腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

子宮内膜症・子宮筋腫の既往、早期死亡リスクと関連/BMJ

 子宮内膜症あるいは子宮筋腫の既往歴のある女性は、生殖可能年齢を超え70歳未満での早期死亡の長期的リスクが高まる可能性があり、主に婦人科系がんによる死亡リスクの増加とも関連し、子宮内膜症はがん以外の死亡リスクの増加とも関連していた。中国・上海交通大学のYi-Xin Wang氏らが、前向きコホート研究の結果を報告した。子宮内膜症と子宮筋腫は、慢性疾患の長期的リスクを高めることが示されているが、早期死亡リスクに及ぼす影響は不明であった。BMJ誌2024年11月20日号掲載の報告。  研究グループは、米国で1989年に開始された前向きコホート研究「Nurses’ Health Study II」に登録された25~42歳の女性看護師を対象とした。同研究では2019年までの30年以上にわたり、生殖特性、行動因子および健康状態に関して2年ごとに郵送または電子アンケート調査が行われている。

ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんに対するSERD+CDK4/6i+PI3Kiによる予後の改善(解説:下村昭彦氏)

inavolisibは新規PI3K阻害剤である。2023年の「San Antonio Breast Cancer Symposium」で全生存期間(OS)の改善が期待されるデータが公表されてから、その詳細が待たれていた。inavolisibはPI3Kαを特異的に阻害する薬剤で、既存のPI3K阻害剤よりも有害事象が軽減することが期待されていた。inavolisibの有効性を初めて証明した試験がINAVO120試験であり、2024年10月21日にNEJM誌に発表された。INAVO120試験では、ホルモン受容体陽性HER2陰性(HR+HER2-)進行乳がん(転移乳がんもしくは局所進行乳がん)のうち、組織、もしくはctDNAでPIK3CAの変異が検出された患者を対象として、フルベストラント+パルボシクリブにinavolisibまたはプラセボを上乗せするデザインとなっていた。この試験は進行乳がんの1次治療の試験ではあるが、適格基準に特徴がある。すなわち、術後ホルモン療法中の再発、もしくは術後ホルモン療法完了後12ヵ月以内の再発の患者を対象としており、いわゆるホルモン感受性の低い患者へのエスカレーションとなっている。

HER2+乳がん術前補助療法のde-escalation、トラスツズマブ+ペルツズマブ+nab-パクリタキセルが有望(HELEN-006)/Lancet Oncol

 HER2+早期乳がんに対する術前補助療法において、トラスツズマブ+ペルツズマブにドセタキセル+カルボプラチンを併用した標準レジメンより、トラスツズマブ+ペルツズマブにnab-パクリタキセルを併用したde-escalation治療のほうが有用な可能性が示唆された。中国・The Affiliated Cancer Hospital of Zhengzhou University and Henan Cancer HospitalのXiu-Chun Chen氏らが、多施設共同無作為化第III相HELEN-006試験において主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)の最終解析結果を報告した。The Lancet Oncology誌オンライン版2024年11月26日号に掲載。

トリプルネガティブ乳がんの治療にDNAワクチンが有望か

 悪性度が高く、治療も困難なトリプルネガティブ乳がんの女性に新たな希望をもたらす可能性のある、DNAワクチンに関する第1相臨床試験の結果が報告された。ワクチンを接種した18人の患者のうち16人が、接種から3年後もがんを再発していないことが確認されたという。米ワシントン大学医学部外科分野教授のWilliam Gillanders氏らによるこの研究の詳細は、「Genome Medicine」に11月14日掲載された。  トリプルネガティブ乳がんは、他のタイプの乳がんの典型的な原因である、ホルモン受容体(エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体)とHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)がいずれも陰性であるため、これらの受容体を標的にした治療法が効かない。そのため、手術、化学療法、放射線療法などで対処するより他ないのが現状である。全米乳がん財団によると、米国で発生する乳がんの約10〜15%はトリプルネガティブ乳がんであるという。

患者はどう考えている?前立腺がんの治療選択/AZ

 新たな薬剤が登場し、個別化医療が進む前立腺がん。その治療選択を考えるうえで、共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)の重要性が増している。  アストラゼネカは2024年10月、「いま知っておきたい!前立腺がん~西川 貴教さんと学ぶ、前立腺がんと向き合うための医師とのコミュニケーションのポイント~」と題したメディアセミナーを開催。上村 博司氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 診療教授)、前立腺がん体験者の武内 務氏(NPO法人 腺友倶楽部 理事長)、アーティストの西川 貴教氏らが登壇した。

