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肺がんリキッドバイオプシーの有用性をオシメルチニブが裏付け(WJOG8815L/LPS)/日本臨床腫瘍学会

 オシメルチニブはEGFR T790M変異非小細胞肺がん(NSCLC)に有効性を証明しているが、その結果は組織生検によるT790M判定例のものであり、リキッドバイオプシーによるT790M判定例における検討は十分ではない。そこで、リキッドバイオプシー判定によるT790M変異NSCLCに対するオシメルチブの効果を前向きに評価した第II相試験(WJOG8815L/LPS)の結果が実施され、その結果が神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会において、近畿大学の高濱 隆幸氏により発表された。

第2世代抗精神病薬で安定している統合失調症患者における代謝状態の長期変化

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、メタボリックシンドローム(MetS)のリスクを増加させる。MetSのリスクがあるにもかかわらず、一部の患者では、SGAを継続する必要がある。韓国・Eulji University HospitalのSeong Hoon Jeong氏らは、このような患者におけるMetSの経過について、追跡調査を行った。Psychiatry Investigation誌2018年6月号の報告。

抗認知症薬処方前の甲状腺機能検査に関するレトロスペクティブ観察研究

 甲状腺機能低下症は、認知障害を引き起こす疾患として知られており、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能である。そのため、日本を含め世界各国の認知症診療ガイドラインでは、認知症の診断を進めるうえで甲状腺機能検査(TFT)の実施を推奨している。しかし、これまで抗認知症薬を開始する前の認知症原因疾患の診断過程において、TFTがどの程度実施されているかについては、よくわかっていなかった。医療経済研究機構の佐方 信夫氏らは、日本における抗認知症薬処方前のTFT実施状況について調査を行った。Clinical Interventions in Aging誌2018年7月6日号の報告。

NSCLC 1次治療、化療にペムブロリズマブ併用でQOL改善(KEYNOTE-189)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対する国際共同無作為化第III相試験(KEYNOTE-189)のQOL評価で、ペムブロリズマブ+化学療法は化学療法単独と比べてQOLを維持・改善することが示された。関西医科大学の倉田 宝保氏が、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月19~21日、神戸)のセミプレナリーセッションで発表した。

ファブリー病に世界初の経口治療薬が登場

 2018年7月7日、アミカス・セラピューティスク株式会社は、同社が製造・販売する指定難病のファブリー病治療薬のミガーラスタット(商品名:ガラフォルド)が、5月に承認・発売されたことを期し、「ファブリー病治療:新たな選択肢~患者さんを取り巻く環境と最新情報~」と題するメディアラウンドテーブルを開催した。

スボレキサントの日本人高齢不眠症患者に対する費用対効果分析

 日本で最も幅広く使用されている睡眠薬であるベンゾジアゼピン受容体作動薬ゾルピデムとオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの費用対効果について、MSD株式会社の西村 晋一氏らが、比較検討を行った。Journal of Medical Economics誌2018年7月号の報告。  本研究では、不眠症と高齢者に多大な影響を及ぼす股関節骨折リスクを考慮したモデルを用いて検討を行った。公表された論文より、データを収集した。65歳以上の日本人高齢不眠症患者の仮想コホートを対象として研究を実施した。費用対効果の評価には、質調整生存年(QALY)と増分費用効果比を用いた。調査は、医療従事者の視点で行った。  スボレキサントとゾルピデムの費用対効果を検討した主な結果は以下のとおり。

過敏性腸症候群は炎症性腸疾患よりもうつ病が重症化しやすい

 過敏性腸症候群(IBS)患者は炎症性腸疾患(IBD)患者と比べて併存しているうつ病や不安の重症度が高いことが、中国・中日友好医院のQin Geng氏らの研究によって明らかになった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2018年5月4日号に掲載。  IBSやIBDといった慢性胃腸疾患の患者では、うつ病が併存している割合が高いが、IBSとIBDで一貫性のある結果は認められていない。そのため、本研究では、IBSおよびIBD患者におけるうつ病の有病率や重症度について検討した。

NP、PAによる皮膚科手術、件数も範囲も拡大傾向

 ナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)といった高度実践医療従事者(Advanced Practice Professional:APP)は、数多くの多様な皮膚科的処置や手術を独立して行っているが、その件数や範囲が年々どのように変化しているかは、ほとんど知られていない。米国・Summa Akron City HospitalのMyron Zhang氏らは、メディケアのデータを解析し、APPが実施した皮膚科的処置や手術の件数が2012年から2015年にかけて経時的に増加しており、範囲も拡大していることを明らかにした。著者は、「年々増加傾向のAPPによる皮膚科的処置および手術の件数や範囲が、患者の予後とどのように関連しているか、またより正式な訓練が必要かどうかを明らかにするために、さらなる研究が望まれる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月11日号掲載の報告。

白内障手術で、高齢者の交通事故が減少!?

