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てんかん患者の運動、その利点と障害とは

 てんかん患者の運動に関する利点と障害について、定量的手段を用いた研究は行われている。しかし、定性的調査を用いての個人的経験の検討は不十分である。英国・ローハンプトン大学のSarah S Collard氏らは、経時的にてんかん患者の運動についてのナラティブを提示し、てんかん患者の運動に対する心理社会的影響をさらに理解するための報告を行った。Epilepsy & behavior誌2016年8月号の報告。

不眠症になりやすい食事の傾向

 不眠症は、いくつかの健康上有害なアウトカムと関連している。これは、小規模な臨床研究により、不十分な栄養状態が関連していることが示唆されているが、住民ベースコホート研究による大規模な検討は行われていない。米国・ペンシルベニア州立大学のFeon W Cheng氏らは、不眠症の疑い例や不眠症状例のエネルギー摂取量と2年後の食事指数(AHEI)を用いて評価した食事の質について調査した。その結果、不眠症疑い例では、総エネルギー、トランス脂肪酸、ナトリウムの高摂取および野菜の低摂取との関連が認められたことを報告した。The American journal of clinical nutrition誌2016年8月号の報告。

HbA1c、糖尿病の有無にかかわらず眼底循環と相関

 レーザースペックルフローグラフィ(LSFG)を用いて視神経乳頭と脈絡膜の血行動態を測定し、糖尿病の有無で血行動態パラメータと空腹時血糖値およびHbA1cとの関連を調べたところ、非糖尿病患者でもHbA1cが視神経乳頭と脈絡膜の血流に影響を及ぼすことを、東邦大学大森病院眼科の柴 智恵子氏らが明らかにした。著者は、「LSFGは無症候性の眼循環異常の検出に有用」とまとめている。Graefe's Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology誌オンライン版2016年7月20日掲載の報告。

スキャフォールド血栓症の傾向と対策

 本年(2016年)7月に開催された第25回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT2016)にて、オランダ・エラスムス大学 胸部疾患センター/アムステルダム大学の外海 洋平氏が「Can We Prevent Scaffold Thrombosis ?」と題し、これまでの研究データから、生体吸収性スキャフォールド(BVS)血栓症の原因、病態、予防方法について解説した。

うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略

 米国・マウントサイナイ医科大学のCharles H Kellner氏らは、うつ病高齢者に対する寛解延長を評価したthe Prolonging Remission in Depressed Elderly(PRIDE)研究のフェーズ2において、フェーズ1でECT成功後のうつ病高齢患者を対象として継続ECTと薬物療法併用の有効性と忍容性を、薬物療法単独と比較し、評価した。The American journal of psychiatry誌オンライン版2016年7月15日号の報告。

PDE4阻害薬軟膏、小児・成人のアトピー性皮膚炎に有用

 アトピー性皮膚炎に対し、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬のcrisaborole軟膏は、有効性のすべての評価項目を改善し良好な安全性プロファイルを示したことが報告された。米国・ノースウェスタン大学のAmy S. Paller氏らが行った、アトピー性皮膚炎の小児と成人を対象に行った第III相の2試験において示された。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版7月7日号の掲載報告。

向精神薬継続のカギは「薬への不安と期待のバランス整調」にあり

 精神疾患における薬物療法で課題となるのが、抗うつ薬のアドヒアランス低下にどう対処するかであり、医療者が少なからず頭を悩ませるところである。先月、日本精神神経学会が都内で開いたプレスセミナーにおいて、向精神薬の現状と課題をテーマに専門医3氏が講演を行った。本稿では、菊地 俊暁氏(杏林大学神経科学教室)による講演「薬物療法にまつわる患者の気持ち~患者が抱く期待と不安~」を取り上げる。

