精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

心筋梗塞を経験した人は認知機能の低下が速い

 心筋梗塞の既往がある人は認知機能の低下が速く、認知機能障害へ進行するリスクも高いことを示すデータが報告された。心筋梗塞を経験していない人と比較して、認知機能障害に進行するリスクが、1年当たり約5%高いという。米オハイオ州立大学のMohamed Ridha氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」に5月14日掲載された。  この研究は、脳卒中リスクの地理的・人種的差異を検討する疫学研究(REGARDS)のデータを用いて行われた。追跡開始時点(ベースライン)で認知機能障害が記録されていた人や、解析に必要なデータのない人などを除外し、2万923人(年齢中央値63歳〔四分位範囲57~70〕、女性57.2%)を、中央値10.1年(四分位範囲7.0~12.1)追跡して、認知機能の低下速度と認知機能障害の発生リスクを心筋梗塞の既往の有無で比較した。

レカネマブで重度アルツハイマー病への進行は何年遅らせることができるか

 主要な臨床試験において、レカネマブなどによる抗アミロイド療法は、早期アルツハイマー病患者の臨床認知症評価尺度(CDR-SB)スコアの悪化を統計的に有意に遅らせることが示されている。CDR-SBにおける治療群間の差を「疾患進行の遅延期間」に換算することは、患者や介護者に対して臨床的な意義をより効果的に伝える一助となりうる。米国・CurtのTroy Williams氏らは、レカネマブの長期的な「疾患進行の遅延期間」を推定するため、本研究を実施した。Alzheimer's & Dementia誌2026年6月21日号の報告。

1時間ごとの5分間の運動休憩で気分改善、疲労感軽減

 1時間ごとに5分間の歩行休憩を挟むことで、気分が改善し疲労感が軽減するとともに、長時間の座位行動による健康への悪影響を和らげられる可能性が、米コロンビア大学医療センターのKeith Diaz氏らによる研究で示された。Diaz氏らは、「短時間の運動休憩は仕事の生産性を低下させるのではないかという懸念は、こうした取り組みの実施・普及を妨げる要因の一つとして指摘されてきた。しかし今回の研究結果は、そのような認識に反するものだった」と述べている。この研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に6月23日掲載された。

新ガイドラインで変わり始めたうつ病治療/塩野義

 2025年12月に『うつ病診療ガイドライン2025』が公表された1)。ゼロベースで全面的に改訂された本ガイドラインでは、エビデンスに基づく治療に加え、患者と医療者が治療方針を共に決める「SDM:Shared Decision Making(共有意思決定)」や、症状を定量的に評価しながら治療を進める「MBC:Measurement-Based Care(測定に基づく診療)」が重視された。  塩野義製薬は2026年7月1日に「新ガイドライン導入で変わり始めたうつ病治療 患者と医師が“一緒に考える”診療の最前線を解説」と題したプレスセミナーを開催した。加藤 正樹氏(関西医科大学 精神神経科学講座)が登壇し、うつ病診療の課題、『うつ病診療ガイドライン2025』の概要、新たに期待される薬剤について解説した。

双極症の躁状態における白質の構造変化が判明

 双極症は、躁状態とうつ状態のエピソードを繰り返すことを特徴とする重篤な精神疾患である。双極症の重要な側面の1つが「フェーズ・スイッチング」である。これは、気分状態が急速に切り替わる現象だが、その神経生物学的な機序についてはいまだ十分に解明されていない。近年、神経画像技術、とくに拡散テンソル画像(DTI)やトラクトグラフィーの進歩により、気分の変動に伴う白質の構造的変化に関する知見が得られるようになった。イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Delvecchio氏らは、躁およびうつ状態の患者およびフェーズ・スイッチングの過程にある双極症患者を対象に、白質の変化を調査する統合的な拡散神経画像研究を実施した。Bipolar Disorders誌2026年8月号の報告。

