精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:18

ペットは家族や友人と同程度に生活満足度を高める

 ペットの猫や犬が皿洗いやWi-Fiの修理をしてくれることはないが、家族や友人がもたらすのと同程度の幸福感を飼い主にもたらすようだ。新たな研究で、ペットを飼うことで得られる生活満足度は、友人や家族と定期的に会うことで得られる満足度と同程度であることが明らかにされた。英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのMichael Gmeiner氏と英ケント大学経済学分野のAdelina Gschwandtner氏によるこの研究結果は、「Social Indicators Research」に3月31日掲載された。  ペットを飼うことで生活満足度が向上することは過去の研究で示唆されているが、ペットを飼うと幸せになるという因果関係があるのか、あるいは単に生活満足度の高い人がペットを飼う傾向にあるのかは明確になっていない。

新型コロナ後遺症としての勃起不全が調査で明らかに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患した患者では、回復後も長期にわたりその後遺症に悩まされるケースがある。その後遺症の中には男性における勃起不全(ED)も含まれるが、後遺症としてのEDの有病率とそれに関連する根本的要因が示唆されたという。横浜市立大学附属病院感染制御部の加藤英明氏らが行った研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月21日掲載された。  COVID-19感染後のEDは、急性期における炎症性サイトカインや低酸素症による血管内皮障害が原因で進行する。また、身体的・精神的なストレスもEDに影響する。ワクチン接種や早期治療は、この感染症の後遺症の発症率を低下させる可能性はあるが、EDの発症を防ぐための予防策については不明である。加藤氏らは、COVID-19感染後のEDの有病率とその根本的な要因を明らかにするために感染患者を対象とした症例対照研究を実施した。

統合失調症患者の高プロラクチン血症改善にメトホルミンが有効〜メタ解析

 抗精神病薬治療は、高プロラクチン血症リスクと関連しており、月経障害、性機能障害、骨密度低下などにつながる可能性がある。ほぼすべての抗精神病薬は、プロラクチン値の上昇リスクを有しており、統合失調症患者の最大70%に影響を及ぼすと考えられる。台湾・台北医学大学のKah Kheng Goh氏らは、抗精神病薬治療中の統合失調症患者の高プロラクチン血症の軽減に対するメトホルミン治療の潜在的な役割を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年3月24日号の報告。

NSAIDsの長期使用で認知症リスク12%低下

 新たな研究によると、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期使用は認知症リスクを12%低下させる関連性が認められたが、短期および中期使用では保護効果は認められなかったという。オランダ・エラスムスMC大学医療センターのIlse Vom Hofe氏らによる本研究の結果はJournal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2025年3月4日号に掲載された。  研究者は、前向きの地域ベース研究であるロッテルダム研究から、ベースライン時に認知症のない1万1,745例を分析対象とした。NSAIDs使用データは薬局調剤記録から抽出され、参加者は非使用、短期使用(1ヵ月未満)、中期使用(1~24ヵ月)、長期使用(24ヵ月超)の4グループに分類され、定期的に認知症のスクリーニングを受けた。年齢、性別、生活習慣要因、合併症、併用薬などを調整因子として解析した。

黄斑部の厚さが術後せん妄リスクの評価に有効か

 「目は心の窓」と言われるが、目は術後せん妄リスクのある高齢患者を見つけるのにも役立つ可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。網膜の中心部にある黄斑部が厚い高齢者は、術後せん妄の発症リスクが約60%高いことが示されたという。同済大学(中国)医学部教授のYuan Shen氏らによるこの研究の詳細は、「General Psychiatry」に4月1日掲載された。Shen氏は、「本研究結果は、黄斑部の厚みを非侵襲的なマーカーとして、麻酔および手術後にせん妄を発症しやすい高齢者を特定できる可能性があることを示唆している」と話している。

