CLEAR!ジャーナル四天王|page:8

心原性ショック治療の難しさ:リスク評価と個別治療の重要性(解説:香坂俊氏)

1999年のSHOCK試験まではよかった。この試験では、心原性ショックを合併した急性心筋梗塞症例でも、72時間以内にPCI/CABGを実施したほうが、長期的な予後が改善することが初めて証明された。しかし、心原性ショックのマネージメントについては、その後20年間、長い長い停滞期を迎えることとなる:・2012年 IABP-SHOCK2:IABPの使用で予後改善せず・2017年 CULPRIT-SHOCK:多枝病変であっても責任病変のみのPCIで十分・今回(2023年) ECLS-SHOCK:PCPSの使用で予後が改善せず

ナーシングホーム入所者に対するユニバーサル除菌は感染症による入院を予防できるか?(解説:小金丸博氏)

ナーシングホームに入居する高齢者では、感染症による入院リスクや薬剤耐性菌(MRSA、ESBL産生菌など)の保菌率が高いことが懸念されている。今回、ナーシングホーム入所者に対して除菌を行うことで感染症による入院を減らすことができるかを検討したランダム化比較試験の結果が、NEJM誌オンライン版2023年10月10日号に報告された。除菌を行った群では感染症による入院が減少し(ベースライン期間と介入期間のリスク比:0.83、95%信頼区間:0.79~0.88)、日常ケア群とのリスク比の差は16.6%だった。ランダムに抽出した入所者に対して行った多剤耐性菌の保菌率は除菌を行った群で減少を認め、日常ケア群と比較した相対リスクは0.70(95%信頼区間:0.58~0.84)だった。感染症による入院を1件防ぐのに必要な治療数(NNT)は9.7件であり、ナーシングホーム入所者に対するユニバーサル除菌は有効性の高い予防法である可能性が示唆された。

世界での血管内イメージングデバイス使用率は、日本に追いつくのか?(解説:山地杏平氏)

OCTOBER試験は、ILUMIEN IV試験と同時に発表された試験で、それぞれOCT (optical coherence tomography、光干渉断層法)を用いたPCI (percutaneous coronary intervention、経皮的冠動脈形成術)と、通常の血管造影のみで行ったPCIとで比較をしています。近年では、長い病変や、慢性完全閉塞といった複雑病変において、IVUS(intravascular ultrasound、血管内超音波)を用いたPCIのほうが、有意に結果が優れていたという報告が複数なされており、これらのランダム化比較試験の結果を受けて、米国では、血管内イメージングデバイスの使用は5%程度の施行率から、15%程度まで増加していると伺っています。OCTは、IVUSに比較して10倍空間分解能に優れていますが、一方で、造影剤もしくは低分子デキストランなどの使用にて赤血球除去が必要であり、それぞれ一長一短があります。この新たな血管内イメージングデバイスであるOCTを用いたPCIと、通常の血管造影のみで行ったPCIとで比較した試験が、米国と欧州が中心となって行われ、それぞれILUMIEN IV試験、OCTOBER試験としてESC(欧州心臓病学会)2023で報告されています。

起立性低血圧の有無で、積極的な降圧治療における心血管疾患発症や総死亡の抑制効果に違いはあるのか?(解説:石川讓治氏)

積極的な降圧が心血管疾患発症抑制に有用であることが、いくつかの大規模無作為割り付け介入試験で報告されている。しかし、これらの研究では起立性低血圧や起立時血圧が低値である患者が除外されていることが多く、これらを有する患者における心血管疾患発症に対する抑制効果に関しては不明であった。本研究は9つの臨床試験の結果の個別参加者データを統合して、起立性低血圧(座位→起立での血圧低下)と起立時低血圧の有無によって、積極的降圧群における心血管疾患発症または総死亡の抑制効果に違いがあるかどうかを検討したメタ解析である。その結果、起立性低血圧や起立時低血圧の有無では、積極的な降圧治療による心血管疾患の発症または総死亡の抑制効果に統計学的有意差は認められなかった。しかし、起立性低血圧を認める患者における積極的な降圧治療は、有意に心血管疾患発症を抑制していたが、総死亡抑制に関しては統計学的有意差が認められなかった。同様に、起立時低血圧を有する患者における積極的降圧治療においても、心血管疾患発症や総死亡低下効果に統計学的有意差は認められなかった。

