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- 2024/12/20
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皮下膿瘍、切開排膿に抗菌薬併用が有効/NEJM
5cm以下の単純性皮下膿瘍について、切開排膿単独と比較し、切開排膿にクリンダマイシンまたはトリメトプリム・スルファメトキサゾール(TMP-SMX)を併用することで、短期アウトカムは改善することが示された。米国・シカゴ大学病院のRobert S. Daum氏らが、成人および小児外来患者を対象とした、多施設共同二重盲検プラセボ対照比較試験の結果を報告した。ただし著者は、「この治療のベネフィットとこれら抗菌薬の既知の副作用プロファイルを、比較検討する必要がある」とまとめている。合併症のない皮下膿瘍はよくみられるが、市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の時代における適切な治療は明らかになっていない。NEJM誌2017年6月29日号掲載の報告。
子癇前症ハイリスク妊婦への低用量アスピリンは?/NEJM
早期子癇前症リスクの高い妊婦に対し、妊娠11~14週から36週にかけて低用量アスピリンを投与することで、妊娠37週以前の子癇前症リスクはおよそ6割減少することが示された。英国・キングス・カレッジ病院のDaniel L. Rolnik氏らが、1,776例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月28日号で発表した。早期子癇前症は、母体および周産期の死亡や合併症の重大要因である。低用量アスピリン服用で、そのリスクが低下可能か、これまで確認されていなかった。
重症喘息へのbenralizumab、経口ステロイドを減量/NEJM
重症喘息患者において、抗インターロイキン-5受容体αサブユニット・モノクローナル抗体benralizumabの8週ごとの皮下投与は、年間喘息増悪率も大幅に低下し喘息コントロールを維持しながら、経口ステロイドの服用量を減少可能であることが、無作為化二重盲検並行群プラセボ対照試験の結果、示された。なお、示された効果には、1秒量(FEV1)への持続的効果は伴わなかった。カナダ・マックマスター大学のParameswaran Nair氏らによる検討で、NEJM誌2017年6月22日号(オンライン版2017年5月22日号)で発表した。
ニボルマブ、転移・再発NSCLCの1次治療で予後改善せず/NEJM
未治療のStage IVおよび再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、抗PD-1抗体製剤ニボルマブは標準的な化学療法と比較して予後を改善しないことが、米国・オハイオ州立大学総合がんセンターのDavid P. Carbone氏らが行ったCheckMate 026試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2017年6月22日号に掲載された。ニボルマブは、既治療の転移のあるNSCLCの2つの第III相試験でドセタキセルよりも全生存(OS)期間が優れ、未治療のNSCLCの第I相試験では持続的奏効や良好な安全性プロファイルが報告されている。一方、PD-L1を超えるバイオマーカーの探索が進んでおり、腫瘍の遺伝子変異負荷(tumor-mutation burden:TMB)が高度な患者は、免疫療法からベネフィットを得る可能性が高いことが示唆されている。
急性脳卒中後の体位、仰臥位vs.頭部挙上/NEJM
急性脳卒中後の治療24時間における患者の体位を、仰臥位とした場合と、30度以上の頭部挙上とした場合について、障害のアウトカムに差は認められなかった。中国・George Institute for Global HealthのCraig S. Anderson氏らが、急性虚血性脳卒中患者のアウトカムが、脳灌流を増加させる仰臥位にすることで改善するかどうかを検討したHead Positioning in Acute Stroke Trial(HeadPoST試験)の結果、報告した。急性脳卒中後の体位について、仰臥位は脳血流の改善に寄与するが、一方で誤嚥性肺炎のリスクがある。また、ガイドラインはあいまいで、臨床現場ではさまざまな体位がとられている。NEJM誌2017年6月22日号掲載の報告。
進行期大腸がん、1次治療での最適な分子標的薬とは/JAMA
未治療の進行期または転移のある大腸がんでKRAS野生型遺伝子を有する患者において、化学療法と組み合わせる分子標的治療として、セツキシマブ(商品名:アービタックス)とベバシズマブ(同:アバスチン)を比較検討する無作為化試験が、米国・カリフォルニア大学のAlan P. Venook氏らにより行われた。結果、全生存期間(OS)について有意な差は認められなかった。分子標的治療の上乗せは、進行期または転移のある大腸がんの患者に臨床的有益性をもたらすが、いずれの分子標的薬が未治療患者への至適な選択であるかは不明であった。JAMA誌2017年6月20日号掲載の報告。
インスリン デグルデク vs.グラルギン、心血管転帰は?/NEJM
