精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

超加工食品摂取の健康への有害性、アンブレラレビューでも/BMJ

 超加工食品の摂取の多さは、有害な健康アウトカム、とくに心代謝系、一般的な精神障害および死亡のリスク増大と関連していることが、オーストラリア・ディーキン大学のMelissa M. Lane氏らの検討で示された。超加工食品と有害な健康アウトカムとの関連性についてはメタ解析が行われているが、研究グループは幅広い視点を提供し、先行研究のメタ解析によるエビデンスを評価するため、包括的なアンブレラレビューを行った。結果を踏まえて著者は、「今回得られた知見は、健康改善のために超加工食品への曝露を減らす公衆衛生対策の策定、およびその効果の評価に論理的根拠を与えるものである」と述べている。BMJ誌2024年2月28日号掲載の報告。

日本人片頭痛患者における日常生活への影響~OVERCOME研究

 日本人の片頭痛患者を対象に、日常生活活動や基本的な健康指標(睡眠、メンタルヘルス)など、日常生活に及ぼす影響を詳細に調査した研究は、これまであまりなかった。鳥取県済生会境港総合病院の粟木 悦子氏らは、日本人片頭痛患者における日常生活への影響を明らかにするため、横断的観察研調査を実施した。Neurology and Therapy誌2024年2月号の報告。  日本における片頭痛に関する横断的疫学調査(OVERCOME研究)は、2020年7~9月に実施した。片頭痛による家事、家族/社交/レジャー活動、運転、睡眠への影響は、片頭痛評価尺度(MIDAS)、Migraine-Specific Quality of Life(MSQ)、Impact of Migraine on Partners and Adolescent Children(IMPAC)scales、OVERCOME研究のために作成したアンケートを用いて評価を行った。片頭痛のない日の負担を評価するため、Migraine Interictal Burden Scale(MIBS-4)を用いた。抑うつ症状および不安症状の評価には、8項目の患者健康質問票うつ病尺度(PHQ-8)、7項目の一般化不安障害質問票(GAD-7)をそれぞれ用いた。日常生活への影響は、MIDAS/MIBS-4カテゴリで評価した。

初発統合失調症のミエリン形成不全と認知機能低下との関係

 統合失調症患者の皮質領域におけるミエリン形成不全は、これまでの死後脳研究により明らかとなっており、異常な脳の成熟過程を反映している可能性がある。しかし、この異常なミエリン形成が統合失調症の初期段階からすでに存在しているのか、疾患の経過中に進行するのか、両方であるのかは現時点でよくわかっていない。富山大学の小林 春子氏らは、初発統合失調症患者の皮質内ミエリン形成の潜在的マーカーとして灰白質/白質コントラスト(GWC)を調査し、GWCの所見と臨床および認知機能との関連について検討を行った。Cerebral Cortex誌2024年1月31日号の報告。  初発統合失調症患者63例および健康対照者77例を対象に、GWCの調査を目的としたMRI研究を実施した。初発統合失調症患者におけるGWCの所見と臨床/認知的変数との関連も調査した。

うつ病に有効な運動は?/BMJ

 運動はうつ病にとって有効な治療法であり、とくに運動強度が強いウォーキングやジョギング、ヨガ、筋力トレーニングが他の運動よりも有効であり、またヨガと筋力トレーニングは他の治療法と比べて忍容性が良好であることが示された。運動は、併存疾患の有無やうつ病の重症度を問わず、有効性は同等とみられることも示唆されたという。オーストラリア・クイーンズランド大学のMichael Noetel氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「今後の研究では、参加者やスタッフを盲検化することを目指せば、期待される効果を軽減することができるだろう」と指摘したうえで、「これらの運動は、うつ病治療の中心的な治療法として、心理療法や抗うつ薬と並んで検討されるものとなるだろう」とまとめている。BMJ誌2024年2月14日号掲載の報告。

ADHDと6つの精神疾患リスクとの関連

 注意欠如・多動症(ADHD)とさまざまな精神疾患との合併率の高さは、観察研究や診断基準などから示唆されている。中国・重慶医科大学のYanwei Guo氏らは、ADHDと6つの精神疾患との潜在的な遺伝的関連性を調査するため、メンデルランダム化(MR)研究を実施した。BMC Psychiatry誌2024年2月5日号の報告。  2サンプルのMRデザインを用いて、ADHDと6つの精神疾患のゲノムワイド関連研究(GWAS)に基づき、遺伝的操作変数(IV)をシステマティックにスクリーニングした。主なアプローチとして、逆分散重み付け(IVW)法を用いた。

