米国、中絶禁止法施行の州で乳児死亡率が上昇/JAMA

米国において中絶禁止法を導入した州では、施行後の乳児死亡率が、施行前の乳児死亡率に基づく予測値と比べて上昇したことが明らかにされた。乳児死亡の相対増加率は、先天異常による死亡で大きく、黒人や南部の州などベースラインの乳児死亡率が平均より高い集団でも大きかったという。米国・ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院のAlison Gemmill氏らが報告した。最近の中絶禁止法の施行が乳児死亡率に及ぼす影響については十分に理解されておらず、また、中絶禁止法が乳幼児の健康における人種的・民族的格差とどのように相互作用するかについてはエビデンスが限られていた。JAMA誌オンライン版2025年2月13日号掲載の報告。
2012~23年の全米データを解析
研究グループは、2012年1月~2023年12月までの全米50州およびコロンビア特別区(ワシントン)の出生および死亡証明書のデータから、生後28日未満の新生児および生後1年未満の乳児の死亡数、ならびに出生総数を半年ごとに集計した。主要アウトカムは乳児死亡率(1,000出生当たり)で、全集団および人種/民族別、死亡時期別(新生児期vs.それ以外)、死因別(先天異常vs.それ以外)に算出した。
曝露要因は完全な中絶禁止または妊娠6週目以降の中絶禁止で、ベイズパネルモデルを用いて、それら中絶禁止を法的に導入した14州の乳児死亡率を、中絶禁止を法的に導入していない州の乳児死亡率ならびに当該14州の中絶禁止法施行前の乳児死亡率に基づく予測値と比較した。
乳児死亡は中絶禁止法施行前より5.6%増加
中絶禁止法を導入した州では、施行後の乳児死亡率が予測値よりも高かったことが判明した(予測値5.93 vs.実測値6.26[/1,000出生]、絶対増加:0.33[95%信用区間[CrI]:0.14~0.51]、相対増加率:5.60%[95%CrI:2.43~8.73])。この結果、中絶禁止法が導入された14州において、中絶禁止が影響した期間の乳児の過剰死亡は478例と推定された。非ヒスパニック系黒人集団では他の人種/民族集団と比較して乳児死亡率の上昇が大きく、乳児死亡数(/1,000出生)は予測値10.66に対して実測値11.81で、絶対増加は1.15(95%CrI:0.53~1.81)、相対増加率は10.98%(95%CrI:4.87~17.89)であった。
先天異常による乳児死亡(/1,000出生)は、予測値1.24に対して実測値1.37(絶対増加0.13[95%CrI:0.04~0.21]、相対増加率:10.87%[95%CrI:3.39~18.08])、先天異常以外の原因による乳児死亡(/1,000出生)は、予測値4.69に対して実測値4.89(絶対増加:0.20[95%CrI:0.02~0.38]、相対増加率:4.23%[95%CrI:0.49~8.23])であった。
テキサス州の動向が全体的な結果に大きな影響を及ぼしていることが認められ、南部の州のほうがそれ以外の州より大きな増加がみられた。
(ケアネット)
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