精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

ブレクスピプラゾール治療、統合失調症患者からどう評価されているか

 藤田医科大学の横井 里奈氏らは、ブレクスピプラゾールによる抗精神病薬治療に対する統合失調症患者の主観的評価を調査した。Fujita Medical Journal誌2023年8月号の報告。  本研究は、14週間のプロスペクティブ観察研究として実施した。対象は、2019年2月~2020年1月に本研究に参加した統合失調症患者19例。  主な結果は以下のとおり。 ・ブレクスピプラゾール治療開始時の患者の平均年齢は40.6±14.2歳、臨床全般印象度の重症度(CGI-S)スコアの平均値は4.6±1.2であった。

食事の質は片頭痛にも影響

 イラン・Isfahan University of Medical SciencesのArghavan Balali氏らは、食事の質と片頭痛との関連性について、評価を行った。その結果、食事の質の改善は、片頭痛の頻度、重症度、関連する問題などの片頭痛アウトカムの改善と関連している可能性が示唆された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2023年8月5日号の報告。  20~50歳の片頭痛患者262例を対象に、横断的研究を実施した。食事の質の評価には、Healthy Eating Index 2015(HEI-2015)およびAlternative Healthy Eating Index 2010(AHEI-2010)を用いた。食事の摂取量の評価には、168項目の食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いた。

アルツハイマー病患者の大半は新規承認薬の対象外?

 米国では最近、早期段階のアルツハイマー病の患者にとって新たな希望となりそうな2種類の治療薬が承認された。しかし、これらの新規承認薬の恩恵を受けられる可能性のある人の多くは治療の対象外とみなされる可能性の高いことが、米メイヨー・クリニックのグループによる新たな研究で示された。この研究結果は、「Neurology」に8月16日掲載された。  米食品医薬品局(FDA)に7月に承認されたばかりのアルツハイマー病治療薬のレカネマブ(商品名レケンビ)と、2021年に承認されたアデュカヌマブ(商品名アデュヘルム)はいずれもモノクローナル抗体薬だ。論文の共著者の1人で米メイヨー・クリニック神経学分野のVijay Ramanan氏は、「新たに開発されたアルツハイマー病の治療選択肢に対して広く関心が持たれているのは当然のことだ。アルツハイマー病は深刻な疾患であるが、これまで20年以上にわたって新規に承認されたアルツハイマー病治療薬はなかったからだ」と話す。同氏は、「新しい治療薬が登場したことで、この状況から一歩前進した」とする一方で、「これらの治療薬が直面している大きな課題の一つは、臨床試験によって得られた知見を実臨床にどのように取り入れるかという点だ」と指摘する。

シンデレラ体重の若年日本人女性の栄養不良の実態が明らかに

 国内で増加している低体重若年女性の栄養状態を、詳細に検討した結果が報告された。栄養不良リスクの高さや、朝食欠食の多さ、食事の多様性スコア低下などの実態が明らかにされている。藤田医科大学医学部臨床栄養学講座の飯塚勝美氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に5月7日掲載された。  日本人若年女性に低体重者が多いことが、近年しばしば指摘される。「国民健康・栄養調査」からは、20歳代の女性の約20%は低体重(BMI18.5未満)に該当することが示されており、この割合は米国の約2%に比べて極めて高い。BMI18未満を「シンデレラ体重」と呼び「美容的な理想体重」だとする、この傾向に拍車をかけるような主張もソーシャルメディアなどで見られる。実際には、女性の低体重は月経異常や不妊、将来の骨粗鬆症のリスクを高め、さらに生まれた子どもの認知機能や成人後の心血管代謝疾患リスクに影響が生じる可能性も指摘されている。とはいえ、肥満が健康に及ぼす影響は多くの研究がなされているのに比べて、低体重による健康リスクに関するデータは不足している。

自閉スペクトラム症と統合失調症の精神症状の比較

 自閉スペクトラム症(ASD)患者は、明らかな精神症状を発現する傾向があり、これらの症状は、統合失調症患者でみられる症状と類似している。獨協医科大学のMomoka Yamada氏らは、ASD、統合失調症、非精神疾患の初診患者における精神症状の違いについて、調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年8月21日号の報告。  初診患者のデータは、2019年6月~2021年5月の獨協医科大学病院精神科の診療記録よりレトロスペクティブに収集した。分析には、精神症状の簡易評価ツールであるPRIME Screen-Revised(PS-R)の評価データを有する254例を含めた。すべての精神科診断には、DSM-V診断基準が用いられていた。

