チオトロピウムはCOPD患者の増悪や入院のリスクを有意に低下させることがテキサス大学健康科学センターのAntonio Anzueto氏らにより報告された。Respiratory Medicine誌オンライン版2013年8月19日号の掲載報告。
増悪はCOPDの転帰を大きく左右する。本研究では、米国の臨床試験に登録されている患者を対象に、COPDの増悪および増悪に関連した入院に対するチオトロピウムの効果を評価した。
データは、COPD患者を対象に行われた6つの無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験(試験期間6~12ヵ月)から集めた。増悪の定義は1)2つ以上の呼吸器症状が増加または発症して3日以上続いた場合、2)全身ステロイドや抗菌薬(またはその両方)による治療が必要となった場合とした。これらの患者における初回の増悪、入院、増悪発現率を6ヵ月、1年時点で検討した。
主な結果は以下とおり。
・6ヵ月時点の調査対象は4,355例[チオトロピウム2,268例、プラセボ2,087例、平均年齢:66.5歳、1秒量(FEV1)=1.03L(対標準1秒量:35.5%)]であった。
・1年時点の調査対象は2,455例[チオトロピウム1,317例、プラセボ1,138例、平均年齢:65.5歳、1秒量(FEV1):1.03L(対標準1秒量:37.0%)]であった。
・チオトロピウムはプラセボと比較して、初回増悪までの期間、および増悪による初回入院までの期間をそれぞれ有意に延長させた。
●6ヵ月時点(ハザード比 [HRs]:0.80、0.65 それぞれp<0.001)
●1年時点(ハザード比 [HRs]:0.73、0.55 それぞれp<0.001)
・チオトロピウムはプラセボと比較して、増悪発現率と入院率をそれぞれ有意に低下させた。
●6ヵ月時点(ハザード比 [HRs]:0.79、0.64 それぞれp<0.01)
●1年時点(ハザード比 [HRs]:0.78、0.56 それぞれp<0.01)
・チオトロピウムはベースラインにおける吸入ステロイドの使用の有無に関係なく、増悪リスクを有意に低下させた。
・チオトロピウムと心臓系のイベントリスク増加との関連は認められなかった。
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(ケアネット 鎌滝 真次)