腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

Ph陽性ALLの1次治療、減弱化学療法下のポナチニブvs.イマチニブ/JAMA

 新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph陽性ALL)成人患者において、ポナチニブはイマチニブと比較し、強度減弱化学療法併用下で導入療法終了時の微小残存病変(MRD)陰性完全寛解(CR)率が有意に高く、優越性が認められた。安全性プロファイルはイマチニブと同等であった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのElias Jabbour氏らが、77施設で実施された第III相国際共同無作為化非盲検比較試験「PhALLCON試験」の結果を報告した。Ph陽性ALLの1次治療では、第1世代または第2世代のBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬に対する耐性獲得による病勢進行が一般的であるが、ポナチニブはBCR-ABL1およびT315Iを含むすべての単一変異体を阻害する第3世代のチロシンキナーゼ阻害薬である。JAMA誌オンライン版2024年5月9日号掲載の報告。

ゾルベツキシマブ併用化学療法への適切な制吐薬の対応/日本癌治療学会

 5月22日に薬価収載された「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を適応症とする抗Claudin18.2抗体薬ゾルベツキシマブ。本薬はCLDN18.2陽性(免疫染色にて75%以上のがん細胞において発現が2+以上)の治癒切除不能な進行・再発の胃がんの治療成績の向上が期待される。その一方で、臨床試験の段階で催吐性が高いことも報告されていた。  この背景を踏まえ、今回、制吐薬適正使用ガイドライン改訂ワーキンググループの青儀 健二郎氏(同 委員長)らは、ゾルベツキシマブの導入に際して日常診療において適切な制吐療法を遅滞なく行うことができるよう、『HER2陰性CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対するゾルベツキシマブ併用一次化学療法における制吐療法』に関する速報を日本癌治療学会のホームページに公開した。

転移乳がんへのDato-DXd、とくに注目すべきTRAEの発現率は?(TROPION-Breast01)/ESMO BREAST 2024

 化学療法の前治療歴のある手術不能または転移を有するHR陽性(+)/HER2陰性(-)の乳がん患者を対象として、抗TROP2抗体薬物複合体datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)と医師選択化学療法の有効性と安全性を比較した第III相TROPION-Breast01試験の安全性解析の結果、Dato-DXd群ではGrade3以上の治療関連有害事象(TRAE)の発現は半数以下で、投与中断/減量に至る割合が少なく、とくに注目すべきTRAE(AESI)として規定されていた口内炎/口腔粘膜炎、眼表面障害、薬剤関連間質性肺疾患(ILD)はいずれも低Gradeであったことを、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのKomal Jhaveri氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。

NSCLCへのICI、抑うつ・不安が効果を減弱か/Nat Med

 抑うつや不安などの精神的苦痛は、がん患者において、抗腫瘍免疫応答を損なう可能性がある。実際に、悪性黒色腫患者を対象とした研究では、精神的苦痛が免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を低下させたことが報告されている。そこで、中国・中南大学のYue Zeng氏らの研究グループは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における抑うつ・不安とICIの治療効果の関連を調べた。その結果、治療開始前に抑うつ・不安を有する患者は、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)、奏効率(ORR)が不良であった。本研究結果は、Nature Medicine誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。

高リスクHR+/HER2-乳がんの術前療法、レトロゾール+アベマシクリブ12ヵ月投与vs.化学療法(CARABELA)/ESMO BREAST 2024

 高リスクのHR+/HER2-早期乳がんに対する術前療法として、レトロゾール+アベマシクリブ12ヵ月投与を化学療法と比較した第II相無作為化非盲検CARABELA試験で、主要評価項目であるResidual Cancer Burden(RCB)インデックス0~Iの割合は達成できなかったが、臨床的奏効率(CRR)は同様であった。スペイン・Instituto de Investigacion Sanitaria Gregorio MaranonのMiguel Martin氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。

がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG

 東京がん化学療法研究会(TCOG)は、第24回臨床腫瘍夏期セミナーをオンラインで開催する。  同セミナーは、がん診療に携わる医師、薬剤師、看護師、臨床研究関係者、製薬会社、CROなどを対象に、治療の最新情報、臨床研究論文を理解するための医学統計などさまざまな悪性腫瘍の基礎知識から最新情報まで幅広く習得できるよう企画している。

切除可能NSCLC、周術期ニボルマブ追加でEFS改善/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、周術期(術前および術後)補助療法にニボルマブを用いることで、化学療法単独の補助療法と比較して無イベント生存期間(EFS)が有意に延長し、新たな安全性シグナルは観察されなかった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏らCheckMate 77T Investigatorsが試験の結果を報告した。切除可能なNSCLC患者において、ニボルマブ+化学療法の術前補助療法はアウトカムを有意に改善することが示され、術前補助療法における標準治療となっている。ニボルマブを周術期に用いることで、臨床的アウトカムがさらに改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2024年5月16日号掲載の報告。

高リスク早期乳がんへのテーラードdose-dense化学療法、10年時解析で無再発生存期間を改善(PANTHER)/ESMO BREAST 2024

 高リスク早期乳がん患者において、テーラードdose-dense化学療法は標準化学療法と比較して10年間の乳がん無再発生存期間(BCRFS)を改善し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のTheodoros Foukakis氏が、第III相PANTHER試験の長期追跡調査結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。 ・対象:18~65歳、リンパ節転移陽性もしくは高リスクリンパ節転移陰性で、初回手術後の乳がん患者 ・試験群(tdd群):白血球最下点を基にエピルビシン+シクロホスファミドを2週ごと4サイクル、その後ドセタキセルを2週ごと4サイクル(用量は前サイクルの血液毒性に応じて調整) ・対照群(標準化学療法群):フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドを3週ごと3サイクル、その後ドセタキセルを3週ごと3サイクル ・評価項目: [主要評価項目]BCRFS [副次評価項目]副次評価項目は5年無イベント生存期間(EFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、Grade3/4の有害事象発現率

PSA検査の勧奨は前立腺がん死亡を減らすか?~40万人超・15年間追跡/JAMA

 50~69歳の男性に前立腺特異抗原(PSA)のスクリーニング検査の勧奨を1回行うと、これを行わない通常の診療と比較して、15年後の前立腺がんによる死亡が有意に減少するもののその差はわずかであり、全生存への効果は認めないことが、英国・ブリストル大学のRichard M. Martin氏らが実施した「CAP試験」の2次解析で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年5月7日号で報告された。  本研究では、PSAスクリーニング検査の勧奨から追跡期間中央値10年の時点においては前立腺がん死を抑制しないことが示されており、研究グループは今回、追跡期間中央値15年の結果を報告した(英国王立がん研究基金などの助成を受けた)。  2001年9月~2007年8月に、イングランドとウェールズの573のプライマリケア施設(クラスター)を2つの群に無作為化し、2002年1月~2009年1月までにこれらの施設を受診した年齢50~69歳の男性を解析の対象とした。  介入群では、参加者はPSAスクリーニング検査の勧奨を1回受け、検査でPSA値が3.0~19.9ng/mLの場合は経直腸的超音波ガイド下生検(10コア)を提示された。対照群の参加者は、標準的な管理を受け、PSA検査の勧奨は行われなかった。

AI耐性HR+進行乳がんへのカピバセルチブ上乗せ、長期的ベネフィット(CAPItello-291)/ESMO BREAST 2024

 第III相CAPItello-291試験において、アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対するフルベストラントへのAKT阻害薬カピバセルチブの追加は、PIK3CA、AKT1、またはPTEN遺伝子変異を有する患者および全体集団において無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告されている。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏は欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で、同試験のPFS2(無作為化から2次治療開始後の増悪または死亡までの期間)およびTFSC(無作為化から最初の化学療法開始または死亡までの期間)のデータを報告した。