腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

TN乳がん1次治療のDato-DXd、QOL悪化までの期間を延長(TROPION-Breast02)/ESMO BREAST 2026

 免疫チェックポイント阻害薬の適応とならない局所進行切除不能または転移を有する未治療のトリプルネガティブ乳がんを対象とした第III相TROPION-Breast02試験において、抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)は、化学療法と比較してQOL悪化までの期間を延長したことを、英国・Barts Cancer InstituteのPeter Schmid氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で報告した。 これまでの解析では、Dato-DXdが治験責任医師選択化学療法(パクリタキセル、nab-パクリタキセル、カペシタビン、エリブリン、カルボプラチン)と比較して、主要評価項目である全生存期間および無増悪生存期間において統計的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したことが報告されている。

「MASLD診療ガイドライン」改訂、脂肪肝を全身疾患として再定義/日本消化器病学会

 2026年4月、「MASLD診療ガイドライン」が改訂された。2020年に発刊した前版の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」から6年ぶりの改訂で、第3版となる。2026年4月16~18日に開催された第112回日本消化器病学会総会では、改訂ポイントを解説するパネルディスカッションが開催された。  今改訂の最大のトピックスは、疾患名の変更とその定義だ。従来、脂肪性肝疾患に用いられてきた「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」「NASH(非アルコール性脂肪肝炎)」の疾患名は国際的コンセンサスに基づき、2023年に「MASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)」「MASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)」に変更された。

MYC/BCL2二重発現DLBCL、ツシジノスタット追加でEFS改善/JAMA

 MYC/BCL2二重発現リンパ腫(DEL)は、MYCおよびBCL2の共発現で定義されるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の高リスクの一形態で、標準治療であるR-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、prednisone)療法による免疫化学療法後の予後が不良とされる。中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のPeng-Peng Xu氏らは「DEB試験」において、DELの1次治療では選択的ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬ツシジノスタット+R-CHOP併用療法は、R-CHOP療法単独と比較して無イベント生存期間(EFS)を有意に改善し、毒性作用は全般に管理可能であることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年4月22日号で報告された。

AI耐性HR+進行乳がんへのカピバセルチブ上乗せ、最終OS結果(CAPItello-291)/ESMO BREAST 2026

 アロマターゼ阻害薬(AI)治療中または治療後に再発または進行したホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対するフルベストラントへのカピバセルチブの上乗せ効果を検討した国際第III相CAPItello-291試験において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はPIK3CA、AKT1、PTENのいずれかの遺伝子変異を有する患者および全体集団で有意に改善したことが報告されている。今回、副次評価項目である全生存期間(OS)の最終解析で、PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子に変異を有する患者集団および全体集団のいずれにおいても統計学的に有意な改善は認められなかったことを、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で発表した。

HER2+早期乳がん、特定の患者集団では術前化学療法を省略してもpCR率59.6%(PHERGain-2)/ESMO BREAST 2026

 化学療法を併用せずトラスツズマブ・ペルツズマブ(HP)による術前療法を受けたHER2陽性・腫瘍径5~30mmの未治療早期乳がん患者において、59.6%が病理学的完全奏効(pCR)を達成し、同レジメンを術後も継続した場合に健康関連QOL(HRQoL)が良好であることが示された。スペイン・Hospital Arnau de VilanovaのAntonio Llombart Cussac氏が、pCRに基づくde-escalation戦略を評価する目的で実施されたPHERGain-2試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2026、5月6~8日)で発表した。

中性脂肪、がんリスクマーカーに?~日本の全身がん検査プログラム

 京都府立医科大学の手良向 聡氏らが行った後ろ向き観察研究から、ベースラインの血清トリグリセライド(TG)が、将来のがん発症リスクを予測する高感度なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。Health Science Reports誌2026年3月29日号掲載の報告。  日本において、メタボリックシンドローム(Mets)併存患者のがん死亡率は年々増加しており、これらの患者のがんの早期発見が喫緊の課題となっている。近年、Metsの構成要素が活性酸素種(ROS)の生成、ホルモン産生の変化などを通じて、がん発生を促進する可能性が指摘されている。

新規診断の多発性骨髄腫患者と医師のコミュニケーションの実態~国内アンケート調査

 多発性骨髄腫の治療選択肢が拡大する中、協働意思決定(SDM)の重要性が増しており、医師と患者のコミュニケーションが重要となる。今回、近畿大学奈良病院の花本 均氏らが実臨床における医師と患者のコミュニケーションの実態についてアンケート調査した結果、治療開始時および病状安定時において、医師と患者の認識に顕著な乖離があることが示された。eJHaem誌2026年4月26日号に掲載。  本研究は、造血幹細胞移植を受けていない新規に診断された多発性骨髄腫患者220例と、多発性骨髄腫を診療する血液専門医120人を対象とした観察調査研究(2024年9〜11月実施)である。患者は自己記入式の34項目の調査票(オンラインまたは紙媒体)に回答し、血液専門医は、自己記入式の18項目の調査票にオンラインで回答した。治療開始時および病状安定時における、患者と医師間のコミュニケーションの状況、患者の治療に対する期待、価値観、感情、知識、治療に関する意思決定の希望に関する情報をまとめた。

ストレスや悲しみはがんリスクと関連しない

 長年にわたり、強い心理的ストレスや悲しみ、あるいはネガティブな性格はがんを引き起こし得ることが、ウェルネス分野や医療現場で広く信じられてきた。しかし、大規模な国際研究により、個人の精神状態はがんの発症とほとんど関係がない可能性が示された。フローニンゲン大学医療センター(オランダ)のLonneke van Tuijl氏らによるこの研究は、「Cancer」に3月23日掲載された。  この研究では、複数コホートを統合した大規模データベースであるPsychosocial Factors and Cancer Incidence(PSY-CA)コンソーシアムを用いて、心理社会的要因とがん(乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がん、喫煙関連がん、アルコール関連がん)の発症との関連が検討された。

HER2変異陽性NSCLCの1次治療、ゾンゲルチニブが奏効率76%・PFS14.4ヵ月を達成(Beamion LUNG-1)/NEJM

 HER2変異陽性の進行・転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ゾンゲルチニブは迅速かつ持続的な客観的奏効と、無増悪生存期間(PFS)の改善をもたらし、脳転移に対する有効性も期待できることを、米国・University of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのJohn V. Heymach氏らBeamion LUNG-1 Investigatorsが、「Beamion LUNG-1試験」の結果で示した。ゾンゲルチニブは経口投与型の不可逆的チロシンキナーゼ阻害薬で、野生型の上皮成長因子受容体(EGFR)には、ほとんど作用せずにHER2を選択的に阻害するため、関連する毒性作用を最小限に抑えるとされる。研究の成果はNEJM誌2026年4月30日号に掲載された。

免疫介在性炎症性疾患患者のがんリスク、要因は炎症か

 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、乾癬などの免疫介在性炎症性疾患(IMID)患者はがんリスクが高いことが知られているが、リスクが高いのはIMID診断後1年間であり、抗炎症薬による治療を開始するとそのリスクは経時的に低下する可能性が、新たな研究で示された。ガッルーラ地域保健局(イタリア)リウマチ科部長のDaniela Marotto氏らによるこの研究は、「Cancers」に3月23日掲載された。Marotto氏は、「初期段階でがんリスクがピークに達するということは、治療よりも慢性炎症そのものががん発症の重要な要因であることを示唆している」と述べている。