メンタルヘルスケアアプリ利用で産後うつリスクが低下する可能性

 メンタルヘルスケアのために開発された、スマートフォンなどで利用可能なアプリケーションが、産後うつのリスクを抑制する可能性のあることが報告された。浜松佐藤町診療所(静岡県)の三浦弓佳氏らが行った、システマティックレビューとメタ解析の結果であり、詳細は「BMC Pregnancy and Childbirth」に6月14日掲載された。  国内の妊産婦の死亡原因のトップは自殺であり、これには産後うつの影響が少なくないと考えられている。産後うつによる自殺を防ぐためには、産後うつ状態の早期診断と適切なケアが重要だが、産後には育児などのために時間的な制約が生じることや、偏見などのために、うつリスクがあるにもかかわらず受療行動を起こさない女性が少なくない。このような状況に対応して、モバイルテクノロジーを用いたメンタルヘルスケアアプリが開発されてきた。ただ、それらのアプリの有用性の検証がまだ十分でなく、特に産後うつの「治療」ではなく「予防」という視点でのエビデンスはより不足している。そこで三浦氏らは、システマティックレビューとメタ解析による検討を行った。

睡眠の質を高めるため、多くの医師がしていることは?/1,000人アンケート

 2024年4月から医師の働き方改革の新制度がスタートするが、長時間労働に端を発する医師の過労問題は改善されていないのが現状である。そのような中、睡眠は健康管理の重要カテゴリーとして医学界を筆頭にさまざまな業界で注目されているが、長時間労働者の象徴とも言える医師は果たして睡眠時間を確保できているのだろうか―。そこで、ケアネットでは多忙を極める医師の睡眠時間の実態を調査するために「睡眠状況、睡眠への意識について」のアンケートを実施。回答結果を診療科別、年代別、病床数別に抽出した。

猛暑は一部の高齢者の認知機能を低下させ得る

 2023年は観測史上最も暑い年となることが予測されているが、熱波の影響で高齢者の記憶力や思考力の低下が速まる可能性のあることが、米ニューヨーク大学(NYU)国際公衆衛生学部のEun Young Choi氏らの研究で示唆された。米国の高齢者を対象としたこの研究では、極端な暑さ(以下、猛暑)に長時間さらされた日数が多い人では認知機能の低下速度がより速くなることが示された。ただし、この関連は、黒人や貧困地域の住民などの特定の集団でのみ認められた。この研究結果は、「Journal of Epidemiology and Community Health」に8月4日発表された。

若者の摂食障害や境界性パーソナリティ障害の特徴やリスク因子

 境界性パーソナリティ障害(BPD)と摂食障害は、併発リスクが高いが、両疾患に共通する症状の経過と関連するリスクについては、よくわかっていない。英国・ウォーリック大学のKirsty S. Lee氏らは、若者の地域サンプルにおける症状のジョイントトラジェクトリー、時間的優先順位、リスク因子、人口寄与割合(PAF)について、発達精神病理学的および心理社会学的観点より調査を行った。その結果、若者の摂食障害とBPDの一時性、リスク、スクリーニング、治療に関連するいくつかの新規かつ臨床的に関連性のある所見が特定された。Development and Psychopathology誌オンライン版2023年8月17日号の報告。

日本人双極性障害患者の再入院に対するアリピプラゾール持続性注射剤の予防効果

 熊本・弓削病院の後藤 純一氏らは、双極性障害の再入院に対するアリピプラゾール月1回製剤(AOM)の効果を調査するため、1年間のレトロスペクティブミラーイメージ研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年8月10日号の報告。  参加者は、西日本の精神科救急病院および急性期病院から募集した。対象者は、観察期間中に医療記録が欠落しておらず、1年以上のAOM治療が実施された双極性障害患者39例。主要アウトカムは、精神科再入院と関連する再入院率、再入院数、総入院日数、再入院までの期間とした。有意水準は、p<0.05で設定した。