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2024/07/10
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精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

臨床現場で認知症やMCI患者のアドヒアランスは把握可能か

 多くの患者でみられるアドヒアランスの不良は、健康状態の悪化、QOLの低下、医療費の増大の原因となる。スペイン・Instituto CUDECA de Estudios e Investigacion en Cuidados Paliativosの氏Pilar Barnestein-Fonsecaらは、軽度認知障害(MCI)および認知症患者におけるアドヒアランス不良の割合を推定するため、錠剤カウントの参照法(RM)を考慮し、実臨床で有用かつ簡便な2つの自己報告法(SRM)の診断的妥当性を評価した。Frontiers in Pharmacology誌2024年5月22日号の報告。  本コホートは、多施設ランダム化比較試験に組み込まれた。8施設より387例が、非確率的連続サンプリング法を用いて選択された。包括基準は、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコア20〜28点、55歳以上、薬物治療中、治療薬剤の自己管理とした。対象患者のフォローアップ調査は、ベースラインから6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月にわたり実施した。治療アドヒアランスに関連する変数は、フォローアップ期間の各ポイントで測定した。変数には、年齢、性別、治療、併存疾患、MMSE testを含めた。アドヒアランスには、錠剤数、SRMとしてのMorisky-Green test(MGT)、Batalla test(BT)を含めた。統計分析には、記述式分析および95%信頼区間(CI)を含めた。診断の妥当性には、SRMとRMのオープン比較統計的関連性、層別比較(アドヒアランス不良を評価するための最良の方法としてRM、κ値、感度、特異度、尤度比)を含めた。

ライフステージごとの運動で健康寿命の延伸を目指す/日医

 日本医師会(会長:松本 吉郎氏[松本皮膚科形成外科医院 理事長・院長])は、定例会見を開催し、運動・健康スポーツ医学委員会(委員長:津下 一代氏[女子栄養大学 特任教授])の「令和4・5年度の運動・健康スポーツ医学委員会答申」ならびに医師会としてスポーツ庁長官の室伏 広治氏へ要望書を提出したことを常任理事の長島 公之氏(長島整形外科院長)説明した。  今回の答申は、「『健康スポーツ医学実践ガイド』(2022年6月発行)と『運動・スポーツ関連資源マップ作成』を通じて促進する地域の多職種連携について」と題され、全国の医師会を中心に医師と他の医療職種と地域が協同して、運動やスポーツを通じ、住民の健康寿命の延伸を目指す取り組みを記している。

ニルマトレルビル/リトナビル、long COVIDに対する効果が認められず

 抗ウイルス薬のパクスロビド(日本での商品名パキロビッド、一般名ニルマトレルビル/リトナビル)を長期間投与しても、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)急性期以降の罹患後症状(post-acute sequelae of SARS-CoV-2;PASC、以下、long COVID)は改善しないことが、新たな研究で明らかになった。米スタンフォード大学医学大学院感染症・地理医学分野教授のUpinder Singh氏らが、パクスロビドを製造するファイザー社の資金提供を受けて実施したこの研究の詳細は、「JAMA Internal Medicine」に6月7日掲載された。  Long COVIDは、COVID-19から回復後も他の疾患による症状としては説明のつかないさまざまな症状が3カ月以上続く状態を指し、罹患者の10〜20%が発症すると推定されている。Singh氏は、「いくつかの研究では、ウイルス粒子や分子の破片がlong COVIDの原因である可能性が示唆されている」と説明。その上で、「もしそうなら、long COVIDの症状は、ニルマトレルビル/リトナビルによる治療により緩和されるのではないかとわれわれは考えた」と話す。

問題飲酒につながる仕事の特性

 日本では近年、問題飲酒(依存・乱用などの有害な飲酒やアルコールに関連した問題)が増加している。1,500人以上の地方公務員を5年間追跡した結果、男性では職位が低い人やシフト勤務の人、女性では仕事のパフォーマンスの自己評価が低い人ほど、問題飲酒につながりやすいことが明らかとなった。また、男女とも、週に3回以上や1回に2合以上の飲酒が、問題飲酒と関連していた。富山大学学術研究部医学系の茂野敬氏らによる研究であり、「Industrial Health」に5月15日掲載された。

家族性アルツハイマー病、APOE3Chヘテロ接合体も発症遅延に関与/NEJM

 常染色体優性遺伝性アルツハイマー病に関連するPSEN1E280A変異保因家系において、アポリポ蛋白E3クライストチャーチ変異体(APOE3Ch)を1コピー有するヘテロ接合体保有者では認知機能障害の発症が遅いことを、米国・ハーバード大学医学大学院のYakeel T. Quiroz氏らがレトロスペクティブコホート研究で明らかにした。アポリポ蛋白EをコードするAPOEとプレセニリン1をコードするPSEN1の変異はアルツハイマー病のリスクを変化させる。著者らは先行研究にて、PSEN1E280A変異による常染色体優性遺伝性アルツハイマー病患者において、APOE3Chを2コピー有するホモ接合体患者における認知機能障害の発症遅延を報告していた。NEJM誌2024年6月19日号掲載の報告。

