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せん妄患者への抗精神病薬、その安全性は

 冠疾患集中治療室(coronary care unit:CCU)入室患者において、せん妄の発生は、院内死亡率および1年死亡率の増大と関連していたことが、米国・メイヨークリニックのNiyada Naksuk氏らによる、過去10年の経験に基づく所見として報告された。これまで、せん妄患者に対する抗精神病薬治療の安全性は、ほとんど明らかになっていなかったが、ハロペリドールおよびクエチアピンの低用量投与は、注意深いモニタリング下にあった患者においては突然死、院内死亡、1年死亡のリスク増大はみられず、安全であると思われたことも報告している。European Heart Journal: Acute Cardiovascular Care誌オンライン版2015年6月29日号の掲載報告。

ビタミンB群の白内障予防効果、米国の大規模研究で示唆

 米国・国立眼研究所(National Eye Institute:NEI)のTanya S. Glaser氏による横断的前向きコホート研究AREDS(Age-Related Eye Disease Study:AREDS)の結果、食事由来のビタミンB群の摂取は加齢による水晶体混濁の発症に影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。著者は結果について「先行研究の所見と一致しており、さらなる研究が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌2015年7月号(オンライン版2015年5月9日号)の掲載報告。

地中海食と認知機能の関連をRCTで検討

 酸化ストレスおよび血管障害は、加齢による認知機能低下に関連する。疫学的研究では、抗酸化物質に富み心疾患を予防するという地中海食が、認知機能の低下を遅らせると示唆されているが、臨床試験でのエビデンスはない。スペインInstitut d'Investigacions Biomediques August Pi SunyerのCinta Valls-Pedret氏らは、地中海食が、対照群と比較し、高齢者の認知機能に影響するかどうか調査した。その結果、オリーブオイルやナッツを加えた地中海食は認知機能の改善に関連していた。JAMA Internal Medicine誌2015年7月号に掲載。

変形性膝関節症と死亡リスク、アジア人でも関連?

 これまでの研究において、変形性膝関節症(膝OA)は白人の死亡率増加と関連していることが示されている。膝OAの有病率は白人より中国人で高いが、中国人において膝OAと死亡率との関連を調べた研究はないことから、中国・北京大学人民医院のLiu Qiang氏らは農村の住民を対象に調査を行った。その結果、症候性膝OAを有している場合、全死亡のリスクが高まることが明らかとなった。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年7月号(オンライン版2015年3月25日号)の掲載報告。

アトピー乳児、喘息発症リスクが高いのは?

 アトピー性皮膚炎(AD)は喘息や他のアトピー性疾患に先行して発症することが知られる。“アレルギーマーチ”と呼ばれるこれらの発症順序は必ずしも決まっておらず、乳幼児が喘息を発症するリスクについて取り組んだ研究は少ない。フランス・パリ公立アルマン・トゥルソー小児病院のFlore Amat氏らは、生後12ヵ月未満のAD患者を6歳まで追跡したObservatory of Respiratory risks linked with Cutaneous Atopy(ORCA)研究データを解析し、早期発症AD乳児において複数感作あるいは喘息家族歴を認める場合は、幼児期に喘息の発症リスクが高いことを明らかにした。PLoS One誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。

双極性障害と心血管疾患の関係性

米国・メイヨークリニックうつ病センター(Mayo Clinic Depression Center)のMiguel L Prieto氏らは、精神病の既往や心血管疾患(CVD)リスク因子といった双極性障害の臨床的特徴が、双極性障害患者におけるCVDリスクに関与するかどうかを調査する目的で横断研究を実施した。その結果、精神病性双極性障害の表現型が心疾患の合併ならびにその重症度と関連している可能性があることが明らかにされた。Bipolar Disorder誌オンライン版2015年6月9日号の掲載報告。

統合失調症、脳容積とIQの関連

 統合失調症では知能低下と脳容積の減少がみられることが知られている。オランダ・ユトレヒト大学医療センターの久保田 学氏らは、統合失調症患者のIQと脳容積との関連について調査し、統合失調症における進行性の脳組織減少が、発症初期における相対的な認知機能低下と関連している可能性があることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年6月17日号の掲載報告。

レビー小体型認知症、認知機能と脳萎縮の関連:大阪市立大学

 レビー小体型認知症(DLB)患者における側頭葉内側萎縮(MTA)と認知機能障害との関係はいまだ明らかにされていない。大阪市立大学の田川 亮氏らは、これらの関係について、MRIを用いて検討した。その結果、MTAは記憶や言語に関する認知機能障害と関連している可能性を報告した。Geriatr Psychiatry Neurology誌オンライン版2015年6月11日号の掲載報告。  対象は、DLBと診断された37例で、1.5 Tesla MRIスキャナーにより検査した。すべてのMRIデータは、MRIスキャンで得られる画像上でMTAの程度を定量化できるvoxel-based specific regional analysis system for Alzheimer disease(VSRAD)の新型ソフトウエアを用いて分析した。関心体積(VOI)の標的は嗅内皮質、海馬、扁桃体の全領域とした。MTAの程度は標的VOI上の平均positive Zスコア(数値が高いほどMTAが重度)により評価した。認知機能障害の有無について、Mini-Mental State Examination(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R:MMSEと比べ記憶と言語の評価に有効である)を用いて評価した。

胃がん切除予定例のピロリ除菌はいつすべき?

