生後3ヵ月からのアレルゲン性食物摂取、食物アレルギー抑制か/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/12

 

 生後3ヵ月からの補完的なアレルゲン性食物の導入により、36ヵ月後の食物アレルギーの発生が抑制されることが、ノルウェー・オスロ大学病院のHavard Ove Skjerven氏らが一般集団を対象に実施した「PreventADALL試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2022年6月25日号で報告された。

北欧2ヵ国3施設のクラスター無作為化試験

 PreventADALLは、一般集団の幼児への早期食物導入と皮膚軟化剤の塗布により、食物アレルギーのリスクが低減するかの検証を目的とする2×2ファクトリアルデザインのクラスター無作為化試験。2015年4月14日~2017年4月11日の期間に、ノルウェーの2施設(オスロ大学病院、Ostfold病院トラスト)とスウェーデンの1施設(カロリンスカ大学病院)で参加者の登録が行われた(オスロ大学病院などの助成を受けた)。

 出産前の18週の時点で、3施設の1つで超音波検査を受けた妊婦に試験への参加が呼び掛けられた。92の居住地域と8つの3ヵ月単位の時期をクラスターとし、各施設の産科病棟で、出生時に適格基準を満たした新生児が次の4つの群に、1対1対1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 (1)非介入群、(2)皮膚介入群(皮膚軟化剤と入浴剤・顔用クリームを、生後2週~<9ヵ月の期間に、いずれも週4回以上)、(3)食物介入群(生後3ヵ月から、補完食としてピーナツ、牛乳、小麦、卵を摂取)、(4)複合介入群(皮膚介入と食物介入の双方を行う)。

 臨床評価を行う試験担当者は、4つの群の割り付け情報を知らされなかった。

 主要アウトカムは、生後36ヵ月の時点での介入食物(ピーナツ、牛乳、小麦、卵)へのアレルギーとされた。

安全上の懸念もなかった

 女性2,697人による2,701回の妊娠で出生した2,397人の幼児が登録され、2,394人が解析に含まれた。非介入群が596人、皮膚介入群が574例、食物介入群が641人、複合介入群は583人であった。

 44人(48件)が食物アレルギーと診断された。内訳は、非介入群が14人(2.3%)、皮膚介入群が17人(3.0%)、食物介入群が6人(0.9%)、複合介入群は7人(1.2%)であった。

 ピーナツアレルギーと診断された小児は32人(非介入群10人、皮膚介入群13人、食物介入群4人、複合介入群5人)と最も多く、次いで卵アレルギーが12人(4人、3人、2人、3人)、牛乳アレルギーが4人(2人、1人、1人、0人)であり、小麦アレルギーは認めなかった。

 食物アレルギーの発生率は、食物介入群が非食物介入群に比べて低かった(群間リスク差:-1.6%[95%信頼区間[CI]:-2.7~-0.5]、オッズ比[OR]:0.4[95%CI:0.2~0.8])。一方、食物アレルギーの発生に関して、皮膚介入群と非皮膚介入群には有意な差はなかった(0.4%[-0.6~1.5]、1.3[0.7~2.3])。また、ピーナツアレルギーの発生率は、食物介入群が非食物介入群よりも低かった(p=0.01)が、皮膚介入群と非皮膚介入群に差はなかった(p=0.39)。

 1人の小児で食物アレルギーを予防するには、63人の小児へのアレルゲン性食物の曝露を要した。

 介入に伴う安全上の懸念はみられなかった。生後6ヵ月時の母乳育児率は、4つの群で同程度であった(85.8~87.9%、p=0.40)。食物介入の導入による重篤なアレルギー反応は観察されず、食物を喉に詰まらせる事例もなかった。

 著者は、「生後3ヵ月から、通常食に補完食としてアレルゲン性食物を導入すると、食物アレルギーの予防が可能であることを示唆する十分なエビデンスがあると考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)