精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

統合失調症における薬物治療反応と発達障害の遺伝的リスクとの関連

 統合失調症は、遺伝性の高い神経精神疾患である。そのゲノム構造は、注意欠如多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達障害のゲノム構造と重複することが報告されている。しかし、ADHDおよびASDのゲノムリスクが統合失調症症状に及ぼす影響は依然として不明であった。東北大学の宮原 一総氏らは、統合失調症における抗精神病薬の治療反応性に神経発達障害の遺伝的リスクが影響するかを検討するため、死後脳を用いてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。Frontiers in Psychiatry誌2026年4月27日号の報告。

グルコサミンがアルツハイマー病の進行を加速させる可能性

 アルツハイマー病(AD)では広範な代謝異常が観察されるものの、どの代謝経路が病態進行を直接駆動しているのか、その分子メカニズムは十分に解明されていない。米国・フロリダ大学のTara R. Hawkinson氏らの研究グループは、ヒト死後脳およびADマウスを用いた解析から、脳内における過剰糖鎖付加(ハイパーグリコシル化)が病態進行の直接的な駆動因子(ドライバー)であることを突き止めた。さらに、電子カルテデータベースの解析から、関節の健康のためのサプリメントとして広く普及するグルコサミンの使用が、ADの進行加速や死亡リスク上昇に関連している可能性が示唆された。Nature Metabolism誌オンライン版2026年6月9日号に掲載。

アイトラッキング式認知機能評価プログラム「ミレボ」の実臨床における有用性評価

 認知症の早期発見やスクリーニングにおいて、多忙な日常診療のなかで効率的かつ客観的に実施できる評価ツールの開発が望まれている。2025年、アイトラッキング技術を用いた神経心理検査用プログラム「ミレボ」が、初の保険適用を有する認知症領域のプログラム医療機器(SaMD)として日本国内で承認された。川崎医科大学高齢者医療センターの和田 健二氏らは、同センターのもの忘れ外来を受診した患者を対象に、ミレボと従来の標準的な神経心理検査であるミニメンタルステート検査(MMSE)および改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)のスコアとの関連性および認知症診断精度を評価するため、本研究を実施した。Neurology and Clinical Neuroscience誌2026年5月号の報告。

双極症の維持療法に有効な薬剤とその用量〜ネットワークメタ解析

 双極症は、生涯にわたる治療を必要とする慢性精神疾患である。イタリア・University School of Medicine of Naples Federico IIのMichele Fornaro氏らは、双極症の維持療法における薬物療法の有効性と安全性を、年齢層別の用量効果を考慮して比較検討するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2026年8月15日号の報告。  PubMed/MEDLINE、Embase、Web of Science、Scopusより創刊から2026年1月12日までに公表された研究を、システマティックに検索した。

認知症の疾患概念を考え直す(解説:岡村毅氏)

アルツハイマー型認知症が「アミロイドの蓄積⇒タウの蓄積⇒神経変性⇒軽度認知障害の顕在化⇒認知症の顕在化」という一連の流れであることがわかってきた。かつては「もの忘れで受診したときには、すでに遅いのである」「アミロイドやタウの病理は完成しているから介入できない」とされていた。しかし、脳画像検査や血液検査の進歩によって、本人にはもの忘れ等の自覚がない時期に、脳内の変化が検出できるようになってきている。神経学者たちは、より早く見つけ、より早く介入しようとしているのである。本論文はまさにその最先端である。

日本の内科医と精神科医でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療方針が異なっている?

 認知症の行動・心理症状であるアジテーションは、日本ではいまだ十分に認識されていない。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本におけるアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する医師の認識と治療実践を明らかにするため、ウェブベースの横断調査を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月7日号の報告。  調査対象は、神経内科、脳神経外科、精神科、または一般内科の医師で、調査パネルに登録し、参加に同意した医師。病院またはクリニックで勤務し、月10例以上のアルツハイマー病患者を診療していることを条件とした。調査は、2024年10月にウェブベースで実施した。

うつ病や不安に対する笑い療法、その効果と最適な介入期間が明らかに

 笑い療法は、心理的苦痛に対する実用的かつ効果的な代替療法として注目されている。台湾・亜洲大学のChia-Yu Liu氏らは、笑い療法の有効性をさらに検証するため、試験逐次分析(TSA)を統合し、用量反応メタ解析を用いて、最適な治療期間を検討した。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2026年4月16日号の報告。  本システマティックレビューでは、主要データベース(PubMed、EMBASE、PsycINFO、Cochrane Library)より各データベースの創設時から2023年11月12日までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を検索した。対象は、うつ病、不安、ストレス、疼痛、生活の質の改善を目的とした笑い療法に関する研究とした。

阪神ファンの認知症患者、優勝後にBPSDが大きく改善!?

 認知症は、認知機能の低下とそれに伴う行動・心理症状(BPSD)を特徴とする疾患であり、社会問題として深刻化している。大阪・脳神経内科はつたクリニックの初田 裕幸氏は、日本の関西地方に在住する認知症患者855例を対象に、プロ野球の試合結果とBPSDの変化との関連を調査するため、探索的レトロスペクティブ研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年5月号の報告。 ・阪神タイガースファンの認知症患者19例において、2023年のセントラルリーグ優勝後、BPSDスコアの有意な低下が認められた。

初回エピソード精神疾患の抗精神病薬誘発性体重増加に対する介入比較〜メタ解析

 初回エピソード精神疾患(FEP)の発症後、急速な体重増加がよくみられる。これは、心血管代謝疾患につながる。FEPにおける体重増加の多くは、治療開始後3ヵ月以内に起こるため、この間は予防のための重要な期間となる。しかし、これまでの抗精神病薬誘発性体重増加の予防を目的とした研究の多くは、慢性疾患患者や抗精神病薬の長期投与を受けている患者を対象としていた。アイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンのBrian William O'Mahony氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加の予防を目的とした介入に関する文献を統合、分析することを目的とし、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2026年4月10日号の報告。

医師の早期離職、主因はバーンアウトや職場ストレス

 近年、医師が医療現場を離れる理由に変化が生じていることが、新たな研究で明らかになった。現代の医師は、燃え尽き症候群(バーンアウト)、慢性的な職場ストレス、煩雑な業務負担、患者からの非現実的な要求を、臨床を早期に離れる主な理由として挙げたことが示された。米国医師会の放射線腫瘍医兼診療継続支援部門ディレクターを務めるSea Chen氏らによるこの研究の詳細は、「The Permanente Journal」に5月7日掲載された。  Chen氏らは、これは2000年代後半とは異なる傾向だと指摘している。当時は、個人的な健康問題、医療過誤、保険料の上昇、煩雑な業務に対する不満、そして仕事に対する満足感の欠如などを離職理由にする医師が多かったという。