2つの基礎インスリン製剤デグルデク(商品名:トレシーバ)とグラルギン(同:ランタスほか)について、心血管イベントリスクが高い2型糖尿病患者を対象に有効性および安全性を比較検討した結果、デグルデクはグラルギンに対して、主要な心血管イベントの発生に関して非劣性であることが示された。米国・リサーチメディカルセンターのSteven P. Marso氏らが行った「DEVOTE」試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年6月12日号で発表された。デグルデクは1日1回投与の持効型インスリンで、小児~成人への使用が承認されている。先行研究では非盲検試験において、デグルデクはグラルギンよりも血糖降下の日内・日差変動が小さく低血糖の発生頻度も低いことが示されていたが、心血管安全性についてはデータが示されていなかった。
ADTにアビラテロンの併用で、ホルモン療法未治療の前立腺がんの生存延長/NEJM
新たに診断されたホルモン療法未治療の転移のある前立腺がん患者において、アンドロゲン除去療法(androgen-deprivation therapy:ADT)に、アンドロゲン合成酵素(CYP17)の選択的阻害薬であるアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン[商品名:ザイティガ])とprednisoneを併用することにより、全生存期間(OS)と画像評価による無増悪生存期間(rPFS)が有意に延長することが示された。フランス・パリ第11大学のKarim Fizazi氏らが、34ヵ国235施設で実施された第III相国際共同無作為化二重盲検比較試験「LATITUDE」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2017年6月4日号掲載の報告。
米国内科専門医試験、出題内容と実臨床の一致率は約7割/JAMA
米国で内科医の資格を得るには、米国内科試験委員会(American Board of Internal Medicine:ABIM)の認定資格維持(Maintenance of Certification:MOC)試験に合格することが必須である。その出題内容について、実際に内科医が遭遇する割合は、およそ7割であることが、米国・ABIMのBradley Gray氏らが行った検討で明らかにされた。結果について著者は、「現行の内科(IM)-MOC試験内容は、実際の診療内容を反映した妥当なものと言えるが、31%の設問が実態と合致しておらず、この点については改善の余地がある」とまとめている。JAMA誌2017年6月13日号掲載の報告。
アミロイドβ蛋白が高いと認知機能低下リスクが高い/JAMA
認知機能が正常でも、アミロイドβ蛋白値が高い人は正常値の人に比べ、認知機能低下リスクが高いことが示された。中央値3.1年の追跡調査の結果、アミロイドβ蛋白値が高い群で、ミニメンタルステート検査(MMSE)など3つの認知機能のスコアについて有意な低下が認められたという。米国・南カリフォルニア大学のMichael C. Donohue氏らが、認知機能の正常な445例を対象に、探索的データ解析を行い明らかにしたもので、JAMA誌2017年6月13日号で発表した。
アビラテロンの早期追加でホルモン未治療前立腺がんの予後改善/NEJM
局所進行・転移性前立腺がんの治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)にアビラテロン酢酸エステル(商品名:ザイティガ)(以下、アビラテロン)+プレドニゾロンを併用すると、ADT単独に比べ全生存(OS)率および治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率が有意に改善することが、英国・バーミンガム大学のNicholas D. James氏らが行ったSTAMPEDE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月3日号に掲載された。
PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM
既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。
2次予防の抗血小板療法、重大出血リスクは高齢ほど上昇/Lancet
プロトンポンプ阻害薬(PPI)非併用でアスピリンベースの抗血小板治療を受ける虚血性イベント後の患者について、重大出血のリスクは長期的に高いことが、前向き住民ベースのコホート試験で示された。また、そのような患者は、先行研究で示された患者と比べて実際には高齢の患者で多く、機能障害が残るまたは死亡に至る上部消化管出血のリスクがかなり高かった。これら、英国・オックスフォード大学のLinxin Li氏らによる「Oxford Vascular Study」試験の結果は、Lancet誌オンライン版2017年6月13日号で発表された。虚血性イベント後の患者には生涯にわたる抗血小板治療が、先行研究である75歳未満の患者を対象とした試験をベースに推奨されている。著者らは年齢を問わず、2次予防としての抗血小板治療における出血のリスク、経過、アウトカムを評価するため、本検討を行った。
無作為化試験の質、雑誌により格差/BMJ
