腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:191

HPVワクチン啓発 産婦人科・小児科・行動科学の力を合わせて

 子宮頸がん等の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を防ぐHPVワクチンの有用性・安全性は医療者の間では既知の事実だ。諸外国では高い割合で接種されているが、日本は積極的接種勧奨が中止されたまま、接種率は1%と危機的な状況にある。この現状を変えるために医師たちが立ち上げたのが「一般社団法人 みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」だ。  8月25日に行われた設立説明会で、産婦人科、小児科、そして行動科学の観点からのこの状況を変えるための課題と団体の取り組みが共有された。

高齢の早期乳がん、術後放射線療法は省略可能か?

 高齢の早期乳がん患者において、乳房温存手術後の放射線療法が省略可能かについては議論がある。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのFei Wang氏らは、70歳以上の乳がん患者11万例以上のデータを解析し、放射線療法実施の有無による生存への影響を評価した。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年8月24日号に掲載の報告より。  対象は米国国立がんデータベースに登録され、2004~2014年に乳房温存手術を受けた、70歳以上、T1-2N0-1M0の女性乳がん患者。多変量Cox比例ハザードモデルを使用して、3、5、10年時の死亡率と乳房温存手術後の放射線療法との関連についてハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

COVID-19流行下、3次医療機関でのがん患者の入院は安全か/JCO

 オーストリア・ウィーンの3次医療機関で、COVID-19に対する政府や施設の感染対策実施後に、入院中のがん患者のSARS-CoV-2感染率を調査したところ、一般集団と同様であり、また、がん以外の患者よりも低かったことが報告された。今回の結果から、人口全体および施設の厳格な感染対策が実施された場合には、大規模な3次医療機関において積極的ながん治療や通院が実現可能で安全であることが示唆された。Medical University of ViennaのAnna S. Berghoff氏らによる報告が、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年8月14日号に掲載された。

「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」6年ぶりの改訂

 『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2020年版』が7月22日に発刊された。今回の改訂は2014年版が発刊されてから6年ぶりで、ヒドロモルフォン(商品名:ナルサスほか)、トラマドール塩酸塩の徐放性製剤(商品名:ワントラム)などの新規薬物の発売や新たなエビデンスの公表、ガイドライン(GL)の作成方法の変更などがきっかけとなった。本書の冒頭では日本緩和医療学会理事長の木澤 義之氏が、「分子標的薬ならびに免疫チェックポイント阻害薬をはじめとするがん薬物療法が目覚ましい発展を遂げていることなどを踏まえて改訂した」と述べている。

早期乳がんの放射線療法による長期予後、術中vs.術後外来/BMJ

 早期乳がん患者において、乳房温存手術(乳腺腫瘍摘出術)と併せて行う術中放射線療法(TARGIT-IORT)は、術後全乳房外部放射線療法(EBRT)に代わる有効な放射線療法であることが示された。長期のがん抑制効果はEBRTに引けを取らないものであり、一方で非乳がん死亡率は低かった。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのJayant S. Vaidya氏らによる無作為化試験「TARGIT-A試験」の結果で、本試験の早期結果においては、TARGIT-IORTの利点として通院頻度が少なく済むこと、QOLの改善、副作用が少ないことなどが示されていた。結果を踏まえて著者は、「乳房温存手術が予定されている場合、適格患者とTARGIT-IORTについて話をすべきであろう」と提言している。BMJ誌2020年8月19日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ、6週ごと投与の用法・用量を追加/MSD

 MSDは、2020年8月21日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)のすべての効能・効果における用法・用量について、単剤または併用療法を問わず、これまでの 「1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する」に加えて、「1回400mgを6週間間隔で30分間かけて点滴静注する」が追加となったと発表。  今回の用法・用量追加は、薬物動態シミュレーション、曝露量と有効性または安全性との関係に基づいて検討した結果、新規用法・用量である1回400mgを6週間間隔で投与した場合の有効性または安全性は、既承認の用法・用量である1回200mgを3週間間隔で投与した場合と明確な差異がないと予測され、承認に至ったもの。

イマチニブのGIST術後補助療法の期間、1年vs.3年/JAMA Oncol

 消化管間質腫瘍(GIST)に対するイマチニブ術後補助療法の至適投与期間はどれくらいなのか。フィンランド・ヘルシンキ大学のHeikki Joensuu氏らによる、イマチニブ術後補助療法の1年投与と3年投与を比較する多施設共同無作為化非盲検第III相試験の追跡10年時点の評価において、有効性は1年投与より3年投与が優れていることが示された。イマチニブ術後補助療法は、無再発生存期間(RFS)の延長と関連することが示されていたが、全生存期間(OS)の成績については明らかになっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「より長期のイマチニブ術後補助療法を行うことで、術後10年間の死亡リスクはほぼ半減する可能性が示された」とまとめている。JAMA Oncology誌2020年5月29日号掲載の報告。

METエクソン14スキッピング肺がん治療薬カプマチニブ発売/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ、2020年8月26日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として、カプマチニブ (商品名:タブレクタ)を発売した。  カプマチニブはMETに対する選択的な経口阻害薬で、NSCLCにおける発がんドライバー因子であるMETex14変異に対しても阻害活性を有する。  METex14変異陽性のNSCLCは、肺がんの中でも予後不良な集団で治療選択肢が限られており、METex14を標的とする治療法の開発が望まれていた。METex14変異はNSCLC患者の約3~4%に報告されており、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者数は日本国内では約3,000名程度と推定される。

予期せぬ体重減少、がん精査をすべき?/BMJ

 プライマリケアで予期せぬ体重減少を呈した成人のがんリスクは2%以下で、英国の現行ガイドラインに基づく検査対象とはならないことが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のBrian D. Nicholson氏らによる、予期せぬ体重減少のがん予測を定量化することを目的とした診断精度研究の結果で、著者は、「しかしながら、50歳以上の男性喫煙者および臨床所見を有する患者では、がんリスクを考慮すると、侵襲的な検査受診を紹介する必要がある」と述べている。報告では、特定のがん部位と関連する典型的な臨床所見は、予期せぬ体重減少が生じた際は複数のがん種のマーカーとなることも明らかにされた。BMJ誌2020年8月13日号掲載の報告。

体重減少伴う発症初期の糖尿病で膵がんリスク増/JAMA Oncol

 糖尿病と膵臓がんの関連は知られているが、体重減少を伴う発症して間もない糖尿病では、膵臓がんのリスクが大幅に高いことが明らかにされた。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChen Yuan氏らによるコホート研究の結果で、「高齢」「以前は健康体重」「意図的な減量ではない」場合は、さらに膵臓がんの発症リスクが高まることも示された。米国において膵臓がんは、がん死要因で3番目に多いという。しかしこれまで、膵臓がんの早期診断戦略を促進する高リスク群は、ほとんど特定されていなかった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年8月13日号掲載の報告。  研究グループは、30年以上にわたり繰り返し評価が行われてきた米国の2つのコホート研究(Nurses’Health StudyおよびHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いて、糖尿病罹病期間および最近の体重変化とその後の膵臓がんリスクとの関連を解析した。