CLEAR!ジャーナル四天王|page:85

「降圧薬服用患者が大幅に減る見通し、というより減らした」というほうが正確かもしれない:EBMは三位一体から四位一体へ(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(203)より-

今、世界の先進国は高齢化とともに医療費の膨張に頭を悩ませている。そのような中で、米国では2003年のJNC7から11年ぶりに2014年版ガイドラインが発表された。その中では、JNC7に比べて慢性腎臓病や糖尿病を合併高血圧、そして高齢者高血圧などの降圧目標基準が大幅に緩和された。

TAVRは外科手術より死亡リスクが低い可能性がある?(コメンテーター:許 俊鋭 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(199)より-

昨年までの高リスク大動脈弁狭窄症(AS)に対するTAVI(TAVR)と外科的AVR(SAVR)の比較検討では、早期成績(30日死亡および入院死亡率)および中期成績(3ヵ月~3年死亡率)に差はないとされてきた1)~4)。また、無作為化割り付け試験において、TAVIはSAVRに比較してstrokeや血管合併症、永久的ペースメーカー装着率、中等度以上の人工弁周囲逆流発生率が高い結果1)が出ている一方、出血の合併症はSAVRに比較してTAVIでは少ない結果が報告されている1),4)。

このstudyはnegative studyであり、また説明不足である(コメンテーター:野間 重孝 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(198)より-

本稿は論文評であってreviewではないが、多くの専門外の先生方にとってheart failure and preserved ejection fraction (HFpEF)という概念自体が大変にわかりにくいのではないかと考えるので、まずHFpEFとはどのような病態概念なのかを簡単に説明することから始めたい。

EGFR野生型の非小細胞肺がんに対するEGFR-TKIと化学療法を比較した初のメタアナリシス(コメンテーター:倉原 優 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(195)より-

このメタアナリシスは、INTEREST試験、IPASS試験などの有名な試験を含む11の研究において、EGFR野生型の非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、第1世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と通常の化学療法を比較解析したものである。

期待が大きいと失望も大きい:プラセボをおくことの重要性を教えてくれた試験。(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(194)より-

腎除神経術(RND)は治療抵抗性高血圧の非薬物治療としてここ数年、海外学会などで話題をさらってきた期待の治療法である。理論的には腎動脈から発信される神経刺激が中枢を刺激して交感神経を活性化させ高血圧をもたらすことは動物実験からも確認されており、腎臓からの神経遮断は血圧を下げることは理論にかなっている。しかしこの治療法の当初からの懸念は、白衣高血圧とプラセボ効果がきちんと除外されているのかということであった。

結節性多発動脈炎の原因はアデノシンデアミナーゼ2の遺伝子変異である(コメンテーター:金子 開知 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(193)より-

 結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)は、1866年にKussmaulとMaierにより初めて詳細に報告された血管炎である。Chapel Hill Consensus Conference 2012では、PANは「中・小動脈の壊死性血管炎で、糸球体腎炎あるいは細小動脈・毛細血管・細小静脈の血管炎を伴わず、抗好中球細胞質抗体と関連のない疾患」と定義された稀な疾患であり、その病因は明らかではなかった。

薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(192)より-

 SORT OUT III試験は、2種類の異なる薬剤溶出性ステントを留置した患者の臨床転帰について評価することを目的に、デンマーク国内5ヵ所のインターベンションセンターで行われた。適格患者2,332例が無作為に2群に割り付けられ、ゾタロリムス溶出エンデバースプリントステント(米国メドトロニック社製)もしくはシロリムス溶出サイファーセレクトプラスステント(米国コーディス ジョンソン&ジョンソン社製)の留置を受けた。

膠芽腫の新規診断例に対する治療、ベバシズマブの上乗せ効果得られず(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(191)より-

 血管内皮増殖因子Aに対するヒト化モノクロナール抗体:ベバシズマブ(商品名:アバスチン)は、わが国では昨年6月に初発および再発の悪性神経膠腫(膠芽腫)の治療薬として製造販売承認されたばかりであるが、膠芽腫の新規診断例の治療においてベバシズマブの上乗せ効果が得られないことがNEJMの2月20日号に相次いで報告され、ベバシズマブに対する過度の期待を戒めている。

急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

 ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2 Scoreを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。

術後患者の生存率は看護師の人数と学歴で改善できる(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(189)より-

 コストカット目的での看護師減員は患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。本検討は、病院運営上最も大きなコスト要素の1つである、看護師に関する意思決定を目的としたRN4CAST研究である。RN4CASTには12ヵ国が参加しているが、今回の検討では、同様の患者退院データを有する9ヵ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)300病院における、2009~2010年のデータより解析が行われた。

ACTH非依存性クッシング症候群の病因解明に大きく前進(コメンテーター:成瀬 光栄 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(188)より-

 ACTH非依存性クッシング症候群は、副腎からのコルチゾールの自律性分泌により高血圧や糖尿病などをきたす疾患で、副腎腺腫と両側が結節性過形成になるACTH非依存性大結節性副腎過形成(AIMAH)が主な病型である。通常、前者では腺腫側の副腎摘出で治癒するのに対して、後者では両側副腎摘出が必要なことが多く、副腎不全による永続的なホルモン補充が必要となる。いずれも成因は不明であったが、本論文により、顕性クッシング症候群の約1/3の例で、プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットをコードするPRKACAのsomatic mutationを認めることが明らかにされた。

非小細胞肺がんの予後は術前化学療法により改善するか(コメンテーター:小林 英夫 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(187)より-

 全世界で毎年150万人の新規肺癌が診断され、その8割は非小細胞肺癌(NSCLCs)で、切除だけで完治が期待できる症例は20~25%程度である。術前化学療法は腫瘍径や転移巣の縮小効果を期待できる一方で、手術を遅らせ、がんの進行により切除不能になってしまうことも時にありうる。

血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

 高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである。近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている。

中国で初めて報告された鳥インフルエンザA(H10N8)のヒト感染例―既報のトリ由来H10N8とは異なるタイプと判明―(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(185)より-

 鳥インフルエンザウイルスがヒトに感染し、重症となるケースがあとを絶たない。A型のH5N1やH7N9がその代表であり、H7N9は2014年1月27日までに既に中国で250例が報告され、うち70例が死亡している。一方H10N8は、これまで北米、欧州、アジア、オーストラリアなど広い範囲で主にカモから分離されていたものの、ヒトへの感染例はなかった。しかしながら2013年11月、中国江西省南昌市で最初の感染例が報告された。さらに患者から分離されたH10N8は既報の鳥由来ウイルスとは異なる、新たな再集合体であることが判明した。

中国で見つかった鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染症の疫学調査(続報)(コメンテーター:小金丸 博 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(184)より-

 2013年3月、中国から鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスがヒトに感染した事例が初めて報告された。家禽市場の閉鎖措置後、一旦患者は減少傾向を示していたが、2013年10月以降再び患者が増加している。中国以外では、台湾、香港、マレーシアから感染例が報告されているが、全例中国本土で感染したと考えられている。本稿執筆時点では日本国内での感染例は報告されていないが、国内発生時に冷静に対応できるように準備しておく必要がある。