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2024/07/10
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精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

日本のプライマリケアにおける不眠症の治療戦略の実態

 オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬などの新規睡眠薬の導入後、プライマリケア医による不眠症治療実態は、明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本のプライマリケア診療における不眠症の治療戦略を調査するため、Webベースのアンケート調査を実施した。BMC Primary Care誌2024年6月18日号の報告。  対象は、プライマリケア医117人。不眠症の各マネジメントオプションの精通度を2段階(精通していない:0、精通している:1)で評価し、不眠症のマネジメント法を9段階リッカート尺度(処方/実施したことがない:1、頻繁に処方/実施している:9)を用いて調査した。マネジメントオプションに精通していないと回答した医師は、処方/実施したことがないとみなした。

中高年の果物や野菜の摂取とうつ病発症リスク

 新たな観察研究の報告により、うつ病発症予防に果物や野菜の摂取が重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、高齢者や低中所得国(LMIC)に関する研究は不足している。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnnabel P. Matison氏らは、果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関連を明らかにするため、LMICを含むさまざまなコホート研究を分析し、その結果のメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年8月15日号の報告。  対象は、LMICでの4件のコホートを含む10件のコホートより抽出した非うつ病成人地域住民7,801例(平均年齢:68.6±8.0歳、女性の割合:55.8%)。果物と野菜の摂取量は、包括的な食品摂取頻度質問票、食品質問票短縮版、食事歴などにより自己申告で収集した。抑うつ症状の評価およびうつ病の定義には、検証済みの尺度およびカットオフ値を用いた。ベースライン時における果物や野菜の摂取量とフローアップ期間中(3〜9年)のうつ病発症との関連性を評価するため、Cox回帰を用いた。分析は、コホートごとに実施し、結果をメタ解析した。

感情認識・表現療法はCBTよりも慢性疼痛の軽減に効果的

 高齢者の慢性疼痛に対する治療法として、新しいタイプの心理療法が現行の標準的な治療法である認知行動療法(CBT)よりも効果的な可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部精神医学・生物行動科学のBrandon Yarns氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。米国の退役軍人を対象とした同試験では、CBTを受けた人と比べて感情認識・表現療法(EAET)と呼ばれる治療を受けた人では慢性疼痛が有意に軽減し、軽減効果がより長期にわたって持続したという。詳細は、「JAMA Network Open」に6月13日掲載された。

未治療統合失調症患者におけるメタボリックシンドローム有病率と関連因子

 メタボリックシンドローム(MetS)は、心血管疾患特有のいくつかのリスク因子を含む疾患であり、統合失調症患者では頻繁に発症する。中国・Wuhan Mental Health CenterのSuoya Hu氏らは、抗精神病薬未使用の統合失調症患者におけるMetSの発症と重症度に影響を及ぼす因子を明らかにするため、本研究を実施した。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2024年5月22日号の報告。  対象は、2017年2月〜2022年6月に中国中部最大の精神科専門施設に入院した抗精神病薬未使用の18〜49歳の統合失調症患者668例。対象患者の社会人口統計学的および一般臨床データを収集した。精神病理スコアおよび重症度の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)および臨床全般印象度の改善度(CGI-I)をそれぞれ用いた。MetSスコアは、重症度を判断するため算出した。

小児期の睡眠障害、若年期の精神病リスクにつながる可能性

 短時間睡眠は、短期・中期・長期的に子どもの発達に有害な影響を及ぼす可能性があることがこれまでも報告されているが、新たな報告によると、小児期に持続的に睡眠時間が短いと、若年期の精神病発症リスクが上がる可能性があるという。英国・バーミンガム大のIsabel Morales-Munoz氏らによる本研究結果は、JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年5月8日号に掲載された。  研究者らは小児期における持続的な夜間睡眠時間の短さと、24歳時点での精神病体験(PE)および/または精神病性障害(PD)との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白[CRP]およびインターロイキン6[IL-6])が関連するかを検討するコホート研究を実施した。

統合失調症の診断、治療、モニタリングおける酸化バイオマーカーの重要性

 統合失調症は、非常に複雑な疾患であり、その病因は多面的である。これまでに、統合失調症の病態生理学と酸化ストレスとの関連を示唆する報告がされている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのElzbieta Cecerska-Heryc氏らは、統合失調症と酸化ストレスとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2024年6月7日号の報告。  対象は、慢性期統合失調症患者および発症しやすい状態(初回エピソード精神疾患、超高リスク)の患者150例。統合失調症を発症しやすい状態の患者は、4つのサブグループ(欠損型統合失調症、非欠損型統合失調症、初回エピソード精神疾患、超高リスク)に分類した。対照群は、健康ボランティア34例とした。酸化ストレスマーカーと脳由来神経栄養因子(BDNF)の測定には、分光光度法、ELISA法を用いた。

