精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:9

日本の精神科ガイドライン著者におけるCOI分析

 臨床診療ガイドライン(CPG)は、エビデンスに基づく標準的な患者ケアを提供するために、必要不可欠である。しかし、CPGの著者に対する金銭的な利益相反(COI)により、著者への信頼性が損なわれる可能性がある。東北大学の村山 安寿氏らは、日本の精神科CPGの著者におけるCOIの範囲および規模を調査するため、本研究を実施した。BMJ Open誌2024年6月21日号の報告。  製薬会社より開示された支払い金額を横断的に分析し、日本の双極性障害/うつ病のCPGの著者に対し2016〜20年に支払われた講演謝礼、コンサルティング料、執筆謝礼などを評価した。

ベンゾジアゼピン系薬剤は認知症リスクを上げるか

 ベンゾジアゼピン系薬剤の使用が認知症リスクを増加させる可能性は低いが、脳の構造に長期にわたってかすかな影響を及ぼす可能性のあることが、新たな研究で報告された。認知機能の正常なオランダの成人5,400人以上を対象にしたこの研究では、同薬剤の使用と認知症リスクの増加との間に関連性は認められなかったという。研究グループは、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用による認知症リスクの増加を報告した過去の2件のメタアナリシスとは逆の結果であると述べている。エラスムス大学医療センター(オランダ)のFrank Wolters氏らによるこの研究の詳細は、「BMC Medicine」に7月2日掲載された。

コロナ罹患後症状の累積発生率、変異株で異なるか/NEJM

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染後に生じる罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)は多くの臓器システムに影響を及ぼす可能性がある。米国・退役軍人省セントルイス・ヘルスケアシステムのYan Xie氏らは、パンデミックの間にPASCのリスクと負担が変化したかを調べた。感染後1年間のPASC累積発生率はパンデミックの経過に伴って低下したが、PASCのリスクはオミクロン株が優勢になった時期のワクチン接種者においても依然として持続していることが示された。NEJM誌オンライン版2024年7月17日号掲載の報告。

統合失調症の肺炎リスクと抗精神病薬や抗コリン負荷との関連

 観察研究において、抗精神病薬は肺炎リスクと関連していることが示唆されているが、抗精神病薬の使用が肺炎リスクにどの程度影響を及ぼすのか、用量反応性、各薬剤と特異的に関連するかは不明である。オランダ・アムステルダム大学のJurjen J. Luykx氏らは、特定の抗精神病薬に関連する肺炎リスクを推定し、多剤併用療法、投与量、受容体結合特性が統合失調症患者の肺炎と関連しているかを調査した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2024年6月26日号の報告。

体重増加のリスクは抗うつ薬の種類により異なる

 体重増加は抗うつ薬の一般的な副作用であるが、特定の抗うつ薬は他の抗うつ薬よりも体重を増加させやすいことが、新たな研究で明らかになった。この研究では、例えば、ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬(NDRI)のブプロピオン使用者は、最も一般的な抗うつ薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のセルトラリン使用者よりも体重増加のリスクが15%低いことが示されたという。米ハーバード・ピルグリム・ヘルスケア研究所のJason Block氏らによるこの研究の詳細は、「Annals of Internal Medicine」に7月2日掲載された。

線維筋痛症、治療用スマホアプリで症状改善/Lancet

 線維筋痛症の成人患者の管理において、スマートフォンアプリを用いて毎日の症状を追跡するアクティブコントロール群と比較して、アプリを用いたアクセプタンス・コミットメント療法(ACT)によるセルフガイド型のデジタル行動療法は、患者評価による症状の改善度が優れ、デバイス関連の安全性に関するイベントは発生しないことが、米国・Gendreau ConsultingのR. Michael Gendreau氏らが実施した「PROSPER-FM試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。

産後うつ病リスクとビタミンDとの関連

 妊婦、産後女性、非産後女性、男性の抑うつ症状発現に対するビタミンDの影響を評価するため、米国・南イリノイ大学のVictoria Rose Barri Benters Hollinshead氏らは、血清ビタミンD濃度と抑うつ症状との関連を調査した。Nutrients誌2024年6月14日号の報告。  研究対象集団は、2007〜18年のNHANES公開データより抽出された20〜44歳の妊婦、産後女性、非産後女性(非妊婦/産後の女性)、男性。抑うつ症状、血清ビタミンD濃度、栄養摂取量、人工統計学的データなどの主観的な聴取データおよび客観的な臨床検査データを用いた。主成分分析を用いて2つの食事パターンを作成し、各サブグループのうつ病アウトカムを予測するため、ベイジアン多項モデルを用いた。

アルツハイマー型認知症のアジテーションに対する新たな選択肢〜マウスモデル評価

 ブレクスピプラゾールは、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害(アジテーション)に対し米国食品医薬品局(FDA)で初めて承認された治療薬である。アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの発生頻度は高く、患者および介護者にとって大きな負担となる。ブレクスピプラゾールの有効性、安全性、忍容性は、臨床試験により実証されている。大塚製薬のNaoki Amada氏らは、動物実験におけるブレクスピプラゾールのアジテーション緩和作用の結果を報告した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年6月25日号の報告。

難聴者の聞きたい意図を汲み取る技術搭載の補聴器/デマント・ジャパン

 世界的な医療機器メーカーのデマントグループのオーティコン補聴器は、新製品の補聴器の発売に合わせ、都内でメディアセミナーを開催した。  今回発売された新製品「オーティコン インテント」は、聞き取りの意図を補聴器ユーザーから汲み取る技術を世界で初めて補聴器に搭載した補聴器。特徴として脳の自然な働きに必要な360度の音の全体像を脳に届け、さらにユーザー個々人の意図に基づき、最も聞きたいと思われる音を優先的に脳に届ける補聴器機能を備えている。  当日は、わが国の難聴診療の現状とその対策、同社から新製品の概要などが説明された。

高齢の心臓手術患者、脳波ガイド下麻酔は術後せん妄を抑制せず/JAMA

 心臓手術を受ける高齢患者において、脳電図(EEG)ガイド下で脳波の抑制(suppression)を最小限にして行う麻酔投与は、通常ケアと比較して術後せん妄の発生を抑制しなかった。カナダ・モントリオール大学のAlain Deschamps氏らCanadian Perioperative Anesthesia Clinical Trials Groupが「Electroencephalographic Guidance of Anesthesia to Alleviate Geriatric Syndromes(ENGAGES)試験」の結果を報告した。術中の脳波の抑制は、全身麻酔の投与量が過剰であることを示唆するとともに、術後せん妄と関連することが先行研究で示されていた。JAMA誌2024年7月9日号掲載の報告。