婚姻状態の変化と心血管疾患リスクの関連についての知見は一貫しているが、脳卒中リスク、とくに脳卒中のサブタイプ別にみた研究はほとんどない。大阪大学の本庄かおり氏らが婚姻状態の変化(離婚)と脳卒中リスクとの関連について検討した結果、これらには正の相関が認められ、その相関は生活環境や雇用状況により変化することが示された。Stroke誌オンライン版2016年3月1日号に掲載。
著者らは、多目的コホート研究(JPHC研究)のデータを用いて、ベースラインの5年前の時点で結婚していた男性2万4,162人と女性2万5,626人において、婚姻関係の変化と脳卒中リスクとの性特異的な関連を調べた。婚姻関係の変化は、ベースライン時の配偶者の有無により判定した。脳卒中リスクの加重ハザード比は、傾向スコアを用いたInverse probability of weighting法を用いてCox比例回帰分析により推定した。
主な結果は以下のとおり。
・婚姻状態の変化(すなわち既婚から独身)のあった男女で、脳卒中リスク、とくに出血性脳卒中の増加が認められた。加重ハザード比(95%CI)は、男性1.26(1.13~1.41)、女性1.26(1.09~1.45)であった。
・婚姻状態の変化があった参加者で子供と一緒に住んでいる人は、脳卒中リスクが増加した。
・婚姻状態の変化による脳卒中リスクの増加は、男性においては両親との生活により緩和されたが、女性ではそのような効果は認められなかった。
・婚姻状態の変化による脳卒中リスクの増加は、仕事のない女性で増大し、加重ハザード比は2.98(95%CI:1.66~5.33)であった。
(ケアネット 金沢 浩子)