精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:15

精神科病床数はどのくらい必要なのか〜メタ解析

 チリ・ディエゴポルタレス大学のAdrian P. Mundt氏らは、精神科病床の必要数を推定し、これが時間経過とともにどのように変化したかを調査したうえで、実際の病床数との比較を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2024年9月26日号の報告。  2022年9月13日までに公表された研究を、PubMed、Embase classic、Embase、PsycINFO、PsycIndex、Open Grey、Google Scholar、Global Health EBSCO、Proquest Dissertationsより検索した。対象研究には、精神科入院病床の必要数の推定を検討した研究を含めた。必要推定値、入院期間、推定年を抽出した。必要推定値は、中央値および四分位範囲(IQR)を用いて統合した。また、同じ時間と場所における必要推定値と実際の病床普及率を算出した。

不十分な情報でも「自分は正しい」と思い込むのはなぜか

 人は、実際には全体像の一部しか把握していないにもかかわらず、決断を下すのに十分な情報を持っていると思い込みがちであることが、新たな研究で明らかになった。米オハイオ州立大学英語学教授のAngus Fletcher氏らによるこの研究結果は、「PLOS ONE」に10月9日掲載された。Fletcher氏は、「本研究により、人は概して、情報に基づいた意思決定をするために、他にも役立つ情報があるかどうかを検討してみようとはしないことが分かった」と述べている。  把握している情報量が実際には不十分であるにもかかわらず十分だと信じてしまう現象を、「情報の十分性の錯覚(illusion of information adequacy)」という。Fletcher氏らは、この概念は、限定的で偏った情報源から情報を得ているに過ぎない場合でも、人がいかに確固とした強い意見を持ち得るのかを説明するのに役立つと述べている。Fletcher氏は、「人に、一見矛盾しないと思われる情報をいくつか与えれば、ほとんどの人は『それは正しいようだ』と言って、それに従うだろう」と述べている。

せん妄で認知症リスク5倍~日本の入院患者26万例のデータ

 せん妄は、高齢者、とくに高齢入院患者の意識障害に影響を及ぼすことが多い。近年、せん妄歴と認知症リスク上昇との関連を報告したエビデンスが増加している。しかし、多くの研究は、主に患者数の少ない術後およびICU患者に焦点が当てられており、範囲が限定されているため、適応範囲が広いとはいえない。大阪医科薬科大学の南 博也氏らは、入院患者全体を対象に、せん妄の発生率およびその後の認知症発症リスクを調査した。さらに、入院中のせん妄発現とその後の認知症発症との相関も調査した。Frontiers in Psychiatry誌2024年9月13日号の報告。

薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析

 薬物乱用頭痛の治療に対する予防薬の必要性については、議論の余地が残っている。中国・雲南大学のFanyi Kong氏らは、薬物乱用の改善を含む、薬物乱用頭痛の治療に利用可能な薬剤の相対的なベネフィットおよび安全性を評価するため、本研究を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2024年10月7日号の報告。  薬物乱用頭痛に対するさまざまな薬剤の効果を比較するため、文献検索を通じて、ランダム化比較試験のシステマティックレビューを実施した。介入効果の比較をランク付けするため、ランダム効果ネットワークメタ解析を行った。アウトカムのベースラインからの改善には、治療反応率(頭痛頻度50%以上の減少)、急性薬物乱用の改善率、1ヵ月当たりの頭痛および急性期治療薬の減少を含めた。エビデンスの信頼性の評価には、Grading of Recommendations, Assessment, Development & Evaluation(GRADE)を用いた。

お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下

 ベリー類、お茶(紅茶・緑茶)、赤ワイン、ダークチョコレートなどの食品や飲料に含まれるフラボノイドの摂取量と、認知症リスクの関連について、英国・クイーンズ大学ベルファスト校のAmy Jennings氏らが調査を実施した。本研究は英国の約12万人を対象に実施され、フラボノイドが豊富な食品を日常的に摂取することで、認知症リスクを大幅に低減することが示唆された。JAMA Network Open誌2024年9月18日号掲載の報告。

幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る

 幸福感が高い人ほど、脳卒中や心筋梗塞のリスクが低いことを示唆するデータが報告された。中国科学技術大学脳卒中センターのWen Sun氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Heart Association」に9月18日掲載された。  論文の上席著者であるSun氏は、「われわれの研究結果は、人々の精神的な健康を高めることが心臓や脳の病気の予防に不可欠な要素であることを意味しており、健康管理への総合的なアプローチの重要性を支持するものと言える」と述べている。さらに同氏は、「医療専門家は、患者の幸福を高める効果的な方法として、習慣的な身体活動、社会活動、ストレス管理テクニックを推奨するなど、生活満足度と幸福感を向上させる戦略を、日常のケアの一部として含めることを検討する必要があるのではないか」とも付け加えている。

双極症に対する抗精神病薬と気分安定薬の投与量が再発リスクに及ぼす影響

 双極症患者は、症状や治療に苦しんでいるにもかかわらず、効果的な治療レジメンを見出すことは困難である。東フィンランド大学のJonne Lintunen氏らは、双極性障害患者における、さまざまな用量の抗精神病薬および気分安定薬に関連する再発リスク、治療の安全性を調査した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2024年10月2日号の報告。  1996〜2018年のフィンランド全国レジストリより、15〜65歳の双極症患者を特定した。対象となる抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、アリピプラゾール、気分安定薬には、リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン、カルバマゼピンを含めた。各薬剤の時間変動用量カテゴリーは、使用量に応じて低用量、標準用量、高用量に分類した。アウトカムは、再発リスク(精神科入院)、治療の安全性(非精神科入院)のリスクとした。分析には、個人内の層別Cox回帰を用いた。

「永遠の化学物質」PFASが睡眠障害を引き起こす可能性も

 血液中の「永遠の化学物質」とも呼ばれる有機フッ素化合物の「PFAS」が、若年成人の睡眠障害と関連していることが、米南カリフォルニア大学(USC)のグループによる研究で示された。PFASは有機フッ素化合物のペルフルオロアルキル化合物とポリフルオロアルキル化合物の総称で、この研究からはPFASのうち4種類の物質の血中濃度が睡眠障害と関連していることが明らかになった。詳細は、「Environmental Advances」10月号に掲載された。  PFASは、テフロン加工された調理器具やシャンプーなど、さまざまな製品に使用されているが、何十年もの間、環境中に残留する可能性がある。また、食品や水と一緒に体内に摂取される可能性も考えられる。研究グループによると、米国人の大多数において、血中のPFAS濃度は検出可能レベルであるという。

統合失調症患者の10年間にわたる心血管リスク

 統合失調症患者は、平均寿命が短く、その主な死因は心血管疾患となっている。精神症状、認知機能、心血管疾患との関連は十分に明らかになっておらず、性差に関する研究も不十分である。中国・天津医科大学のXiaoying Jin氏らは、統合失調症の男性および女性患者の特徴と10年間の心血管リスクとの関連を調査した。Journal of Neural Transmission誌オンライン版2024年10月10日号の報告。  対象は、慢性期統合失調症患者802例。すべての患者より空腹時の静脈血を採取し、関連する糖脂質代謝指標を測定した。精神症状の評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、認知機能の評価には、神経心理検査アーバンズ(RBANS)、10年間の心血管リスクの推定には、フラミンガムリスクスコア(FRS)を用いた。

難聴は認知機能の低下につながる?

 フランスの大規模研究において、成人の聴覚障害(難聴)は認知症と関連することが明らかにされた。論文の筆頭著者であるパリシテ大学(フランス)のBaptiste Grenier氏は、「認知機能低下がもたらす大きな負担と、認知機能低下を治癒する治療法がないことを考え合わせると、修正可能なリスク因子を特定することが重要だ」との考えを示している。この研究結果は、「JAMA Network Open」に10月1日掲載された。  この研究でGrenier氏らは、2012年1月1日から2020年12月31日の間に募集されたCONSTANCESコホート研究参加者6万2,072人(45〜69歳、平均年齢57.4歳、女性52%)のデータの縦断的解析を行い、客観的に測定された難聴と認知機能との関連を評価した。これらの研究参加者の認知機能は、試験登録時に5種類の検査から成る認知機能評価バッテリーにより評価されていた。主成分分析により算出された認知機能スコアが分布の25パーセンタイル以下である場合を認知機能障害があると判断された。