精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

日本人における気圧の変化と片頭痛との関係

 獨協医科大学の辰元 宗人氏らは、日本の健康保険請求データベースの大規模データと気象データを照合し、気圧変化の大きい季節が片頭痛発症に及ぼす影響を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月10日号の報告。  本研究では、JMDC請求データと日本の気象データを用いて分析した。片頭痛の診断歴を有する患者を対象とし、片頭痛と最初に診断された医療機関の所在地に基づいて8つの地域サブグループに分類した。片頭痛発症までの期間(各季節の初日からトリプタンが処方されるまでの期間と定義)を、気圧変化が最も大きい季節と最も小さい季節で比較した。

日本食はうつ病予防に有効なのか?

 老年期うつ病は、高齢化社会においてますます重要な公衆衛生問題となっている。日本は世界有数の平均寿命と健康寿命の長さを誇るにもかかわらず、日本食と老年期うつ病との具体的な関連性に特化したプロスペクティブコホート研究はこれまで行われていなかった。北海道大学のHo Chen氏らは、日本食と老年期うつ病との関連性を検証し、この関連性が食事の質の向上に起因する身体的健康状態の改善にとどまらないかどうかを評価するため、本研究を実施した。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌2025年9月号の報告。

アルコール消費量と自殺リスクとの関係~メタ解析

 アルコール使用は、個人レベルにおける確立された自殺のリスク因子であるが、これが人口レベルで反映されているかは不明である。アルコールの有害な使用の削減について進捗状況を測る国際的な枠組みで用いられている、人口レベルの総アルコール消費量の指標である1人当たりアルコール消費量(APC)が自殺と関連しているとすれば、自殺予防の取り組みにおいて、アルコールは有用な目標となる可能性がある。カナダ・トロント大学のKatherine Guo氏らは、APCと自殺死亡率の間に関連があるかどうか、また関連がある場合には性別によって違いがあるかどうかを評価するため、メタ解析を実施した。JAMA Network Open誌2025年9月2日号の報告。

アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者および介護者にとって深刻な影響を及ぼす。セロトニンとドパミンを調整するブレクスピプラゾールは、潜在的な治療薬として期待されるが、最近の試験や投与量の違いにより、最適な有効性および安全性についての見解は、一致していない。ブラジル・Federal University of ParaibaのJoao Vitor Andrade Fernandes氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの有効性および安全性を用量特異的なアウトカムに焦点を当て評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Indian Journal of Psychiatry誌2025年9月号の報告。

世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet

 2010年以降、感染性・母子新生児・栄養関連(CMNN)疾患および多くの環境・行動リスク因子による疾病負担は大きく減少した一方で、人口の増加と高齢化が進む中で、代謝リスク因子および非感染性疾患(NCD)に起因する障害調整生存年数(DALY)は著しく増加していることが、米国・ワシントン大学のSimon I. Hay氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaboratorsの解析で示された。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

寛解後の抗精神病薬減量は認知機能改善に寄与するか

 寛解した精神疾患患者では、再発リスクを増加させることなく、抗精神病薬を減量することが可能である。しかし、抗精神病薬の漸減が認知機能改善につながるかどうかは、これまでよくわかっていなかった。国立台湾大学のChun-I Liu氏らは、抗精神病薬の漸減を行った患者と固定用量のまま維持した患者における認知機能の変化を比較した。Psychological Medicine誌2025年8月27日号の報告。  安定期統合失調症関連精神病患者を対象に、2年間のプロスペクティブ研究を実施した。抗精神病薬の漸減群または維持群に分類した。認知機能は、ベースライン時、1年後、2年後にWAIS-III成人認知機能検査中国語版を用いて評価した。抗精神病薬の減量率と認知機能改善との関係の評価には、スピアマンの相関係数を用いた。また、アリピプラゾール使用群と非使用群にける認知機能も比較した。

父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響

 青年期における厳しい子育ては、抑うつ症状のリスクを高める可能性がある。しかし、その影響には個人差があり、リスクを増悪または軽減させる要因を明らかにする必要がある。睡眠の問題は、対処能力を低下させるだけでなく、厳しい子育てを増幅させる可能性もある。米国・ニューメキシコ大学のRyan J. Kelly氏らは、青年期の睡眠を調整因子として、青年期の厳しい子育てとその後の抑うつ症状の関係を調査した。Sleep Health誌オンライン版2025年9月17日号の報告。

初発統合失調症における性特異的プロラクチン異常と性腺ホルモンとの関連

 統合失調症患者では、高プロラクチン血症やプロラクチン(PRL)値の上昇が頻繁に認められる。しかし、初回エピソード統合失調症患者におけるPRL調節不全の有病率に関する性差を検討した研究は非常に少ない。中国・Second People's Hospital of LishuiのAnle Pan氏らは、初回エピソード統合失調症患者における性別特異的なPRL調節不全と性腺ホルモンとの相互作用について検討を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌2025年10月1日号の報告。  対象は、2週間以内の最小限の治療を行った初回エピソード統合失調症患者189例(男性:96例、女性:93例)。すべての対象患者においてPRL値と性腺ホルモンを測定した。

認知機能低下リスクを考慮した高齢者の適切な睡眠時間は

 睡眠時間は、認知機能に重要な役割を果たしており、認知機能の低下と密接に関連している。しかし、中国人を対象に睡眠時間と認知機能の関係について検討した研究は、これまで十分ではなかった。中国・北京中医薬大学のGuolin Guo氏らは、中国の中高年における睡眠時間と認知機能の関連性を評価するため、横断的研究を実施した。JMIR Human Factors誌2025年9月8日号の報告。  China Health and Retirement Longitudinal Study 2020に参加した1万5,526例のデータを用いて、エピソード記憶、思考力、総合的認知機能を含む3つの複合指標を用いて認知機能の評価を行った。また、対面インタビューにより、自己申告による夜間の睡眠時間のデータも取得した。人口統計学的、ライフスタイル、健康関連の共変量を考慮し、多重一般化線形回帰モデルを用いて調整した。

若者の片頭痛、30年間で世界的な負担が急増

 片頭痛は、10〜24歳のAYA世代の心身的健康に重大な影響を及ぼす疾患である。中国・北京中医薬大学のYanPi Li氏らは、1990〜2021年のAYA世代における片頭痛の発症率、有病率、障害調整生存年(DALY)の世界的傾向を評価し、予防および政策の指針となるエビデンスを提供するため、本研究を実施した。Frontiers in Neurology誌2025年9月1日号の報告。  過去30年間(1990〜2021年)の204の国と地域におけるAYA世代の片頭痛負担を性別、年齢、社会人口統計指数(SDI)、地域、年別に層別化した世界疾病負担(GBD)2021研究より、データを取得した。本評価では、発症率、有病率、DALYの分析を行った。