中国の肥満または過体重成人を対象に行われた第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で、持続性GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチド10mgまたは15mgの週1回投与は、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある体重減少をもたらし、安全性プロファイルは許容できるものであったことを、中国・復旦大学のLin Zhao氏らが報告した。肥満は世界的な公衆衛生上の懸念事項であり、なかでも中国の肥満者の数は世界で最も多いとされる。JAMA誌オンライン版2024年5月31日号掲載の報告。
10mg/15mg投与の52週時点の体重変化率、5%以上の体重減少を評価
肥満または過体重で体重に関連した疾患を有する中国成人を対象に、体重減少に対するチルゼパチド治療の有効性と安全性を評価するSURMOUNT-CN試験は、2021年9月~2022年12月に中国の29医療施設で行われた。BMI 28以上、またはBMI 24以上で少なくとも1つの体重に関連した疾患を有する、18歳以上の成人(糖尿病患者は除く)を対象とした。
研究グループは被験者を1対1対1の割合で、チルゼパチド10mgを投与する群、同15mgを投与する群、プラセボを投与する群に割り付け、全例に生活習慣の介入を行いながら週1回52週間皮下投与した。
主要エンドポイントは2つで、52週時点で評価したベースラインからの体重変化率(%)と少なくとも5%以上の体重減少とした。有効性および安全性の解析はITT集団で行われた。
体重変化率、10mg群-13.6%、15m群-17.5%、プラセボ-2.3%
無作為化された被験者は210例(女性103例[49.0%]、平均年齢36.1[SD 9.1]歳、平均体重91.8[16.0]kg、平均BMI 32.3[3.8])で、チルゼパチド10mg群70例、同15mg群71例、プラセボ群69例であった。このうち201例(95.7%)が試験を完了した。
52週時点の平均体重変化率は、チルゼパチド10mg群-13.6%(95%信頼区間[CI]:-15.8~-11.4)、同15mg群-17.5%(-19.7~-15.3)、プラセボ群-2.3%であった。
チルゼパチドの両用量群ともプラセボより体重減少効果が優れており、対プラセボの推定治療群間差は10mg群が-11.3%(95%CI:-14.3~-8.3、p<0.001)、15mg群が-15.1%(-18.2~-12.1、p<0.001)であった。
5%以上の体重減少達成者は、チルゼパチド10mg群87.8%、同15mg群85.8%に対し、プラセボ群は29.3%であった(対プラセボのp<0.001)。
チルゼパチドの治療中に発現した有害事象で最も多くみられたのは消化器系イベントで、ほとんどが軽度~中程度であった。治療中止に至った有害事象はわずかであった(<5%)。
(ケアネット)