小児科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

模擬運転プログラムで、10代ADHDの衝突事故が低減/NEJM

 注意欠如・多動症(ADHD)を持つ10代は自動車衝突事故のリスクが高く、衝突リスクの一因として、道路から長時間目をそらす行為が指摘されている。米国・シンシナティ小児病院医療センターのJeffery N. Epstein氏らは、この長時間の目そらしを少なくするためのコンピュータ化された模擬運転プログラムによる介入が、従来の自動車運転教育と比較して、模擬運転で道路から長時間目をそらす行為の回数を減少させ、車線内の中心からの位置のずれを抑制し、実社会でも衝突事故や異常接近が低下することを示した。研究の成果は、NEJM誌2022年12月1日号に掲載された。

小児および思春期の抗精神病薬による血清プロラクチンレベルの性差~メタ解析

 血清プロラクチンレベルに及ぼす因子はさまざまあるが、中でも性別、身体的発達、投薬の影響が大きい。抗精神病薬は、成人および若年患者の血清プロラクチンレベルを上昇させることは知られているが、小児・思春期患者における高プロラクチン血症発症に対する性別と脆弱性との潜在的な関連性を検討した研究はほとんどなかった。スペイン・バルセロナ大学のLidia Ilzarbe氏らは、抗精神病薬治療を行っている小児および思春期の精神疾患患者における血清プロラクチンレベルに対する性別の影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、抗精神病薬を投与された小児および思春期患者では、血清プロラクチンレベルの増加が認められ、この増加は男性よりも女性においてわずかに大きいことが示唆された。Current Neuropharmacology誌オンライン版2022年10月27日号の報告。

若年肥満症に対するGLP-1受容体作動薬セマグルチドの効果(解説:小川大輔氏)

わが国では肥満症の治療としてGLP-1受容体作動薬の使用はまだ認められていないが、欧米では一般によく用いられている。これまでにリラグルチドやセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬の有用性が多数報告されているが、主に成人を対象とした試験であった。今回、若年者(12~18歳)の肥満症を対象とした試験の結果が報告された1)。この試験は201例の12歳から18歳未満の肥満症を対象に、セマグルチド2.4mgまたはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付け、週1回皮下投与を行い68週間後のBMIの変化率を評価した。また全例が食事や運動など生活様式への介入を受けた。その結果、試験開始から68週目までのBMIの平均変化量は、プラセボ群(67例)では+0.6%であったのに対し、セマグルチド群(134例)では-16.1%と有意差を認めた(p<0.001)。また5%以上の体重減少の達成割合も、プラセボ群は18%であったが、セマグルチド群は73%と有意に達成割合が高かった(p<0.001)。

アナフィラキシーなどの治療を非専門医向けに/アレルギー総合ガイドライン改訂

 多くの診療科に関係するアレルギー疾患。2022年10月に刊行された『アレルギー総合ガイドライン2022』は、2019年版の全面改訂版だ。各診療ガイドラインのエッセンスを精選して幅広いアレルギー診療の基本をまとめ、前版より大幅なコンパクト化を実現した。編纂作業にあたった日本アレルギー学会・アレルギー疾患ガイドライン委員会委員長の足立 雄一氏(富山大学 小児科学講座 教授)に改訂のポイントを聞いた。 ――『アレルギー総合ガイドライン』は、各分野のガイドラインや診療の手引きの短縮版を合本してつくられています。これまではそのまま合本していたため、どうしても重複箇所が多くなり、2019年版は700ページを超えました。読者から「読みにくい」「重くて持ち運べない」といった声が出ており、今回はガイドライン委員が全ページに目を通して重複を削る作業をした結果、300ページ近いコンパクト化を図ることができました。

