医療一般|page:331

抗てんかん薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症~FDAデータの分析

 スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)は、まれで潜在的に致死的な皮膚の有害事象であるが、特定の薬剤によって最も一般的に引き起こされる。このSJSやTENとの関連が認められる薬剤の1つとして、抗てんかん薬(AED)が挙げられる。米国・ロードアイランド大学のEric P. Borrelli氏らは、米国におけるAED群および各AEDに関連するSJSやTENのリスクを定量化するため、検討を行った。Epilepsia誌2018年12月号の報告。

ニボルマブ、食道がん第III相試験でOS延長(ATTRACTION-3)/小野薬品

 小野薬品工業株式会社は、2019年1月9日、ニボルマブ(商品名: オプジーボ)について、フルオロピリミジン系薬剤およびプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応または不耐となった切除不能な進行または再発食道がん患者を対象に実施した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(ATTRACTION-3:ONO-4538-24/CA209-473)の最終解析において、ニボルマブ群が化学療法群(ドセタキセルまたはパクリタキセル)と比較して、主要評価項目である全生存期間(OS)の有意な延長を示したと発表。

統合失調症患者への非定型抗精神病薬治療に対する治療反応不良の早期予測因子

 非定型抗精神病薬で治療されている統合失調症患者における精神症状の早期改善や最終治療反応との関連を調査し、治療法の切り替えまたは継続を判断する最適な時期について、台湾・国立中山大学のYi-Lung Chen氏らが検討を行った。また、臨床的治療反応の予測因子についても検討を行った。BMC Psychiatry誌2018年12月4日号の報告。  急性増悪統合失調症患者111例を無作為化し、オランザピン、リスペリドン、パリペリドンによる至適治療を1週間の導入期間および12週間の介入期間で行い評価した。全対象患者は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いて評価した。早期治療反応(PANSSスコア25%減少と定義)は、第1、2、3、4、8週目に評価し、これらの評価を用いて第12週目の最終治療反応(PANSSスコア25%減少)を予測した。著者らは、第1または2週目の早期治療反応が、第12週目の治療アウトカムを予測できると仮定した。

糖代謝の改善にコーヒーやお茶は効果があるか~メタ解析

 前向きコホート研究では、コーヒーやお茶の摂取と糖尿病発症リスクとの関連が示されているが、コーヒーやお茶が糖代謝を改善するかどうかは不明である。今回、横浜市立大学の近藤 義宣氏らは、無作為化比較試験の系統的レビューとメタ解析により、コーヒー、緑茶、紅茶、烏龍茶の糖代謝への影響を調べた。その結果、とくに55歳未満またはアジア人の集団において、緑茶の摂取が空腹時血糖(FBG)を低下させる可能性が示唆された。Nutrients誌2019年1月号に掲載。

入院患者の不眠症治療における催眠鎮静薬減量のための薬剤師介入

 多くの患者において入院は不眠症の原因となり、通常は対症療法で治療が行われる。しかし、催眠鎮静薬の誤った使用は、とくに高齢入院患者において合併症と関連している。この合併症には、めまい、転倒、過鎮静が含まれる。このような潜在的な危険性のため、とくに高齢者においては、不眠症に対する催眠鎮静薬の広範な使用は、多くの病院で推奨されていない。サウジアラビア・King Abdulaziz University Faculty of PharmacyのAisha F. Badr氏らは、処方パターンの検討および評価を行い、地域病院における日々の薬剤師介入を通じた催眠鎮静薬の使用最適化について検討を行った。Saudi Pharmaceutical Journal誌2018年12月号の報告。

フルオロキノロン系薬に大動脈瘤・解離に関する使用上の注意改訂指示

 フルオロキノロン系抗菌薬の添付文書について、2019年1月10日、厚生労働省より使用上の注意の改訂指示が発出された。フルオロキノロン系抗菌薬と大動脈瘤および大動脈解離との関連性を示唆する疫学研究や非臨床試験の文献が報告されたことによるもので、改訂の概要は以下のとおり。 1.「慎重投与」の項に、「大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者」を追記する。

使用率75%、米国の腫瘍専門医はNGSをどう使う?

 米国の腫瘍専門医はどのように次世代シークエンス(NGS)検査を用いているのか。主要施設の腫瘍専門医を対象にした米国国立衛生研究所(NHI)の共同研究が、JCO Precision Oncology誌2018年11月13日号に発表された。  この研究は、2017年に全国的に代表されるがん専門医のサンプルに郵送された、がん治療における精密医学の全国調査のデータを使用し、解析された(n=1,281、協力率==38%)。

日本におけるアリピプラゾールの経口剤と持効性注射剤の併用期間に関する分析

 アリピプラゾール長時間作用型持効性注射剤(LAI)の導入にあたっては、導入開始後2週間のアリピプラゾール経口剤との併用が推奨されている。しかし、2週間以上の併用を行う場合も少なくない。そこで、藤田医科大学の波多野 正和氏らは、アリピプラゾールLAIと経口剤との併用期間の違いについて検討を行った。Human psychopharmacology誌オンライン版2018年11月27日号の報告。  本検討は、症例対照研究として実施した。アリピプラゾールLAI導入と併用したアリピプラゾール経口剤の処方プロファイルを調査し、12週間のフォローアップ期間中における臨床経過を評価した。