急性虚血性脳梗塞に対する早期の降圧治療、発症8日目からの降圧治療開始との比較で90日後の死亡や神経学的後遺症に有意差なし(解説:石川讓治氏)

血栓溶解療法を行わない発症後24~48時間の急性虚血性脳梗塞患者における収縮期血圧140~220mmHgに対して、7日以内に140/90mmHg未満を目指して早期に降圧治療を行った群と、降圧薬を7日間中止後8日目以降に140/90mmHg未満を目指して遅れて降圧治療を開始した群の間で、90日後の死亡や神経学的後遺症のリスクを比較した研究である。早期降圧治療群において7日後の血圧が有意に低かったが、14日後の血圧は両群で有意差は認められず、その結果、90日後の死亡や神経学的後遺症のリスクには有意差はなく、むしろ早期降圧治療群において1.18倍のリスク増加が認められる傾向があった(p=0.08)。

心筋梗塞における完全血行再建はいつ行うべきか?(解説:上田恭敬氏)

血行動態が安定しているST上昇型急性心筋梗塞症例において、非責任病変に対するPCIを急性期に同時に行う群(immediate群)が、19〜45日後にstaged PCIとして行う群(staged群)と比べて非劣性であることを検証する、無作為化非劣性試験(MULTISTARS AMI)の結果が報告された。主要エンドポイントは、1年の時点での、死亡・心筋梗塞・脳卒中・予定外の血行再建・心不全入院の複合エンドポイントである。対象患者はimmediate群418症例とstaged群422症例に割り付けられた。主要エンドポイントの発生頻度は、immediate群で8.5%、staged群で16.3%であり、非劣性のみならず優位性の検定においてもp<0.001と有意であった。心筋梗塞(2.0%対5.3%)、予定外の血行再建(4.1%対9.3%)がstaged群で多くなっている。また、死亡、脳卒中、心不全入院については、群間で差はなさそうである。

持続性陽圧換気(CPAP)の心血管イベント再発予防に対する効果は、1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者において認められる(解説:石川讓治氏)

重度の睡眠時無呼吸症候群における持続性陽圧換気(CPAP)の心血管疾患の再発予防効果に関しては、研究間で一定した結果が得られていない。本研究におけるシステマティックレビューで、最終的に3つの無作為割り付け研究が選択され、これらの研究の個別患者データを使用してメタ解析が行われた。全体的な解析では、CPAP群とコントロール群の間に、心血管イベント再発抑制には有意な差が認められなかった。しかし、CPAPを1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者においては、31%の心血管イベント再発抑制効果が認められた。CPAPを4時間以上装着できた患者はCPAP群の38.5%であった。

味覚障害に耐えられない症例に対する処方は注意せよ(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

ゲーファピキサント(商品名:リフヌア)は、選択的P2X3受容体拮抗薬である。P2X3受容体は気道に分布する迷走神経のC線維と呼ばれる求心性神経線維末端にあるATP依存性イオンチャネルである。C線維は炎症や化学物質に反応して活性化される。ATPは炎症により気道粘膜から放出され、シグナル伝達を介して咳嗽反応を惹起させる。ゲーファピキサントはP2X3受容体を介したATPシグナル伝達を遮断することにより、感覚神経の活性化や咳嗽の抑制効果が期待されている薬剤である。現在、慢性咳嗽の原因となりうる病歴・職業歴・環境要因・検査結果などを踏まえた包括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が続く場合、いわゆる難治性の慢性咳嗽に適応となっている。実臨床下では、慢性咳嗽の症例に一般的な鎮咳薬や気管支拡張薬、吸入ステロイド薬が適切に使用されても改善が得られない場合に処方を検討する薬剤となっている。

