精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:16

パンデミック中は国内在留外国人の自殺率も高まった

 国内に暮らす外国人の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中の自殺率に関するデータが報告された。外国人もパンデミックとともに自殺率が上昇したこと、男性においてはそのような変化が日本人よりも長く続いていたことなどが明らかにされている。筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野と国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センターの共同研究で、谷口雄大氏、田宮菜奈子氏、磯博康氏らによる論文が「International Journal for Equity in Health」に7月31日掲載された。

自殺リスク、曜日や祝日との関連は?/BMJ

 ほとんどの国では自殺リスクは月曜日に最も高く、元日に増加するが、週末やクリスマスでは国や地域によって異なることを、韓国・釜山大学のWhanhee Lee氏らが、Multi-City Multi-Country(MCC)Collaborative Research Networkのデータベースを用いた解析の結果を、報告した。これまでの研究では、自殺リスクは曜日によって異なることが報告されているが、研究対象地域が限定され、方法論的枠組みが不均一であったため、結果の一般化には限界があった。BMJ誌2024年10月23日号掲載の報告。  研究グループは、MCC Collaborative Research Networkのデータベースを用い、1971年1月1日~2019年12月31日における26ヵ国740地点の自殺のデータを収集した(国によってデータの期間は異なる)。

日本の頭痛外来受診患者、頭痛の種類や特徴は?

 頭痛外来を受診した患者に関する単一施設研究の報告は行われているものの、日本で実施された多施設共同研究は、これまでほとんどなかった。静岡赤十字病院の今井 昇氏らは、日本において頭痛外来を受診した患者の臨床的特徴、頭痛の種類、重症度、精神疾患の併存について多施設分析を実施し、ギャップを埋めることを目指し、本研究を実施した。Clinical Neurology and Neurosurgery誌オンライン版2024年10月15日号の報告。  3ヵ所の頭痛外来を受診した頭痛患者2,378例を対象に、臨床的特徴をプロスペクティブに評価した。視覚的アナログスケール(VAS)などのベースライン時の人口統計学的特徴、7項目の一般化不安障害質問票(GAD-7)やこころとからだの質問票(PHQ-9)などの精神疾患の評価を行った。頭痛の種類は、片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛(TAC)、その他の一次性頭痛疾患、二次性頭痛に分類した。頭痛の種類間でのパラメータを比較するため、必要に応じてKruskal-Wallis検定または共分散分析を行った。

自宅で行う脳刺激療法がうつ病の症状を軽減

 自宅で行う脳刺激療法により、中等度から重度のうつ病を安全かつ効果的に治療できることが、米テキサス大学マクガバン医学部精神医学部長のJair Soares氏らが実施した臨床試験で示された。Soares氏らによると、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と呼ばれる非侵襲的な脳刺激療法は、治療反応率とうつ病寛解率においてシャム刺激よりも優れていたという。この研究結果は、「Nature Medicine」に10月21日掲載された。Soares氏は、「この研究結果は、気分障害に苦しむ患者に、近い将来、革新的な治療法が利用可能になるかもしれないという希望をもたらすものだ」と述べている。

統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析

 統合失調症患者における急性期電気けいれん療法(ECT)後の再発リスクに関するエビデンスは、うつ病患者の場合と比較し、再発率に関する明確なコンセンサスが得られていない。関西医科大学の青木 宣篤氏らは、統合失調症における急性期ECT後の再発に関する縦断的な情報を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年10月4日号の報告。  統合失調症および関連疾患に対する急性期ECT後の再発や再入院に関するランダム化比較試験(RCT)、観察研究をシステマティックレビューおよびメタ解析に含めた。主要アウトカムは、ECT後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月時点における再発統合推定値とし、ランダム効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析では、維持療法の種類別にECT後の再発率を評価した。

変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併

 変形性関節症(OA)、関節リウマチ(RA)の患者はいずれも約10人に4人が不安、抑うつ、線維筋痛症のうち少なくとも1つを合併しているとする研究結果が「ACR Open Rheumatology」に7月16日掲載された。これらの併存疾患は自記式の多次元健康評価質問票(MDHAQ)で適切にスクリーニングできる可能性があることも示された。  OA患者とRA患者の合併症は類似しており、いずれも抑うつ、不安や線維筋痛症の合併率が高いことが知られている。しかし、実臨床ではこれらの併存疾患のスクリーニングは十分に行われていない。米ラッシュ大学医療センターのJuan Schmukler氏らは、2011年から2022年にかけて同センターを受診したOA患者361人(平均年齢66.6歳、女性80%)およびRA患者488人(同56.9歳、86%)を対象に、MDHAQの回答から不安、抑うつ、線維筋痛症の有病率などを検討するため、後ろ向きの横断研究を実施した。

本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会

 2024年10月、日本がんサポーティブケア学会と日本サイコオンコロジー学会は『がん患者における気持ちのつらさガイドライン』(金原出版)を発刊した。本ガイドラインは、がん医療におけるこころのケアガイドラインシリーズの第4弾となる。第65回日本肺癌学会学術集会において、本ガイドラインの作成委員長の藤澤 大介氏(慶應義塾大学医学部)が本ガイドライン作成の背景、本ガイドラインで設定された重要臨床課題と臨床疑問(CQ:クリニカルクエスチョン)を紹介した。

MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析

 軽度認知障害(MCI)は、認知症の前駆段階であり、通常の老化による認知機能低下よりも進行することが特徴である。高齢MCI患者における機能低下の抑制、認知機能向上に対する有望なアプローチとして、運動介入への期待が高まっている。しかし、最適な運動様式とその量(用量反応関係)に関する研究は、十分に行われていなかった。中国・大連理工大学のYingying Yu氏らは、用量反応関係を最適化し、十分な強度を確保し、ポジティブな神経学的適応を誘発することによりMCI患者にとって最適な運動様式を特定するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年9月12日号の報告。

第2世代抗精神病薬治療104週間の最終治療結果〜国内JUMPs試験

 CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンの104週間自然主義的研究である統合失調症に対する有用な薬物治療プログラム(JUMPs)試験の最終結果を報告した。BMC Psychiatry誌2024年9月5日号の報告。  本研究は、日本のリアルワールドにおける、第2世代抗精神病薬(SGA )3剤(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)の長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同ランダム化平行群間比較試験として実施された。対象は、抗精神病薬による治療または切り替えによる治療を必要とした20歳以上の統合失調症患者。主要エンドポイントは、104週にわたる治療中止率とした。副次的エンドポイントには、寛解率、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)、安全性、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、QOL(EuroQol-5 dimension[(EQ-5D])を含めた。

手術後の音楽療法は患者の回復を早める

 手術後には音楽を聞くことで回復が早まるかもしれない。米カリフォルニア州北部医科大学外科分野教授のEldo Frezza氏らによるシステマティックレビューとメタアナリシスで、手術後の音楽療法により患者の不安や痛みが軽減し、心拍数の増加が抑制され、鎮痛薬の使用量も少なく済むことが示唆された。この研究結果は、米国外科学会臨床会議(ACS Clinical Congress 2024、10月19〜22日、米サンフランシスコ)で発表された。  Frezza氏は、「手術後に目を覚ました患者の中には、ひどくおびえていて、自分がどこにいるのか分からない人がいる」と話す。そして、「音楽は、覚醒してから平常の状態に戻るまでの移行を円滑に進め、移行に伴うストレスを軽減するのに役立つ可能性がある」と述べている。