日本人の睡眠時間やその変化が認知症リスクに及ぼす影響

 睡眠時間およびその変化が長期的な認知症リスクに及ぼす影響について、これまでの研究結果は一貫していない。長崎大学の宮田 潤氏らは、日本人の中年期における睡眠時間およびその変化と認知症リスクとの関連を調査するため、本研究を実施した。その結果、長時間睡眠および睡眠時間の増加が認知症リスクと関連することが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2024年2月2日号の報告。  研究チームは、40~71歳の日本人4万1,731人を募集し、ベースライン時(1990~94年)の習慣的な睡眠時間および5年間のフォローアップ調査について記録した。睡眠時間の変化はベースライン時と5年間の測定結果の差として算出し、認知症の発症は介護保険制度の利用(2007~16年)で特定した。認知症発症のハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の算出には、エリア層別Coxモデルを用いた。

日本人のうつ病に対するブレクスピプラゾールvs.アリピプラゾール

 抗うつ薬治療に対し効果不十分な日本人のうつ病患者における、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの有効性、受容性、忍容性、安全性プロファイルの違いを検討するため、藤田医科大学の岸 太郎氏らは、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、全体としてブレクスピプラゾールとアリピプラゾールは、同程度の有効性が認められ、良好なリスクベネフィットバランスを有していることが確認された。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年1月14日号の報告。  変量効果モデルを用いたシステマティックレビュー、および頻度主義ネットワークメタ解析を行った。主要アウトカムは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコアとした。その他のアウトカムには、臨床全般印象度-重症度(CGI-S)スコア、社会機能評価尺度(SFS)、非治療反応率、非寛解率、すべての原因による治療中止、有害事象による治療中止、1つ以上の有害事象発現、重篤な有害事象、アカシジア、振戦、体重増加を含めた。

アルツハイマー病バイオマーカー、異常検出は診断の何年前から?/NEJM

 アルツハイマー病患者では、診断のかなり前から脳脊髄液(CSF)中のバイオマーカーに変化を認めることが知られている。中国・首都医科大学宣武医院のJianping Jia氏らは、孤発性アルツハイマー病の臨床診断を受けた集団の、診断に至る前の20年間におけるバイオマーカーの経時的変化を明らかにするとともに、認知機能が正常な集団と比較してどの時点でバイオマーカーに乖離が生じ、異常値となるかを検討した。研究の成果は、NEJM誌2024年2月22日号で報告された。

高齢統合失調症患者の死亡率、その原因と他の精神疾患との比較

 統合失調症でみられる超過死亡は、その後の生活においても影響を及ぼす可能性がある。高齢統合失調症患者でみられる死亡率増加の具体的な原因、および向精神薬の潜在的な影響については、これまで十分にわかっていない。フランス・Corentin-Celton HospitalのNicolas Hoertel氏らは、高齢統合失調症患者の5年死亡率とその原因を調査し、双極性障害やうつ病との比較を行った。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2024年1月31日号の報告。  高齢者の統合失調症、双極性障害、うつ病の入院および外来患者564例(平均年齢:67.9±7.2歳)を対象に、5年間のプロスペクティブコホート研究を実施した。1次分析では、社会人口学的要因、罹病期間と重症度、精神疾患と非精神疾患の併存などの交絡因子の影響を軽減するため、逆確率重み付け(IPW)多変量ロジスティックモデルを用いた。

うつ病発症リスクと犬の散歩のタイミング~女性看護師調査

 朝の散歩を行うことは、体内時計を調節するうえで重要であり、夜型のクロノタイプにとって有益であると考えられる。オーストリア・ウィーン医科大学のMagdalena Zebrowska氏らは、犬の飼育や犬との朝の散歩は、うつ病リスクを低下させる可能性があるとの仮説を立て、女性看護師を対象に犬の飼育、朝の散歩とそのタイミングや期間とうつ病リスクとの関連を調査し、クロノタイプによる効果の違いを検討した。PLOS ONE誌2024年1月31日号の報告。  Nurses' Health Study 2(NHS2)に参加した53~72歳のうつ病でない米国女性2万6,169人を対象に、2017~19年にプロスペクティブフォローアップ調査を実施した。年齢および多変量で調整したロジスティック回帰分析を用いて、犬の飼育、犬との朝の散歩、時間、タイミングに応じて、うつ病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。