注意が必要なトランスジェンダーのメンタルヘルス 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/10/20 中国医科大学のXiaoshi Yang氏らは、同国におけるトランスジェンダー女性のうつ病罹患状況とその背景要因を検討するため横断研究を行った。その結果、中国のトランスジェンダー女性は、うつ病を高頻度に経験していることを報告した。また、彼女たちのうつ病は、トランスジェンダーに関連する差別や性転換の状況よりも、特定あるいは不特定のパートナーの有無により予測できること、セックスパートナーの存在がうつ病に関連していること、また、自己効力感がうつ病の軽減に好影響を与えうることなどを報告した。そのうえで、「彼女たちがうつ病に対処できるよう、またパートナー(とくに特定あるいは不特定の)とのリスキーなパートナーシップの特徴を見極められるように、自己効力感の改善に重点を置いた介入をすべきであることが示唆された」と報告している。PLoS One誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。 トランスジェンダー女性は、性転換に関連する差別や社会的サポートの欠如にしばしば悩まされている。そのことは多大な精神的打撃となり、結果として、この集団における高いうつ病罹患率につながっている可能性がある。自己効力感の増大は、性転換のうつ病が及ぼす悪影響を抑える可能性がある。しかし、トランスジェンダー女性のうつ病予防効果を検討した利用可能な研究はほとんどなく、中国人トランスジェンダー女性のメンタルヘルスを扱った研究も不十分であった。 そこで研究グループは、中国のトランスジェンダー女性におけるうつ病罹患率を調査し、その関連要因を探った。2014年1月~7月に、遼寧省瀋陽市で便宜的抽出法を用いたサンプリング(convenience sampling)により横断研究を実施した。トランスジェンダーの女性209例を対象に、Zungうつ病自己評価尺度(SDS)、人口動態学的特性、性転換の状況、セックス・パートナーシップ、トランスジェンダーであるために経験した差別、ソーシャルサポート尺度であるMultidimensional Scale of Perceived Social Support(MSPSS)、General Self-efficacy Scale(GSES)が網羅された質問票を用いて対面インタビューを行った。SDSスコアに関連する要因を階層多重回帰モデルにより分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・トランスジェンダー女性のうつ病罹患率は45.35%であった。 ・特定のパートナーあるいは不特定のパートナーのいる性転換女性は、それらがいない場合に比べ高いSDSスコアを示した。 ・回帰分析により、セックスパートナーの状況はうつ病スコアにおける全分散の多く(16.6%)を説明することが示された。 ・自己効力感は、うつ病と負の関係にあった。 関連医療ニュース うつになったら、休むべきか働き続けるべきか スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を 職場のメンタルヘルス、効果的な方法は:旭川医大 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Yang X, et al. PLoS One. 2015;10:e0136975. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)