アルツハイマー病の味覚障害は老化によるものか:滋賀医大

 アルツハイマー型認知症(AD)は、病理学的に脳内の大規模なニューロン損失により特徴づけられ、味覚野が影響を受けると考えられる。しかし、AD患者における味覚機能に関する報告は少なく、この研究結果は矛盾していることから、滋賀医科大学の小河 孝夫氏らが、プロスペクティブ研究により検討を行った。Auris, nasus, larynx誌オンライン版2016年7月11日号の報告。

錠剤埋め込み型服薬管理システムは、安全なのか

 精神疾患患者に対する非定型抗精神病薬アリピプラゾールのアドヒアランスを測定、記録するため、デジタル医療システム(DMS)が開発された。DMSは、錠剤に埋め込まれた摂取可能なセンサ、ウェアラブルセンサ、安全なモバイルとクラウドベースのアプリケーションの3つのコンポーネントで構成されている。技術開発を導くためのマルチプルサブスタディにおけるDMSの技術的性能や安全性を急速に評価するため、米国の大塚ファーマシューティカル D&CのDeborah Profit氏らは、umbrella type study protocolを行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年7月5日号の報告。

抗精神病薬誘発性傾眠、薬剤間の違いは

 傾眠は、抗精神病薬の一般的な副作用の1つである。中国・Shanghai Hongkou District Mental Health CenterのFang Fang氏らは、統合失調症、躁病、双極性うつ病、双極性障害に対し抗精神病薬を処方された成人患者を対象としたプラセボまたは実薬対照無作為化二重盲検試験についてMEDLINE検索を行い、傾眠の副作用発現率を評価した。CNS drugs誌オンライン版2016年7月2日号の報告。

左眼白内障の増大、車のサイドウィンドウが関連?

 紫外線A波(UV-A)と、白内障や皮膚がんリスクとの関連は知られているが、米国・Boxer Wachler視覚研究所のBrian S. Boxer Wachler氏は、自動車のフロントガラスとサイドウィンドウの紫外線A波(UV-A)カット率を比較した。その結果、フロントガラスのUV-Aカット率は車種による差はみられず一貫して高かったが、サイドウィンドウのUV-Aカット率はフロントガラスよりも低く、車種によって差があることが判明したという。

がん脊椎転移、手術が不適な患者とは

 治療の進歩により転移性がん患者の生存期間が延長したことから、症候性脊椎転移が増加している。脊椎の病的骨折や脊髄圧迫を有する患者には、手術で痛みを軽減しQOLを改善することができるが、通常、生存期間が3ヵ月未満と推測される場合には手術は不適と考えられている。今回、手術が不適な患者への手術回避を目的として、日本を含む国際多施設共同研究により、術後3ヵ月または2年以内に死亡した患者のデータを分析し、生存期間に関連する術前因子を検討した。その結果、生存期間は全身の術前状態に依存し、とくに術前に「Karnofsky performance score(KPS)が低い」ことが3ヵ月未満の死亡に有意に関連し、「転移脊椎数が少ない」「原発腫瘍が予後良好な組織型」ことが長期生存に有意に関連していたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJorrit-Jan Verlaan氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年7月11日号に掲載。

LAIを適切に使用するための5つのポイント

 最近のパリペリドンパルミチン酸エステルで治療された患者における心臓突然死(SCD)は、長時間作用型注射用抗精神病薬(LAI)の使用について議論を引き起こした。しかし、LAIとSCDとの関連は、十分に研究されていない。いしい記念病院の長嶺 敬彦氏は、LAIを適切に使用するために、LAIの市販直後調査結果のレビューを行った。International Medical Journal誌2016年6月号の報告。

喫煙が日本人HTLV-1キャリアのATLL発症に関連

 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)キャリアにおいて、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の発症を予防する有効な方法はまだ同定されていない。今回、長崎大学原爆後障害医療研究所 近藤 久義氏らの研究により、わが国のHTLV-1キャリアにおいて、喫煙がATLL発症に影響を与える可能性が示唆された。Cancer causes & control誌オンライン版2016年7月13日号に掲載。