高用量DHAサプリ、認知機能低下の抑制効果示せず

 多くの米国人が、加齢に伴う認知機能の低下を防ぐことを期待して魚油のサプリメントを摂取している。魚油に含まれているオメガ3系不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は、中性脂肪の低下など健康へのさまざまな効果が報告されている。しかし、「EBioMedicine」に6月18日付で発表された最新の研究で、こうしたサプリメントには期待されるような認知機能向上効果はない可能性が示唆された。  論文の筆頭著者である米南カリフォルニア大学ケック医学部神経学分野のHussein Naji Yassine氏は、「誰もがアルツハイマー病予防の“特効薬”を望んでいる。

熱中症による入院患者、多い服用薬は?/MDV

 高温環境により体温調節機能が破綻して発症する熱中症。今年もこの対策が必要な季節が到来した。昨年までの天気予報では「猛暑日」(35℃以上)の表現が多用されていたが、2026年4月17日に気象庁が最高気温40℃以上の名称を「酷暑日」と正式決定し、これまで以上に熱中症対策の重要性が高まっている。  熱中症の重症例では中枢神経障害や循環不全、急性腎障害(AKI)などの多臓器障害を引き起こし、とくにAKIでは脱水や循環血液量減少、横紋筋融解症などを要因とし、集中治療や腎代替療法を要する場合もある。発症予防はもちろんのこと、重症化予防を行うためには患者背景や併存疾患、服用薬剤から重症化リスクをあらかじめ把握しておくことが鍵になるだろう。

アルツハイマー病検出に有望な血液バイオマーカー、認知機能が正常なアジア人での精度は?

 血液バイオマーカーは、アルツハイマー病を検出する有望なツールと考えられる。しかし、認知機能が正常なアジア人集団において、血液バイオマーカーの性能は依然として不明であった。認知機能が正常なアジア人を対象に、血液バイオマーカーの識別性能を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析が実施された。Ageing Research Reviews誌2026年7月号の報告。認知機能が正常なアジア人集団を対象に、血漿中のp-tau217、Aβ42/40および複合バイオマーカーがアミロイドβ(Aβ)PET陽性を識別する能力を評価するため、システマティックレビューおよび変量効果モデルを用いたメタ解析を実施した。CENTRAL、PubMed、CINAHLより、システマティックに文献検索を行った。主要解析では、AβPET陽性の識別能力を評価するため、p-tau217およびAβ42/40それぞれの曲線下面積(AUC)を統合した。副次的解析では、AβPET陽性群と陰性群におけるp-tau217およびAβ42/40のバイオマーカー濃度の標準化平均差(SMD)を検討した。さらに、p-tau217/Aβ42やp-tau217とAβ42/40の組み合わせモデルを含む複合バイオマーカーのAUCを統合した。

ベンゾジアゼピンの長期使用は統合失調症の認知機能低下と関連しているか

 統合失調症患者に対するベンゾジアゼピン(BZD)の長期使用と認知機能との関連については、十分に解明されていない。中国・上海交通大学のCaiping Liu氏らは、統合失調症におけるBZDの長期使用と認知機能との関係を調査するため、コホート研究を実施した。BMC Psychiatry誌オンライン版2026年6月10日号の報告。本研究では、中国の統合失調症患者を対象とした非定型抗精神病薬による治療に関する観察研究(SALT-C)のデータを用いて評価を行った。BZDを60日以上使用していた長期使用患者57例を対象とし、年齢、性別、罹病期間、使用された非定型抗精神病薬について傾向スコアを用いてマッチさせたBZD非使用患者57例との比較を行った。認知機能はモントリオール認知評価(MoCA)、精神病症状は陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、疾患重症度は臨床全般印象度-重症度(CGI-S)尺度、心理社会的機能は個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)を用いて評価した。群間比較には、独立サンプルのt検定またはマン・ホイットニーのU検定を用いた。BZD使用者におけるBZD用量とMoCA合計スコアとの関連を評価するために、スピアマンの順位相関係数による分析を行った。また、MoCA合計スコアに関連する因子の検討には、重回帰モデルを用いた。