CKDの腎と心血管疾患への悪影響はさらに広い範囲(解説:浦信行氏)

JAMA誌において、2,750万人余りを対象としたメタ解析の結果、CKDの悪影響は従来報告されている全死因死亡、心血管死、腎代替療法を要する腎不全、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性腎障害にとどまらず、あらゆる入院、心房細動、末梢動脈疾患にまで及ぶことが報告された。結果の詳細はジャーナル四天王のニュース記事をご覧いただきたいが、本研究はそれ以外にもいくつかの重要な成績が示されている。尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)とeGFRをクレアチニンのみで評価したものと、クレアチニンとシスタチンCで評価したものの各々の有害事象のリスクを対比すると、全体の傾向はヒートマップ上では同様であるが、クレアチニンのみで評価したeGFRでの結果は少し感度が悪い印象を受ける。eGFR各階層での有害事象のハザード比を表した図3においても、確かにクレアチニンのみで評価したeGFRでのハザード比の変化の傾きは緩徐であり、各有害事象に対する感度が対比上は低いと考えられる。かつ、各有害事象のハザード比は、クレアチニンでのeGFRは90~105を底値としてU字型を描いている。シスタチンCを加えたものではこのような結果を示していない。これはおそらく高齢者主体のサルコペニア・フレイル症例のリスク上昇を表すものと考えられる。したがって、症例によってはシスタチンCによるeGFRの評価を加えることが必須である。

慎重に評価する必要がある論文。さらなるフォローアップが望まれる(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)

本研究(ILUMIEN IV試験)はOCTガイドとアンギオガイドのPCIを比較、2年間追跡したものである。これまでIVUSで証明されてきた優位性をOCT単独で検証した大規模なRCTであり、18ヵ国80施設が参加、2,487症例が組み入れられた。  結果は、OCTガイド群でminimum stent areaが大きく、ステント血栓症が少なかったものの、TVFでは差がみられなかった、というものである。

未治療の転移のある膵管腺がん患者におけるNALIRIFOX対nab-パクリタキセルおよびゲムシタビン―無作為化非盲検第III相試験(解説:上村直実氏)

膵がんは消化器領域で最も予後が悪く、罹患者数と死亡者数が増加している唯一の悪性腫瘍である。治癒可能なStage0/Iの初期段階で早期発見されるのは全体の2〜3%にすぎず、大半は外科的切除不能の進行がんで診断される。さらに、手術可能な段階で発見され治癒切除術が施行された場合であっても、再発が多く術後の5年生存率は20%程度であり、遠隔転移を認める場合はわずか2%以下とされている。したがって、現時点では、根治可能な初期がんの早期発見と切除不能膵がんに対する有効な化学療法の開発が喫緊の課題となっている。

有病率の高い欧州で小児1型糖尿病発症とコロナ感染の関連を調査(解説:栗原宏氏)

本研究で対象となっている小児1型糖尿病は、発症率に人種差があり白人に非常に多い。欧州全般に発症者は多く、とくに多い北欧諸国、カナダ、イタリアのサルディニアでは年間約30/10万人と日本(1.4~2.2/10万人)に比して10倍以上の違いがある。1歳ごろに膵島細胞への自己抗体が発生するピークがあり、10年以内に臨床的な糖尿病を発症する。自己抗体の発生原因は不明ながら、呼吸器系ウイルス感染が関与している可能性があるとされている。

肥満を合併したEFの保たれた心不全に対するGLP-1受容体作動薬の効果―STEP-HFpEF試験(解説:加藤貴雄氏)