「肥満」との違いは?肥満症診療ガイドライン改訂

 11月24日に日本肥満学会(理事長:横手 幸太郎氏[千葉大学医学部附属病院長])は、『肥満症診療ガイドライン2022』についてプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、肥満症の現況や治療に関する解説と今回刊行されたガイドラインの概要が説明された。また、本ガイドラインは12月2・3日に那覇市で開催される第43回日本肥満学会(会長:益崎 裕章氏[琉球大学大学院 医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 教授])で発刊される。

母子手帳アプリ『母子モ』で疾患啓発/AZ

 アストラゼネカは、11月28日付のプレスリリースで、母子手帳アプリ『母子モ』を通じた早産児やRSウイルス感染症に関する情報提供を11月11日より開始したことを発表した。  RSウイルスは、2歳までにほとんどの乳幼児が感染するといわれており、早産児や生まれつき肺や心臓等に疾患を抱える乳児では感染すると重症化しやすいとされている。また、正期産であっても生後6ヵ月未満は感染後重症化するリスクが高いため、該当する年齢の乳幼児を持つすべての保護者に疾患情報や感染対策について知ってもらうことが重要である。

isCGMは低血糖予防に有効/京都医療センターほか

 低血糖予防教育に間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM)を用いることで低血糖時間や重症低血糖リスクが低減されることが、村田 敬氏(京都医療センター臨床栄養科)、坂根 直樹氏(同センター臨床研究センター 予防医学研究室長)らの19施設の糖尿病専門医と臨床研究専門家の共同研究により明らかとなった。詳細はDiabetes Research and Clinical Practice誌に11月13日掲載された。

うつ病と自殺念慮に対する思春期~成人期の24時間行動ガイドラインの重要性

 若年および成人の24時間行動ガイドラインでは、最適な健康状態を確保するために特定の身体活動時間、座位時間、睡眠時間を推奨しているが、メンタルヘルスの指標との関連についてはよくわかっていない。スペイン・ナバーラ州立大学のAntonio Garcia-Hermoso氏らは、思春期~成人期の24時間行動ガイドラインと、成人期のうつ病および自殺念慮を伴う思春期中期(12~17歳)から成人期(33~39歳)までの軌跡との関係を調査するため、本検討を行った。その結果、思春期中期~成人期での24時間行動ガイドラインの利用促進および継続で、メンタルヘルスに関する問題が予防可能であることが示唆された。ただし、本研究結果について著者らは、エラーやバイアスにつながる恐れのある自己評価や、1994~96年のガイドラインへの適合測定を2016年に行いデータセットを作成した点などから、慎重に解釈する必要があるとしている。The International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity誌2022年10月23日号の報告。

マスク要請解除で学校のコロナ感染増、職員で顕著/NEJM

 米国マサチューセッツ州のグレーターボストン地域の学区で、州全体のマスク着用方策の撤回から15週の期間に、マスク着用要請を解除した学区の小中学校はこれに応じずに着用要請を続けた学区の学校と比較して、生徒と学校職員における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患者が1,000人当たり44.9人多かったことが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のTori L. Cowger氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月9日号で報告された。  2022年2月28日、マサチューセッツ州は、公立学校におけるユニバーサルマスキング方策を州全体で撤回し、その後の数週間に多くの学区で生徒や職員へのマスク着用要請が解除された。グレーターボストン地域では、ボストン地区と近隣のチェルシー地区の2つの学区だけが、2022年6月までマスク着用要請を続けた。  研究グループは、この変更された方策の実施の時間差に関して差分の差分分析を行い、グレーターボストン地域で2021~22年の学年度中にマスク着用要請を解除した地区と、この要請を継続した地区で、生徒と職員におけるCOVID-19の罹患率を比較した。  グレーターボストン地域の72学区(生徒29万4,084人、学校職員4万6,530人)が解析の対象となった。方策撤回後1週目は、要請解除が46学区、継続は26学区で、2週目にはそれぞれ63学区および9学区に、その後は70学区および2学区となった。

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下「コセルゴ」)の販売を11月16日より開始したことを発表した。  神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。NF1患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。