精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:314

早期アルツハイマー病診断に有用な方法は

 アミロイドPET検査ならびにCSFバイオマーカーは、いずれも高い精度で早期アルツハイマー病を診断できることを、スウェーデン・ルンド大学のSebastian Palmqvist氏らがBioFINDER研究で明らかにした。最も有効なCSF測定値とPET検査所見の間に違いはなく、それらを組み合わせて使用しても精度は向上しなかったことから、著者らは「早期アルツハイマー病の診断においてCSFバイオマーカーとアミロイドPET検査はどちらも精度は同等に高いので、利便性、費用、医師や患者の好みによる選択が可能である」とまとめている。Neurology誌2015年10月号の掲載報告。

高齢者の服薬、併存疾患の組み合わせの確認を/BMJ

 米国・イェール大学医学部のMary E Tinetti氏らは複数の慢性疾患を有する高齢者の、ガイドラインに基づく服薬と死亡の関連を調べた。その結果、とくに心血管薬の生存への影響は、無作為化試験の報告と類似していたが、β遮断薬とワルファリンについて併存疾患によりばらつきがみられたことを報告した。また、クロピドグレル、メトホルミン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は、生存ベネフィットとの関連がみられなかったという。結果を踏まえて著者は、「併存疾患の組み合わせによる治療効果を明らかにすることが、複数慢性疾患を有する患者の処方せんガイドになるだろう」とまとめている。BMJ誌オンライン版2015年10月2日号掲載の報告より。

認知症患者の精神症状に対し、抗不安薬の使用は有用か

 認知症患者の神経精神症状や機能レベルに対する入院および向精神薬の影響について、フィンランド・タンペレ大学のHanna-Mari Alanen氏らが調査を行った。その結果、認知症患者の神経精神症状に対する抗不安薬の使用を支持しない結果が得られたことを報告した。Dementia and geriatric cognitive disorders誌オンライン版2015年9月4日号の報告。

統合失調症患者にはもっと有酸素運動をさせるべき

 初回エピソードの統合失調症患者のメタボリックシンドロームおよび代謝異常の有病率は、健常対照と比較して有意に高く、また1年間の治療フォローアップ中にいずれも有意な増大が認められたことが、デンマーク・オーフス大学病院のL. Nyboe氏らによる検討の結果、示された。さらに、メタボの有意なリスク因子として、有酸素運動の不足を示唆する所見もみられたという。結果を踏まえて著者らは、「健康的なライフスタイルを、精神科治療およびリハビリテーションの一部として推進していかなくてはならない」と提言している。Schizophrenia Research誌2015年10月号の掲載報告。

注意が必要なトランスジェンダーのメンタルヘルス

 中国医科大学のXiaoshi Yang氏らは、同国におけるトランスジェンダー女性のうつ病罹患状況とその背景要因を検討するため横断研究を行った。その結果、中国のトランスジェンダー女性は、うつ病を高頻度に経験していることを報告した。また、彼女たちのうつ病は、トランスジェンダーに関連する差別や性転換の状況よりも、特定あるいは不特定のパートナーの有無により予測できること、セックスパートナーの存在がうつ病に関連していること、また、自己効力感がうつ病の軽減に好影響を与えうることなどを報告した。そのうえで、「彼女たちがうつ病に対処できるよう、またパートナー(とくに特定あるいは不特定の)とのリスキーなパートナーシップの特徴を見極められるように、自己効力感の改善に重点を置いた介入をすべきであることが示唆された」と報告している。PLoS One誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。

SPECT+統計解析でアルツハイマー病の診断精度改善:東北大

 東北大学の金田 朋洋氏らは、SPECT(単光子放出断層撮像法)を用いたアルツハイマー病(AD)の診断精度について検討を行い、画像評価と統計解析を併用することで診断精度が改善することを報告した。SPECTは認知症の重要な診断ツールとなっているが、最近ではこれに統計解析を加味して認知症研究に用いるのが一般的になってきている。Clinical Nuclear Medicine誌オンライン版2015年9月10日号の掲載報告。

統合失調症治療、ドパミン調節の概念が変わる

 イタリア・ナポリ大学医学部のAndrea de Bartolomeis氏らは、統合失調症治療において、ドパミン調節の概念がドパミンD2受容体遮断から機能的選択性へと変化しつつあるとしたうえで、アリピプラゾールの神経生物学的作用について言及し、統合失調症治療薬としての可能性の広がりを示唆した。CNS Drugs誌2015年9月号の掲載報告。

介護施設での任天堂Wiiを用いたメンタルヘルス

 世界中で65歳以上の人口が急増している。介護施設の高齢者は地域の高齢者に比べ、うつ病の程度が高く、社会的支援や帰属意識が少ない。施設入居者のメンタルヘルスを改善する介入法が研究され始め、テレビゲームが認知や身体に効果があることが明らかとなった。集団の中でゲームをすることは、社会的交流にもつながり孤独感を減らす可能性がある。オーストラリア・フェデレーション大学のJessica Chesler氏らは、任天堂Wiiを用いた介入プログラムを評価する研究を行っており、そのプロトコルを紹介した。著者らは、「テレビゲームの使用が効果的であるとわかれば、楽しく経済的で使いやすい介入方法を確立し、Wiiゲームを活動スケジュールに組み込むことが介護施設に入居する高齢者のメンタルヘルスに役立つ可能性がある」とまとめている。BMC Geriatrics誌オンライン版2015年9月3日号の掲載報告。

高齢の治療抵抗性うつ病、アリピプラゾール増強療法が有効/Lancet

 高齢の治療抵抗性うつ病患者に対し、アリピプラゾールを用いた増強薬物療法が有効であることが、米国・ワシントン大学のEric J Lenze氏らの検討で示された。高齢者では、治療抵抗性の大うつ病の頻度が高く、生命を脅かす可能性があるが、増強薬物療法のベネフィットとリスクはほとんど知られていないという。アリピプラゾールは第2世代の非定型抗精神病薬で、18~65歳(平均年齢30歳)のうつ病患者において選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の増強療法として有効であることが報告されている。Lancet誌オンライン版2015年9月24日号掲載の報告。