週1回、2.4mgのセマグルチド皮下注射(GLP-1受容体作動薬)は、長期体重管理薬として承認されており、過体重または肥満の患者において大幅な体重減少をもたらし、心代謝リスク因子に良好な影響を及ぼすことがこれまでに示されている(Wilding JPH, et al. N Engl J Med. 2021;384:989-1002., Kosiborod MN, et al. Diabetes Obes Metab. 2023;25:468-478.)。今回、ESC2023で発表され、NEJM誌に掲載されたSTEP-HFpEF試験は、BMI≧30.0kg/m2で心不全症状(NYHA class II-IV)があり、かつ、左室駆出率(LVEF)≧45%で、糖尿病の既往がない患者を対象に、週1回のセマグルチド(2.4mg)またはプラセボを52週間投与した二重盲検無作為割り付け試験である。

北欧の臨床データベースは堅牢?(解説:後藤信哉氏)

本研究は、デンマークにおける15~49歳の約200万例の女性の約2,100万人年のデータである。観察期間内に、8,710例に退院時の診断として深部静脈血栓または肺塞栓症が起こっていた。症例を集めてバイアスを排除して、しっかり観察しようとの態度は学ぶべきである。観察データから仮説の検証は基本的にできない。本研究では、いわゆる避妊ピルとNSAIDsが深部静脈血栓または肺塞栓症に及ぼすインパクトの有無を調べようとしている。多数の交絡因子が寄与するので統計学的モデリングが必要になる。NSAIDsの使用が深部静脈血栓または肺塞栓症を増やすと報告しているが、モデリングの結果なので、あくまでも将来検証すべき仮説を提示したと理解する必要がある。とくに避妊ピルを用いている症例でのNSAIDsの使用が、深部静脈血栓または肺塞栓症の発症と関連しているかもしれない。観察研究は科学研究の第一歩であるが、今後さらなる研究が必須である。

心房細動の脳卒中予防におけるDOACsの臨床開発試験は恣意的だった?(解説:後藤信哉氏)

心房細動になると左房内の血流がうっ滞して血栓ができ、能塞栓を増やすイメージがある。心房細動の脳卒中が重要とされた根拠はFramingham試験における長期間の観察例の脳卒中発症における心房細動のインパクトであった。血液がうっ滞して、左房内に血栓ができて、脳塞栓が起こることは演繹的には証明されていない。左房内血栓形成を阻害して脳塞栓を抗凝固薬が予防するのはイメージに過ぎない。本研究で用いられたエドキサバンを含む経口Xa阻害薬の有効性・安全性を検証する試験では対照群がPT-INR 2-3を標的としたワルファリンであった。

大手術後の炎症を阻害すると...(解説:後藤信哉氏)

コルヒチンは歴史の長い抗炎症薬である。LoDoCo(Low Dose Colchicine)試験にて冠動脈疾患の二次予防効果が証明されて、循環器内科領域に注目されることになった。多くの循環器疾患に炎症が関与する。各種のがん治療などの非心臓疾患の手術時の心房細動の発症予防効果の有無が本研究にて検証された。非心臓性手術後の心房細動と心筋梗塞の発症例では炎症マーカーの高値が報告されている。そこで、本研究では強力な抗炎症薬であるコルヒチンに、非心臓の大手術時の心房細動および心筋障害発症予防効果の有無がランダム化比較試験により検証された。

高血圧に対するアルドステロン合成酵素阻害薬Lorundrostatの効果(解説:石川讓治氏)

アルドステロンが高血圧性臓器障害に影響を与えていると考えられており、いくつかのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が、現在、臨床で使用可能である。lorundrostatはアルドステロン合成阻害をする降圧薬として開発されている。本研究において、2剤以上の降圧薬を用いても目標血圧レベルに達していない高血圧患者に対して、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatを投与し、その投与量、投与回数による降圧度および安全性を比較している。研究1では血漿レニン活性が低い患者、研究2では高い患者を選択して投与し、いずれの投与方法においてもlorundrostatはプラセボと比較して有意に血圧を低下させ、高カリウム血症は6例に認められたのみであった。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は治療抵抗性高血圧に使用されることが多く、治療抵抗性高血圧は、サイアザイド系利尿薬を含む3剤以上の降圧薬でも目標血圧に達しない高血圧と定義されている。本研究の対象には、3剤以上の降圧薬の内服者も含まれているが、サイアザイド系利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の内服者の割合に各群間でばらつきが認められた。今後は、lorundrostatにおける(1)治療抵抗性高血圧に対する効果、(2)ACEIやARBに対する相加効果、(3)サイアザイド系利尿薬との降圧効果の比較、(4)ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との比較など、今後、われわれが実臨床で使用していくためのデータの積み重ねが必要であると思われた。