無作為化試験について、鍵となる方法論の報告が不十分であることや、方法論の不十分な活用が問題視されているが、フランス国立衛生医学研究所(INSERM)のAgnes Dechartres氏らは、それらが過去30年間でどのように変化しているかを調べた。その結果、とくに無作為化の順番作成(sequence generation)および割当秘匿(allocation concealment)に関しては、不十分な報告や方法論の不十分な利用は減少していたが、大半でそれらが認められ、とくにインパクトファクターの低いジャーナルに掲載された試験でその可能性が考えられるという。BMJ誌2017年6月8日号掲載の報告。
アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJM
未治療の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、アレクチニブ(商品名:アレサン)はクリゾチニブ(同:ザーコリ)よりも有効性に優れ忍容性も良好であることが認められた。スイス・ローザンヌ大学病院のSolange Peters氏らが、国際共同無作為化非盲検第III相試験「ALEX」の結果を報告した。選択的ALK阻害薬アレクチニブは、ALK陽性NSCLCに対し、全身性の効果に加え中枢神経系(CNS)の転移にも有効であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2017年6月6日号の掲載報告。
インクレチン薬で死亡リスク上昇せず、189件のRCTメタ解析/BMJ
中国・West China HospitalのJiali Liu氏らは、インクレチン関連薬の無作為化試験についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、2型糖尿病患者に対するインクレチン関連薬による治療が死亡リスクを上昇させるというエビデンスは得られなかったと報告した。大規模無作為化試験(SAVOR-TIMI 53)において、サキサグリプチンはプラセボと比較して死亡率が高い(5.1% vs.4.6%)傾向が示され、インクレチン関連薬による治療と死亡リスク増加との関連が懸念されていた。BMJ誌2017年6月8日号掲載の報告。
早期HER2+乳がん、術後補助療法にペルツズマブ追加が奏効/NEJM
早期HER2陽性乳がん患者に対し、術後補助化学療法+トラスツズマブに加え、ペルツズマブ(商品名:パージェタ)を投与することで、3年無浸潤疾患生存率は有意に改善したことが報告された。とくにリンパ節陽性患者で、同生存率の改善が示された。ドイツ・GBG ForschungsのGunter von Minckwitz氏らAPHINITY研究グループが、43ヵ国549ヵ所の医療機関を通じて行ったプラセボ対照無作為化比較試験で明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2017年6月5日号で発表した。
カナグリフロジン、CVリスク低下の一方で切断リスクは上昇/NEJM
心血管疾患リスクが高い2型糖尿病に対し、SGLT2阻害薬カナグリフロジンの投与は、心血管リスクを約14%低減するものの、一方で足指や中足骨などの切断術リスクはおよそ2倍に増大することが明らかになった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのBruce Neal氏らが、30ヵ国、1万例超を対象に行った2つのプラセボ対照無作為化比較試験「CANVAS」「CANVAS-R」の結果を分析し明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2017年6月12日号で発表した。
敗血症の治療は早めるほどよい?/NEJM
敗血症の治療において、3時間ケアバンドルの完了と抗菌薬投与をより早めることは、院内死亡率の低下と関連することが示された。なお、静脈内輸液の初回ボーラス投与完了を早めることは、関連していなかったという。2013年、米国ニューヨーク州は医療機関に対して、敗血症の迅速な同定と治療のためにプロトコルに従うことを義務づけたが、敗血症の治療を早めることが患者の転帰を改善するかについては議論されていた。米国・ピッツバーグ大学のChristopher W. Seymour氏らは、義務化後の状況を調査、検討した。NEJM誌2017年6月8日号(オンライン版2017年5月21日号)掲載の報告。
小さな乳がんはたちが良い?たちが良いから小さい?/NEJM
生物学的に“favorable”な乳がんはサイズが小さい腫瘍に多く、その頻度は若年女性のほうが低く、生物学的に“favorable”で小さな乳がんは予後が良好であり、過剰診断率は加齢に伴って増加することが、米国・イェール大学のDonald R. Lannin氏とShiyi Wang氏の調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年6月8日号に掲載された。マンモグラフィの導入以降、腫瘍サイズの小さな乳がんの発症率が、大きな乳がんの3倍以上に達することがH. Gilbert Welch氏らにより報告されている。これは、小さな乳がんの多くが大きな乳がんには進行せず、小さな乳がんの検出の際に過剰診断が起きることを意味するという。