ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は? ドパミンD3受容体拮抗作用に着目した統合失調症の陽性および陰性症状や認知症状治療の可能性は、前臨床試験や予備的臨床試験のデータに基づき再検討されている。ドイツ・Abbott Neuroscience ResearchのGerhard Gross氏らは、D3受容体拮抗作用が錐体外路症状を阻害可能であるといった事実に基づけば、依然として治療オプションとなりうるの見解を報告している。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2012年11月6日号の報告。
認知症の前駆症状は?うつ病との関係 うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆症状であるが、超高齢者におけるうつ病発症は他の病因による認知症の前駆症状ではない可能性が示された。高齢期でのうつ病は年齢とともに低下した認知機能への懸念が積み重なって出現したもので、予測可能であるという。ドイツ・ボン大学のHeser K氏らは、高齢期うつ病が認知症のリスクとなるのか、あるいは認知症の前駆症状であるのかについて調査した。Psychological Medicine誌オンライン版2012年11月9日号の報告。
てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。
認知症患者が車で徘徊、発見方法は? 認知症患者では徘徊行動がしばしば問題となる。そして、車での徘徊となるとさらに問題は大きくなる。Meredeth A Rowe氏らは、認知症患者が車で徘徊した際の発見方法やシルバーアラートの効果に関してレトロスペクティブに検討を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2012年11月7日号の報告。
性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 性的強迫観念(sexual obsession)は、統合失調症患者で頻度が高く半数以上でみられ、次いで気分障害患者で3割強にみられる。また、統合失調症患者では女性よりも男性に多く、自殺行動の独立関連因子であることなどが、Dell Osso L氏らによる研究の結果から、明らかになった。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2012年10月30日号の掲載報告。
統合失調症における長期転帰の予測因子は「男性」「顕著な陰性症状」 統合失調症患者の長期転帰を改善することは、重要な課題であり、さまざまな研究が行われている。しかし、過去の統合失調症における経過や転帰を研究した報告を比較するにあたっては、異なる診断システムが用いられていることにより限界があった。Lang FU氏らは、精神病理学的な観点から長期の転帰に焦点を当て、DSM-III、DSM-III-R、DSM-IV、ICD-10を用いたフォローアップ研究のレビューを行った。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年11月9日号の報告。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(34)〕 高齢者の不安―古くて新しい問題 本論文は、ベンゾジアゼピンの新規使用が認知症発症の危険因子であるという報告である。認知症の前駆期あるいは初期には抑うつが多くみられることから、ベンゾジアゼピンを処方される機会も多いはずだという批判に対して、本研究では抑うつ症状も統制した多変量解析の結果も示しており、この点もぬかりがない。
統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 若年統合失調症患者ではPET(陽電子断層撮影法)を用いた研究により、線条体ドパミンD2/3レセプター占有率を指標とした治療域は65~80%が適切であることが確認されている。慶應義塾大学の内田裕之氏らは、これまで検討されていなかった高齢統合失調症患者における同治療域の検討を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2012年10月31日号の掲載報告。
双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現 双極性障害患者の大半は、DSM-IV診断基準で定義されるうつ病エピソード以外のうつ症状を経験する。ドイツ・ドレスデン工科大学のBauer M氏らは、1~4日間の短期うつ症状エピソードの頻度を、デイリー自己申告気分評価(daily self-reported mood ratings)を用いて調査した。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌2012年11月号の報告。
てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務 てんかんを持つ人は、生涯にわたってうつ病や不安症に罹患する可能性が高いが、その最大リスクは明らかとなっていない。そうした中で、潜在的に重大なリスク因子として心理社会的要因が示唆されている。オーストラリア・シドニー大学のGandy氏らは、システマティックレビューを行い、心理社会的要因が予測因子となうるのか、エビデンスを精緻に評価した。J Affect Disord誌2012年11月号の報告。