地域ぐるみでの食事を作る家族への減塩指導が食塩摂取量を減少させ血圧を低下させる(解説:石川讓治氏)

食塩の摂取過剰が高血圧の発症リスクであることが報告されており、日本高血圧治療ガイドライン2019においても食塩の摂取量を1日6g未満に減らすことが推奨されている。しかし、我が国の平均的な食塩摂取量はその2倍近くあり、減塩は思った以上に難しいことが多い。本研究は、中国の地域一般住民をベースにした介入研究で、家庭で調理を行う家族に対して、減塩に関する教育、高食塩食の健康に対する影響、食事中の食塩量、代用塩の使用、調理における減塩のコツなどのレクチャーを行った。また、食塩摂取量を7日間の食事かアプリを使って計算しモニターを行い、減塩用のスプーンまで配られている。さらには、様々なメディア(ポスター、ビデオ放送、スピーカーでの放送、冊子、マニュアルなど)を用いて、減塩の重要性を地域ぐるみで訴えている。本研究の介入には、コミュニティーにおいて減塩を推進する雰囲気を作り出すことの重要性が示されている。その結果、1年間にわたる介入によって、コントロール群と比較して、24時間蓄尿で測定された食塩摂取量が有意に減少し、血圧の低下も認められたことが報告された。

アントラサイクリン系薬剤による心機能障害をアトルバスタチンは抑制したがプラセボとの差はわずかであった(解説:原田和昌氏)

近年、Onco-cardiologyが注目されており、がん化学療法に伴う心毒性を抑制できる薬剤の探索が行われている。動物実験や小規模なランダム化比較試験では、アントラサイクリン系薬剤による左室駆出率(LVEF)低下に対する、アトルバスタチンの抑制作用が報告されていたが、乳がんを中心としたPREVENT試験では効果を示せなかった(ドキソルビシン換算の中央値、240mg/m2)。リンパ腫患者においてアトルバスタチン(40mg/日)の投与はプラセボと比較して、アントラサイクリン系薬剤に関連する心機能障害を有意に抑制し、心不全の発生には有意な差がないことが、二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験であるSTOP-CA試験で示された(同、300mg/m2)。主要評価項目はLVEFが化学療法前後で絶対値において10%以上低下し、12ヵ月後に55%未満となった患者の割合で、プラセボ群22%対アトルバスタチン群9%であった(p=0.002)。しかし、群全体としてのEF低下幅はスタチン群4.1%で、プラセボ群5.4%との差は1.3%のみであった(p=0.029)。

カテーテルアブレーションは心房細動を伴う末期心不全の予後を改善する(解説:原田和昌氏)

心房細動(AF)を伴う心不全にカテーテルアブレーションを行うと、AF burdenが減少し、左室の逆リモデリングが起こり、死亡率が下がることが知られている。AFを伴う末期心不全患者においても、カテーテルアブレーション+薬物療法は薬物療法単独に比べ、死亡、左心補助人工心臓(LVAD)の植え込み、緊急心臓移植の複合イベント発生を低下させることが、ドイツ・ルール大学ボーフムのSohns氏らによる非盲検無作為化比較試験(CASTLE-HTx試験)により示された。対象者は、心臓移植か人工心臓かの評価のためBad Oeynhausenの心臓・糖尿病センター(心臓移植年間約80例)に受診した、症候性AFを有する末期心不全患者である。