループは、前立腺全摘除術後の放射線療法の適応があり、前立腺特異抗原(PSA)が5ng/mL未満で転移病変がなく書面による同意が得られた患者を、放射線療法(RT)+6ヵ月間のADT併用(短期ADT併用)群、またはRT+24ヵ月間のADT併用(長期ADT併用)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子は、グリソンスコア、断端陽性、放射線療法の時期、予定された放射線療法のスケジュール、予定されたADTの種類であった。

 ADTは、無作為化後2ヵ月以内に開始し、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログに加え、GnRHアナログ初回投与の1週間前から経口抗アンドロゲン薬を3週間投与した。GnRHアナログは、短期ADT併用群では月1回、長期ADT併用群では3ヵ月に1回の投与が推奨された。カナダ以外では、ビカルタミド単剤150mg連日経口投与、またはデガレリクス月1回皮下投与も許容された。

 主要評価項目はMFSで、前立腺がんの遠隔転移またはあらゆる原因による死亡と定義し、標準的なtime-to-event解析を行った(ITT解析)。

 本試験は当初、RT単独群vs.短期ADT併用群vs.24ヵ月のADTを併用する長期ADT併用群の3群割り付け(1対1対1)、または、RT単独群vs.短期ADT併用群(1対1)と短期ADT併用群vs.長期ADT併用群(1対1)の2通りの2群割り付けのいずれかを選択するようになっていたが、ほとんどの患者が後者に割り付けられたことから、途中で2群比較の2試験として実施された(RT単独群vs.短期ADT併用群の結果は別途報告)。最終的に、10年MFS率が75%から81%に増加(ハザード比[HR]:0.72)することに関して、両側α値5%で80%の検出力を有していた。

短期ADTに対する長期ADTのハザード比は0.773(p=0.029)

 2008年1月30日~2015年7月7日に、計1,523例(年齢中央値65歳、四分位範囲[IQR]:60~69)が短期ADT併用群(761例)または長期ADT併用群(762例)に割り付けられた。1,523例のうち、326例は当初の3群割り付けで無作為化された症例(3群割り付けでのRT単独群の症例は除外)であった。追跡調査は2021年12月31日に終了した。

 追跡期間中央値8.9年(IQR:7.0~10.0)において、MFSイベントは計313例報告された(短期ADT併用群174例、長期ADT併用群139例)。HRは0.773(95%信頼区間[CI]:0.612~0.975、p=0.029)であり、短期ADT併用群と比較して長期ADT併用群でMFSが改善した。

 10年MFS率は、短期ADT併用群71.9%(95%CI:67.6~75.7)、長期ADT併用群78.1%(74.2~81.5)であった。

 Grade3以上の有害事象の発現率は、短期ADT併用群14%(105/753例)、長期ADT併用群19%(142/757例)であり、治療関連死は報告されなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)