腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

進行・再発子宮頸がんに対するチソツマブ べドチン発売/ジェンマブ

 ジェンマブは2025年5月21日、がん化学療法後に増悪した進行または再発の子宮頸がんに対する治療薬として、チソツマブ べドチン(遺伝子組換え)(商品名:テブダック点滴静注用40mg)を発売したことを発表した。本剤は、組織因子を標的とするヒトモノクローナル抗体に、プロテアーゼ切断可能なリンカーを用いて微小管阻害薬モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を共有結合させた、進行または再発の子宮頸がんに対するファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)である。  チソツマブ べドチンは、国際共同無作為化非盲検第III相試験(innovaTV 301/SGNTV-003試験)などの成績に基づいて承認された。innovaTV 301/SGNTV-003試験では、化学療法の前治療歴がある進行/再発の子宮頸がん患者502例(日本人患者101例を含む)を対象として、治験担当医師が選択した化学療法単剤との比較において、主要評価項目である全生存期間を統計学的有意に延長した。

早期HER2+乳がん、術後化療+トラスツズマブへのペルツズマブ上乗せでOS改善(APHINITY)/ESMO BREAST 2025

 HER2陽性乳がんに対する術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相APHINITY試験の最終解析の結果、ペルツズマブの上乗せにより全生存期間(OS)が有意に改善したことを、スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2025、5月14~17日)で報告した。  APHINITY試験は、HER2陽性の手術可能な早期乳がん患者(4,804例)を対象に、術後療法として化学療法+トラスツズマブにペルツズマブを上乗せした際のプラセボ群に対する無浸潤疾患生存期間(iDFS)における優越性を検証したプラセボ対照無作為化比較試験。中間解析において、ペルツズマブ併用群では、プラセボ群よりもiDFSの有意な改善を示した。今回は、追跡期間中央値11.3年の最終解析結果が報告された。

アシミニブが初発CMLに効能追加/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは2025年5月19日、アシミニブ(商品名:セムブリックス)が初発の慢性骨髄性白血病(CML)に対する効能追加の承認を取得したことを発表した。 本剤は、2022年3月28日に「前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病」に対して承認されている。なお、今回の効能追加に伴い、40mg1日2回投与から、80mg1日1回投与に変更することが承認された。  この承認は、国際共同第III相試験(J12301/ASC4FIRST試験)のデータに基づくもの。本試験は、初発のCML成人患者を対象に医師選択の第1世代または第2世代TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)と直接比較した多施設共同非盲検無作為化試験であり、医師選択TKIに対するアシミニブの優越性が検証された。

EGFR陽性NSCLC、EGFR-TKI後のアミバンタマブ+化学療法が承認/J&J

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は2025年5月19日、アミバンタマブ(商品名:ライブリバント)と化学療法の併用療法について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する用法及び用量の一部変更の承認を取得したことを発表した。本承認により、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)による治療後に病勢進行が認められた非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対し、カルボプラチンおよびペメトレキセドとの併用においてアミバンタマブが使用可能となる。

HR+/HER2-進行乳がん、ESR1変異検査を行うタイミングは?(PADA-1)/ESMO BREAST 2025

 第III相PADA-1試験では、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対する1次治療としてアロマターゼ阻害薬とパルボシクリブの併用療法を受けた患者のうち、疾患進行前に血液中で検出されたESR1変異を有する患者において、フルベストラントとパルボシクリブ併用療法への早期切り替えの臨床的有用性が示されている。フランス・キュリー研究所のFrancois Clement Bidard氏は、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2025、5月15~17日)で同試験の2次解析結果を発表し、血中ESR1変異累積発現率は約40%で、その検出時期は一様でなく、治療開始後6ヵ月以内の検出例は少数であり、3年以降は減少することが確認された。

術前PD-1阻害薬療法、広範なdMMR固形腫瘍で手術を回避/NEJM

 ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の局所進行直腸腫瘍では、免疫チェックポイント阻害薬を用いた術前補助療法により高率に手術の必要性がなくなったとの報告があり、これを腫瘍部位を問わずにあらゆる早期dMMR固形腫瘍に適用可能ではないかとの仮説が提唱されている。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAndrea Cercek氏らは、根治手術が可能な早期dMMR固形腫瘍患者において、PD-1阻害薬dostarlimabを用いた術前補助療法が、高い割合で当該臓器の温存をもたらすことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2025年4月27日号に掲載された。

EGFR陽性StageIIIのNSCLC、CRT後のオシメルチニブ承認/AZ

 アストラゼネカは2025年5月19日、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)について「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」の適応で、厚生労働省より承認を取得したことを発表した。EGFR遺伝子変異陽性の切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する分子標的薬では、本邦初の承認となる。これまで、切除不能なStageIIIのNSCLCにおいては、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、根治的化学放射線療法(CRT)およびその後のデュルバルマブによる維持療法が標準治療とされていた。

紙巻きタバコと電子タバコの併用で健康リスクは軽減しない

 折につけて紙巻きタバコを電子タバコに替えることでがんのリスクを減らせると考える人がいるかもしれないが、その考えは正しくないようだ。新たな研究で、紙巻きタバコと電子タバコを併用しても、タバコに関連するニコチンや発がん物質への曝露量は紙巻きタバコだけを吸う人と同等であることが示された。米国がん協会(ACS)タバコ規制研究グループのシニア・アソシエイト・サイエンティストであるZheng Xue氏らによるこの研究結果は、「Nicotine and Tobacco Research」に4月15日掲載された。

CAR-T細胞療法無効のリンパ腫、強化CAR-T細胞療法は有効か/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法が奏効しなかったリンパ腫患者において、インターロイキン-18を分泌することで抗腫瘍活性を高める抗CD19強化(armored)CAR-T細胞製剤「huCART19-IL18」は、他のCAR-T細胞療法と安全性プロファイルが一致し、低細胞量で有望な有効性を示した。米国・ペンシルベニア大学のJakub Svoboda氏らが第I相試験の結果を報告した。CD19を標的とするCAR-T細胞療法は、B細胞がんの治療に変革をもたらしたが、なお多くの患者は長期の寛解を得られていない。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?

 米国では、年間6,200万人の患者に対して約9,300万件のCT検査が行われている。CT検査は診断に役立つが、被曝によってがんリスクを高める可能性がある。2009年の分析では、2007年の米国におけるCTの使用により将来約2万9,000件のがんが発症するとの推定が報告されたが、2007年以降、年間に実施されるCT検査数は30%以上増加しているという。  CT使用に関連する将来的ながん発症率の予測値を更新するため、カリフォルニア大学サンフランシスコ校疫学・生物統計学部のRebecca Smith-Bindman氏らは、2018年1月~2020年12月にカリフォルニア大学国際CT線量レジストリの検査データ12万1,212件を使用し、リスクモデルを用いた分析を実行した。