統合失調症に対する2種類の長時間作用型注射剤抗精神病薬の併用療法

 統合失調症患者のうち、複数の治療に対し抵抗性を示す患者の割合は、最大で34%といわれている。継続的かつ適切な治療が行われない場合、再発、再入院、抗精神病薬による薬物治療の効果低減、副作用リスクの上昇を来す可能性が高まる。統合失調症患者のコンプラインアンスを向上させ、臨床アウトカムやQOLの改善に対し、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の有用性が示唆されており、治療抵抗性統合失調症患者に対しては、2種類のLAI抗精神病薬を同時に投与することが推奨されている。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのSalvatore Cipolla氏らは、統合失調症またはその他の精神病スペクトラム障害患者に対する2種類のLAI抗精神病薬併用に関する利用可能なエビデンスのレビューを行った。Brain Sciences誌2024年4月26日号の報告。

不定愁訴を改善する介入法をRCTで検証/Lancet

 持続性身体症状(persistent physical symptoms:PPS)を有する成人に対して、自己管理の支援に重点を置き、症状に関する説明を強化した臨床的介入(symptom-clinic intervention)は、複数のPPSの改善をもたらすことが、英国・シェフィールド大学のChristopher Burton氏らが実施したプラグマティックな多施設共同無作為化並行群間比較試験「Multiple Symptoms Study 3:MSS3試験」で示された。先行研究で、複数のPPSを抱える人々は生活の質が低下し、医療を受ける機会も不足していることが示されているが、地域の総合診療医(GP)によるコミュニケーションの強化に重点を置いた介入が、PPSを改善するかは検討されていなかった。Lancet誌2024年6月15日号掲載の報告。

初発統合失調症患者に対する長時間作用型注射剤と経口剤抗精神病薬の有用性〜メタ解析

 長時間作用型注射剤抗精神病薬(LAI)は、慢性期統合失調症患者の再発および入院の予防に対し、経口抗精神病薬(OAP)よりも優れていることが示唆されているが、初発や最近発症した統合失調症、つまり早期段階の統合失調症患者におけるエビデンスは、明確ではない。イタリア・ヴェローナ大学のGiovanni Vita氏らは、早期段階の統合失調症患者の維持療法におけるLAIとOAP治療による中長期の相対的な有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Therapeutic Advances in Psychopharmacology誌2024年6月2日号の報告。

統合失調症とうつ病の治療ガイドライン普及が睡眠薬処方に及ぼす影響

 信州大学の中村 敏範氏らは、「精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究(EGUIDEプロジェクト)」が、日本における統合失調症およびうつ病に対する、精神科医による睡眠薬の処方や処方する睡眠薬の種類に及ぼす影響を調査した。これは、精神疾患の治療ガイドラインによる教育が、精神科医の睡眠薬処方に及ぼす影響を評価した、初めての研究である。BMC Psychiatry誌2024年5月29日号の報告。  EGUIDEプロジェクトは、日本における統合失調症とうつ病のエビデンスに基づく臨床ガイドラインに関する、全国的なプロスペクティブ研究である。2016〜21年にEGUIDEプロジェクト参加施設から退院した患者を対象に、臨床データと処方データを用いて、睡眠薬の処方状況を調査した。EGUIDEプロジェクトに参加している精神科医から処方された患者と参加していない精神科医から処方された患者における、睡眠薬の処方率および各タイプの睡眠薬の処方率を比較した。睡眠薬のタイプは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬、非ベンゾジアゼピン受容体作動薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬に分類した。EGUIDEプロジェクトが睡眠薬処方に及ぼす影響を評価するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いた。

日本人高齢者におけるうつ病、認知症、死亡リスクの関係〜JAGES縦断的研究

 日本人高齢者を対象とした全国コホートに基づき、中国・広東薬科大学のShan Wu氏らは、うつ病、認知症、すべての原因による死亡率の関連および用量反応関係を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2024年5月23日号の報告。  2010〜19年に実施された日本老年学的評価研究(JAGES)の65歳以上の参加者4万4,546例を対象に縦断的研究を実施した。抑うつ症状は老年期うつ病評価尺度(GDS-15)、認知症は公的な長期介護保険(LTCI)を用いて評価した。うつ病の重症度が認知症の発症率およびすべての原因による死亡率に及ぼす影響を評価するため、Fine-gray modelおよびCox比例ハザードモデルをそれぞれ用いた。認知症を介したうつ病とすべての原因による死亡率との関連性の評価には、因果媒介分析(CMA)を用いた。