わが国の食道アカラシアの疫学~大規模レセプトデータより

 わが国の食道アカラシアの疫学と治療動向について、新潟大学の佐藤 裕樹氏、山梨大学の横道 洋司氏らの調査から、罹患率および期間有病率は他の国と同程度であること、食道がんの発症リスクはアカラシア患者で一般人口と比較し相対的に高いことが示された。また、主に実施されている治療法は食道拡張術であるが、経口内視鏡的筋層切除術(POEM)による治療の割合も年々増加していることがわかった。Journal of Gastroenterology誌オンライン版2019年1月3日号に掲載。

高齢入院患者におけるせん妄と抗コリン薬に関する観察研究

 せん妄は、高齢入院患者において平均5人に1人が発症する神経精神症候群であり、認知および機能の悪化、患者および介護者の負担増加、死亡率の上昇を含む多くの悪影響と関連している。抗コリン作用を有する薬物療法は、高齢入院患者におけるせん妄症状の臨床的重症度と関連しているといわれるが、この関連性はまだよくわかっていない。イタリア・Istituto di Ricerche Farmacologiche Mario Negri IRCCSのLuca Pasina氏らは、累積抗コリン作用性負荷がせん妄リスクを増加させるという仮説を検証するため、せん妄と抗コリン作用性負荷との関連性を評価した。Drugs & Aging誌オンライン版2018年11月27日号の報告。

ダコミチニブ、EGFR変異陽性NSCLCに国内承認/ファイザー

 ファイザー株式会社は、2019年1月8日、「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」の効能・効果で、EGFR-TKIダコミチニブ(商品名:ビジンプロ錠15mg、同45mg)の製造販売承認を取得した。  ダコミチニブの有効性と安全性は、ダコミチニブとゲフィチニブを直接比較した国際共同第III相ARCHER1050試験の結果により確認された。盲検下での独立中央判定(BICR)の評価による無増悪生存期間中央値は、ダコミチニブ群では14.7ヵ月、ゲフィチニブ群では9.2ヵ月で、ダコミチニブ群はゲフィチニブ群と比べ、優れた改善を示した。また、全生存期間中央値は、ダコミチニブ群では34.1ヵ月、ゲフィチニブ群では26.8ヵ月であった。

画像認識技術を応用し薬剤一包化を監査/富士フィルム

 富士フイルム株式会社は、一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」を、2019年1月11日より富士フイルム富山化学株式会社(社長:岡田 淳二)を通じて発売する。  昨今、高齢化に伴って慢性疾患が増え、一回に服用する薬剤が多くなる中、薬剤の飲み忘れや飲み間違いを防止するために、薬剤の一包化ニーズが高まっている。現在、薬剤師には、健康被害を防ぐため、薬剤を渡す時に、薬剤の種類や数量に間違いがないかを確認する監査業務が義務付けられている。しかし、一包化された薬剤の監査業務では、薬剤師が一包ごとに薬剤の種類と数量を目視で確認しているため、大きな作業負荷がかかる。今後、在宅医療における服薬支援・指導など、地域での薬剤師の役割期待が拡大する中で、目視のみならず、システムも活用して、薬剤の監査業務の効率性をより高めていきたいというニーズがますます高まっている。

アトピー性皮膚炎にtapinarofクリームは有効

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する安全かつ有効な局所治療が必要とされている。米国・PRA Health SciencesのJohnny Peppers氏らは、青年期および成人のADに対しtapinarof(GSK2894512 cream)は有効で忍容性が良好であることを、第II相無作為化用量設定試験で明らかにした。著者は、「大規模な臨床試験で確認する必要がある」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌2019年1月号(オンライン版2018年7月3日号)掲載の報告。

職場におけるうつ病予防のための心理学的および教育的介入効果~メタ解析

 うつ病予防に対する心理学的および教育的介入は、小~中程度の効果があるといわれている。しかし、職場における効果については、あまり知られていない。スペイン・マラガ大学のJuan Angel Bellon氏らは、職場におけるうつ病予防のための心理学的および教育的介入効果を評価するため、無作為化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を行った。Scandinavian Journal of Work, environment & health誌オンライン版2018年11月30日号の報告。

肥大型閉塞性心筋症へのアルコール中隔アブレーションの長期成績【Dr.河田pick up】

 症候性の肥大型閉塞性心筋症(HOCM)患者に対する非薬物療法としては、外科的中隔心筋切除術とアルコールによる中隔アブレーション(経皮的中隔心筋焼灼術;PTSMA)が挙げられる。外科的中隔心筋切除術はPTSMAに比べて成功率が高く、効果が現れるのも早い。一方PTSMAは開心術に比べると低侵襲ではあるが、冠動脈解離、房室ブロックや心室性不整脈を起こす可能性があり、若年者では外科的中隔心筋切除術のほうが好まれる。しかしながら、PTSMA後の長期的な効果や成績に関する報告は少ない。症例数が豊富なドイツのグループから、PTSMA後の長期成績が報告された。Angelika Batzner氏らによるJournal of American College of Cardiology誌12月号掲載の報告。