 マーストリヒト・アジア太平洋コンセンサスガイドラインでは、胃がんの既往のある患者へのHelicobacter pyloriの除菌を強く推奨している。がん研有明病院の本多 通孝氏らは、胃切除術を受ける患者への適切な除菌のタイミングを検討するため、オープンラベル単一施設無作為化比較試験を実施した。その結果、術前群と術後群で除菌成功率が同等であり、著者らは、「胃切除を予定している胃がん患者は、予定されている再建術式に関係なく、術前の除菌は必要ない」と結論している。Journal of the American College of Surgeons誌オンライン版2015年4月8日号に掲載。

初回エピソード統合失調症、LAIは経口薬より優る

 第2世代抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)は、統合失調症患者の臨床的安定に高い効果をもたらす。しかし、これまで統合失調症初回エピソード後に用いられることはあまり多くはなかった。米国・カルフォルニア大学ロサンゼルス校のSubotnik KL氏らは、統合失調症初回エピソードにおけるリスペリドンの有効性を、剤形の違い(LAIと経口剤)で比較検討した。その結果、LAIは経口剤に比べ、精神症状の増悪や再発率が低く、その背景にLAIの良好なアドヒアランスが関連していることを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年6月24日号の掲載報告。

臨床統計の基本を身につける J-CLEAR夏季セミナーのご案内

 NPO法人 臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、7月25日に夏季セミナー「基本を身につけよう! 臨床統計の読み方、考え方」を開催する。医療関係者を対象に、バイオ統計学の専門家である折笠 秀樹氏(J-CLEAR評議員/富山大学大学院医学薬学研究部バイオ統計学・臨床疫学教授)が、臨床統計の読み方や考え方を基本からやさしく解説する。

ワインアレルギー、原因はタンパク質への感作か

 ドイツで行われた先行調査において、無作為抽出された4,000例のうち、回答があった948例中68例(7.2%)がワイン不耐症あるいは飲酒後のアレルギー様症状発現を報告したことが判明している。この報告を踏まえてドイツ・マインツ大学のNadine Jaeckels氏らは、ワインの製造過程で含まれる他の成分や清澄剤ではなく、ワイン不耐症の間接原因としてブドウ由来のタンパク質に対するIgEに焦点を当て、ワインタンパク質への感作をアレルギー検査などで確認できるかを検討した。その結果、ブドウおよびワインタンパク質に対する感作が観察され、交差反応性炭水化物抗原決定基(CCD)の関与も示唆された。著者は「今後、さらに大きなコホートで検討する必要がある」とまとめている。

2型糖尿病、男性では膝OAの有意な予測因子に

 最近の研究では、肥満、糖尿病、高血圧および脂質異常症といった代謝因子やそれらの集積であるメタボリックシンドロームが、変形性膝関節症(膝OA)の病態生理に関与している可能性が示唆されている。フランス・AP-HP Henri Mondor HospitalのFlorent Eymard氏らは、膝OA患者を対象としたstrontium ranelateの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(SEKOIA試験)におけるプラセボ群について解析し、2型糖尿病が男性膝OA患者における関節裂隙狭小化の予測因子であることを報告した。Osteoarthritis and Cartilage誌2015年6月号(オンライン版2015年2月3日号)の掲載報告。

グルタミン酸作用、統合失調症の認知機能への影響は認められず

 統合失調症に認められる認知障害において、NMDA受容体の機能低下に大きく関与していることが指摘されている。グルタミン酸塩のモジュレーターがこのような難治状態の回復に有効な可能性があるが、これまでに実施された個々の研究では矛盾した結果が出ていた。カナダ・Centre for Addiction and Mental HealthのY Iwata氏らは、統合失調症患者の認知機能に及ぼすグルタミン酸塩を含むモジュレーターの影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、全般的認知機能および8つのドメインにおいてプラセボと比較した優位性は認められず、グルタミン酸塩を含むモジュレーターが有効でない可能性を報告した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2015年6月16日号の掲載報告。

高齢者は血圧低下が腎機能低下のリスクに

 ベルギー・ルーヴァンカトリック大学のBert Vaes氏らは、高齢者における静的および動的な血圧と腎機能の変化の関係について検討した。その結果、チャールソン併存疾患指数(mCCI)およびベースライン時の腎機能・血圧を調整すると、すべての年齢層において、血圧の経年的低下が腎機能低下における強力な危険因子であることが示された。BMJ open誌2015年6月30日号に掲載。