抗うつ薬中断後症状の発生率〜メタ解析

 抗うつ薬中断後症状は、実臨床においてさらに重要度が増しているが、その発生率は定量化されていない。抗うつ薬中断後症状の推定発生率を明らかにすることは、治療中断時に患者および臨床医、抗うつ薬治療研究者に対する有用な情報提供につながる。ドイツ・ケルン大学のJonathan Henssler氏らは、抗うつ薬とプラセボを中断した患者における抗うつ薬中断後症状の発生率を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。The lancet. Psychiatry誌オンライン版2024年6月5日号の報告。   2022年10月13日までに公表された、抗うつ薬中断後症状の発生率を評価したランダム化比較試験(RCT)、その他の比較試験、観察研究を、Medline、EMBASE、CENTRALよりシステマティックに検索した。対象研究は、精神疾患、行動障害、神経発達障害の患者を対象に、既存の抗うつ薬(抗精神病薬、リチウム、チロキシンを除く)またはプラセボの中断または漸減を調査した研究とした。新生児の研究および器質性疾患による疼痛候群などの身体症状に対して、抗うつ薬を使用した研究は除外した。研究の選択、サマリデータの抽出、バイアスリスク評価後のデータを用いて、ランダム効果メタ解析を行った。主要アウトカムは、抗うつ薬またはプラセボの中断後の症状の発生率とした。また、重度の中断後症状の発生率も分析した。方法論的変数のテストには、感度分析、メタ回帰分析を用いた。

メンタルヘルスに長期的影響を及ぼす小児期逆境体験

 3万人弱の日本人を対象とした横断調査から、小児期に受けた虐待、いじめ、経済的困難といった逆境体験は、成人期のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることが明らかとなった。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野の西大輔氏、佐々木那津氏らによる研究の成果であり、「Scientific Reports」に5月26日掲載された。  従来、小児期逆境体験(adverse childhood experience;ACE)として虐待や家庭の機能不全が検討されてきたが、最近では学校でのいじめ、慢性疾患、自然災害なども含まれるようになっている。ACEは成人後のメンタルヘルスの問題につながる可能性が指摘されているものの、広義のACEの長期的影響を検討した研究は少ない。また、ACEに関する研究は米国のものが多いことから、日本人を対象とした研究が求められている。

片頭痛女性における頭痛重症度と炭水化物品質指数との関係〜横断的研究

 片頭痛女性における炭水化物品質指数(CQI)と頭痛の重症度、障害、持続期間との関連を調査するため、イラン・テヘラン医科大学のHaniyeh Jebraeili氏らは、横断的研究を行った。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2024年5月28日号の報告。  18〜45歳の女性266例を対象に、147項目の食品摂取頻度質問票(FFQ)を用いて、調査を行った。CQIの定義には、食物繊維摂取量、食事のグリセミックインデックス(DGI)、全粒穀物/全穀物比、固形炭水化物/全炭水化物比の4つの基準を用いた。対象患者から、身体測定、ビジュアルアナログスケール(VAS)、片頭痛評価尺度(MIDAS)、頭痛の持続期間を収集し、評価した。  主な結果は以下のとおり。

生活習慣の改善でアルツハイマー病の進行が抑制か

 食事や運動などの健康的な生活習慣を組み合わせて取り入れることが、軽度認知障害(MCI)や初期の認知症の患者の認知機能維持に役立つことが、米国の非営利団体である予防医学研究所(Preventive Medicine Research Institute)所長のDean Ornish氏らが実施したランダム化比較試験(RCT)で示された。このRCTでは、健康的な食事、定期的な運動、ストレスマネジメントなどを組み合わせた生活習慣改善プログラムを受けた患者の約71%で認知症の症状が安定、または薬剤を使わずに改善していた。それに対し、こうした生活習慣の改善を行わなかった対照群では約68%の患者で症状の悪化が認められたという。この試験の詳細は、「Alzheimer’s Research and Therapy」に6月7日掲載された。Ornish氏らは、「生活習慣の改善が認知症やアルツハイマー病の進行に影響を与えることを示した研究は、これが初めてだ」と説明している。