加齢黄斑変性、酸化LDLと関連なし

 血清中の酸化低密度リポタンパク質(酸化LDL)は、加齢黄斑変性(AMD)の発症または悪化において統計学的に有意な関連は認められないことが示された。米国・ウィスコンシン大学マディソン校のRonald Klein氏らが、ビーバーダム眼研究(BDES:Beaver Dam Eye Study)のデータを解析、報告した。Ophthalmology誌オンライン版2018年12月17日号掲載の報告。  BDESは、1988年にウィスコンシン州ビーバーダム市在住の43~84歳の住民を対象とする前向き観察研究として開始された。研究グループは、血清中の酸化LDLとAMDとの関連を調べる目的で、BDESにおいて1988~2016年に約5年間隔で行われた6回の調査期のうち1回以上の調査期に診察を受けた4,972例から、50%(2,468例)を無作為に抽出し、各調査期に保管された凍結検体についてELISA法を用いて酸化LDLを測定した。1人が複数回の調査期に診察を受けているため、合計6,586件の結果が含まれている。

仕事のストレスとベンゾジアゼピン長期使用リスクとの関連

 ストレスを伴う仕事とベンゾジアゼピン長期使用との関連について、フランス・パリ第5大学のGuillaume Airagnes氏らが調査を行った。American Journal of Public Health誌オンライン版2018年11月29日号の報告。  フランスの人口ベースCONSTANCESコホートへ2012~16年に参加した男性1万3,934例、女性1万9,261例を対象に、日々の仕事を調査し、ストレス頻度の評価を行った。ベンゾジアゼピン長期使用は、drug reimbursement administrativeレジストリを用いて検討を行った。ベンゾジアゼピン長期使用のオッズ比(OR)の算出には、性別で層別化し、年齢、教育、地理的剥奪指標(area deprivation index)で調整し、ロジスティック回帰を行った。職業グレード、職場ストレス、うつ病、健康状態自己評価、アルコール使用障害を、追加の層別化変数とした。

高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランス

 うつ病は高齢者において多く認められ、その治療にあたっては、抗うつ薬が一般的に使用される。オランダ・フローニンゲン大学のFloor Holvast氏らは、プライマリケアでの高齢うつ病患者における抗うつ薬の服薬アドヒアランスについて調査を行った。Family Practice誌オンライン版2018年11月5日号の報告。  オランダの保健サービス研究機関(Netherlands Institute for Health Services Research:NIVEL)プライマリケアデータベースより、2012年のうつ病と診断された60歳以上の患者を抽出した。初回投与から14日以内に服薬していない場合を「非開始(non-initiation)」、投与量のカバー率が80%未満の場合を「投与量非遵守(suboptimal implementation)」、初回投与から294日以内に中止していた場合を「非持続(non-persistence)」と定義した。初めに、抗うつ薬の非開始、投与量非遵守、非持続の割合を調査した。次いで、共存疾患および慢性的な薬物使用がノンアドヒアランスと関連しているかを、非開始および投与量非遵守を従属変数とした混合効果ロジスティック回帰分析、時間と非持続についてのクラスターCox回帰分析で検討を行った。

高齢者の肥満診療はどうすべきか

 2018年12月18日に一般社団法人 日本老年医学会(理事長:楽木 宏実氏)は、同会のホームページにおいて『高齢者肥満症診療ガイドライン2018』(作成委員長:荒木 厚氏)を公開した。  本ガイドラインは、同会が作成方針を打ち出している「高齢者生活習慣病管理ガイドライン」、すなわち 「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病」「肥満症」のガイドラインの第4弾にあたり、日本肥満学会の協力を得て作成されたものである。作成では既刊の『肥満症診療ガイドライン2016年版』を参考に、認知症・ADL低下の観点から新たにクリニカルクエスチョン(CQ)を設定し、システマティックレビューを実施したものとなっている。

オランザピンの治療反応に対する喫煙やコーヒーの影響

 統合失調症患者におけるオランザピン治療の有効性および安全性に対して、喫煙や大量のコーヒー摂取が及ぼす影響を、セルビア・クラグイェヴァツ大学のNatasa Djordjevic氏らが、遺伝子多型との関連で評価した。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2018年12月4日号の報告。  対象は、30日間オランザピン投与を行った統合失調症患者120例。治療の有効性は、3つの異なる精神医学的尺度を用いて評価し、安全性については、代謝性副作用および錐体外路症状の評価を行った。遺伝子型の判定には、CYP1A2*1C、CYP1A2*1F、CYP1A1/1A2の遺伝子多型、CYP2D6*3、CYP2D6*4、CYP2D6*6を含んだ。