帯状疱疹生ワクチン、認知症を予防か/JAMA

 米国・スタンフォード大学のMichael Pomirchy氏らは、オーストラリアにおける準実験的研究の結果、帯状疱疹(HZ)ワクチンの接種が認知症のリスクを低下させる可能性があることを示した。オーストラリアでは、全国的なワクチン接種プログラムにおいて2016年11月1日から70~79歳を対象に弱毒HZ生ワクチンの無料接種を開始。同時点で1936年11月2日以降に生まれた人(2016年11月1日時点で80歳未満)が対象で、それ以前に生まれた人(80歳になっていた人)は対象外であったことから、著者らは、年齢がわずかに異なるだけで健康状態や行動は類似していると想定される集団を比較する準実験的研究の利点を活用し、HZワクチン接種の適格基準日である1936年11月2日の前後に生まれた人について解析した。結果を踏まえて著者は、「先行研究であるウェールズでの知見を裏付ける結果であり、認知症に対するHZワクチン接種の潜在的利益には因果関係がある可能性が高いエビデンスを提供するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年4月23日号掲載の報告。

不眠症を伴ううつ病に対する抗うつ薬+睡眠薬併用療法の有効性と安全性〜メタ解析

 抗うつ薬と睡眠薬の併用は、不眠症を伴ううつ病に対し、有望な治療候補である。杏林大学の丸木 拓氏らは、不眠症を伴ううつ病治療における抗うつ薬と睡眠薬の併用療法の有効性および安全性を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2025年3月20日号の報告。  対象は、不眠症を伴ううつ病治療における抗うつ薬と睡眠薬の併用療法の有効性および安全性を評価した二重盲検ランダム化比較試験。2024年6月までに公表された研究を、PubMed、CENTRAL、Embaseより検索した。睡眠薬クラス(ベンゾジアゼピン、Z薬、メラトニン受容体作動薬)別に抗うつ薬単独療法と比較するため、メタ解析を実施した。

教育レベルの高い人は脳卒中後に認知機能が急激に低下する?

 英語には、「The higher you fly, the harder you fall(高く飛べば飛ぶほど、落下も激しくなる)」という諺があるが、脳卒中後の後遺症についてもこれが当てはまる可能性があるようだ。大学以上の教育を受けた人は高校卒業(以下、高卒)未満の人に比べて、脳卒中後に実行機能の急激な低下に直面する可能性のあることが、新たな研究で示唆された。実行機能とは、目標を設定し、その達成に向けて計画を練り、問題に柔軟に対応しながら遂行する能力のことだ。米ミシガン大学医学部神経学教授のMellanie Springer氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に3月26日掲載された。

自宅でできる嗅覚テストが認知機能低下の検出に有効か

 認知症やアルツハイマー病の初期症状の有無を、自宅で実施可能な嗅覚テストにより判定できる可能性のあることが、新たな研究で示唆された。認知症やアルツハイマー病の前兆である軽度認知障害(MCI)を発症した高齢者は、認知機能が正常な人に比べてこの嗅覚テストのスコアが低いことが示されたという。米マサチューセッツ総合病院(MGH)の神経科医であるMark Albers氏らによる研究で、詳細は「Scientific Reports」に3月24日掲載された。  Albers氏は、「われわれの目標は、自宅で実施できる費用対効果の高い非侵襲的な検査を開発して検証し、アルツハイマー病の研究と治療を前進させる基盤を築くことだった」とMGHのニュースリリースで述べた。同氏は、「認知障害の早期発見は、アルツハイマー病のリスクを有する人を特定し、記憶障害の症状が始まる何年も前に介入するのに役立つ可能性がある」と付け加えている。

整形外科における術後せん妄、幅広い20のリスク因子が明らかに~メタ解析

 術後せん妄(POD)は、外科手術を受けた患者によくみられる術後合併症である。発症率は診療科によって異なるが、とくに整形外科患者のPOD発症率は一般病棟入院患者と比較し大幅に高い。せん妄は、患者の転帰と医療システムの両方に重大な影響を及ぼす可能性があるため、PODのリスク因子を特定し、予防することが重要である。三重大学医学部附属病院のRio Suzuki氏らは、下肢整形外科手術後におけるPODのリスク因子を特定したことを報告した。PLoS One誌2025年4月1日号掲載の報告。