長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、症状の重症度や入院リスクの軽減など、統合失調症患者のアウトカム改善に寄与する。しかし、経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた場合のアウトカムは十分に明らかになっていない。サウジアラビア・Jazan UniversityのAmani Kappi氏らは、統合失調スペクトラム症患者における経口抗精神病薬からLAI抗精神病薬に切り替えた際の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of the American Psychiatric Nurses Association誌オンライン版2024年10月23日号の報告。
対象研究をPubMed、Scopus、PsycInfo、CINAHLのデータベースより検索した。メタ解析を行うため、Comprehensive Meta-Analysisのプログラムを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・包含基準を満たした研究は41件であった。
・LAI抗精神病薬に切り替え後、症状重症度、再入院回数、救急外来受診、医療費全体について改善が認められた。
・社会機能の有意な改善も確認された。
・外来受診頻度には、差が認められなかった。
・LAI抗精神病薬の開始前と開始後では、薬局での費用が増加していた。
著者らは、「抗精神病薬の投与経路を経口からLAIに変更すると、統合失調症患者の臨床アウトカム、QOL、医療利用アウトカムを改善することが裏付けられた。より良い臨床アウトカムおよび医療利用の最適化のために、医療従事者は統合失調症治療においてLAIの早期使用を検討すべきであろう」と結論している。
(鷹野 敦夫)