HR+HER2-早期乳がんの遠隔転移再発率の低下(解説:下村昭彦氏)

早期乳がん治療についてはEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)が多くのメタ解析を出版しており、日常臨床に活用されている。今回EBCTCGから早期乳がんの遠隔転移再発に関するプール解析が実施され、Lancet誌2024年10月12日号に掲載された。本研究では、1990年から2009年までに151の臨床試験に登録された早期乳がん患者15万5,746例のデータが用いられた。遠隔再発については各試験の定義が用いられ、10年遠隔再発リスクについて検討された。年代を1990年から1999年と、2000年から2009年の各10年に分けて検討され、リンパ節転移陰性では、エストロゲン受容体(ER)陽性で10.1% vs.7.3%、ER陰性で18.3% vs.11.9%、リンパ節転移が1~3個では、それぞれ19.9% vs.14.7%、31.9% vs.22.1%、リンパ節転移が4~9個では、それぞれ39.6% vs.28.5%、47.8% vs.36.5%であった。治療について補正後、2000年代は1990年代と比較して、遠隔再発率がER陽性例で25%、ER陰性例で19%減少し、ER陽性例では5年を超えても同様の改善が認められた。

局所進行子宮頸がんに対するペムブロリズマブ+同時化学放射線療法が承認/MSD

 MSDは、2024年11月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)が、局所進行子宮頸癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)との併用について、国内製造販売承認事項一部変更の承認取得を発表した。  今回の承認は、未治療の国際産婦人科連合(FIGO)2014進行期分類のIB2~IIB期またはIII~IV A 期の局所進行子宮頸がん患者1,060例(日本人90例を含む)を対象とした国際共同第III相試験KEYNOTE-A18試験のデータに基づいたもの。

多発性骨髄腫の治療継続、医師と患者の認識にギャップ/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は、 2024年11月15日、2024年6月に実施した多発性骨髄腫患者と多発性骨髄腫を診療する医師を対象とする調査の結果を発表した。  調査の結果、半数の患者が、「通院などの身体的負担、治療費による負担、治療が続くことへの精神的な負担などから、治療を途中で休みたいと思ったことがある」と回答した。しかし実際には、患者全体の8割は治療を継続していた。医師の調査でも症状が軽快しても、約7割の患者は治療を継続している実態が示された。

果物が大腸がんリスクを抑える~メンデルランダム化解析

 食物摂取とがん発症リスクに関する研究は多くあるが、観察研究は交絡因子の影響を受けやすく、因果関係の解釈が難しい場合がある。遺伝的変異を環境要因の代理変数として使用し、交絡バイアスを最小限に抑えるメンデルランダム化(MR)アプローチによって食事摂取と大腸がんリスクとの関連を評価した研究が発表された。韓国・ソウル大学のTung Hoang氏らによる本研究は、BMC Cancer誌2024年9月17日号に掲載された。  本研究では、UKバイオバンクの大規模データを活用し、赤肉、加工肉、家禽、魚、牛乳、チーズ、果物、野菜、コーヒー、紅茶、アルコールといった食品の消費に関連する遺伝的変異を特定した。具体的には9,300万以上の遺伝的変異から399の変異を選び出し、これをもとに食事摂取量に関連する遺伝的リスクスコアを構築した。MR解析では、この遺伝的リスクスコアを利用して、食品摂取と大腸がんリスクとの因果関係を推定した。また、観察解析としてCox比例ハザードモデルを用い、実際の食品摂取量と大腸がんリスクとの関連も評価した。

四肢軟部肉腫、周術期ペムブロリズマブ上乗せでDFS改善/Lancet

 四肢の高リスク限局性軟部肉腫患者の治療において、術前放射線療法+手術と比較して、これに術前および術後のペムブロリズマブ(抗PD-1モノクローナル抗体)を追加する方法は、無病生存期間(DFS)を有意に改善することから、これらの患者の新たな治療選択肢となる可能性があることが、米国・ピッツバーグ大学のYvonne M. Mowery氏らが実施したSU2C-SARC032試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年11月23日号で報告された。  SU2C-SARC032は、4ヵ国(オーストラリア、カナダ、イタリア、米国)の20施設で実施した非盲検無作為化試験であり、2017年11月~2023年11月に参加者の無作為化を行った(Stand Up to Cancerなどの助成を受けた)。