 白内障は、世界的に最も一般的な視力障害の原因であり、重大な交通事故のリスクを増加させる可能性がある。しかし、白内障の手術が、患者による交通事故を減少させるかはわかっていない。カナダ・トロント大学のMatthew B. Schlenker氏らは、最初の片眼の白内障手術(ほとんどの患者はすぐにもう片方の眼も施術)を受けた地域住民の患者を対象に、個々においてセルフマッチングクロスオーバー曝露研究を行い、白内障手術が術後患者における重大な交通事故誘発のリスクを、わずかに減少させることを明らかにした。著者は、「このことは死亡率、罹患率および社会的コストに対して潜在的な影響があると考えられる」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年6月28日号掲載の報告。

うつ病と勃起不全に関するメタ解析

 うつ病は勃起不全(ED)のリスクを増加させるといわれているが、他の研究では関連が認められないとの報告もある。また、EDがうつ病リスクを増加させるとの報告もある。中国・華中科技大学のQian Liu氏らは、うつ病とEDとの関連を評価したすべての研究を特定して定量的に統合し、観察された関連性の差異についての要因を調査するため、検討を行った。The journal of sexual medicine誌オンライン版2018年6月27日号の報告。

anamorelin、日本人消化器がんの悪液質にも効果(ONO-7643-05)/日本臨床腫瘍学会

 がん悪液質は、進行がんの約70%に認められ、とくに進行消化器がんでは多くみられる。予後不良でQOLを低下させるが、現在有効な治療法はない。anamorelinは選択的グレリン受容体作動薬であり、肺がん悪液質における無作為化二重盲検比較試験(ONO-7643-04)で有効性が認められている。神戸市で開催された第16回日本臨床腫瘍学会では、消化器がんにおける悪液質に対するanamorelinの有効性と安全性を評価する多施設非無作為化オープンラベル試験ONO-7643-05の結果について杏林大学 古瀬 純司氏が発表した。

統合失調症の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要

 攻撃的な行動の管理は、統合失調症治療において課題であり、洞察力の低さ、精神症状の再燃、物質使用障害や人格障害との併存などの疾患重症度の臨床的予測因子と関連付けられることが少なくない。統合失調症の再発とそれに伴う攻撃的な行動のリスクは、しばしばコンプライアンス不良が原因である。イタリア・ミラノ大学のMassimiliano Buoli氏らは、統合失調症患者の攻撃性管理のための抗精神病薬持効性注射剤の使用に関する臨床的概要について報告した。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2018年6月26日号の報告。

抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ高リスク患者にも良好な成績(CAPSTONE-2)/シオノギ

 塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:手代木 功)は、重症化および合併症を起こしやすいリスク要因をもつインフルエンザ患者を対象としたバロキサビル マルボキシル(商品名:ゾフルーザ)の第III相臨床試験(CAPSTONE-2)において、主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間(インフルエンザ症状が回復するまでの時間)がプラセボに対する優越性を示し、本試験の主要目的を達成したと発表。また、主要副次評価項目である抗ウイルス効果(ウイルス排出期間の短縮や体内ウイルス量の減少効果など)においても、プラセボおよびオセルタミビルに対する優越性を示した。さらに、インフルエンザ関連合併症の発現率をプラセボに対して有意に低下させた。一方,本試験での本薬の忍容性は良好であり、安全性について懸念は示されなかった。本試験の詳細な結果は、今後学会にて発表する予定。

アルコール依存症に対するバクロフェン治療に関するメタ解析

 アルコール依存症(AD:alcohol dependence)治療に対するバクロフェンの有効性(とくに用量の効果)に関して、現在のエビデンスのシステマティックレビューは不十分である。オランダ・アムステルダム大学のMimi Pierce氏らは、現在利用可能なランダム化プラセボ対照試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年6月19日号の報告。