精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

カフェインと頭痛の重症度との関係

 重度の頭痛や片頭痛は、日常生活に大きな影響を及ぼす非常に一般的な神経疾患である。毎日のカフェイン摂取と重度の頭痛や片頭痛との関係に関する議論は、いまだ続いている。中国・南昌大学のZhiqiang Liao氏らは、食事介入のためにも、カフェイン摂取と重度の頭痛または片頭痛との関連を調査した。Frontiers in Neurology誌2025年5月14日号の報告。  対象は、1999〜2004年に行われた米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータより抽出した20〜49歳の参加者5,234人。食事性カフェイン摂取量と重度の頭痛または片頭痛との関連を調査するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。潜在的な用量反応関係の調査には、制限付き3次スプライン(RCS)回帰モデルを用いた。smoothed two-pieceロジスティック回帰モデルにより、食事性カフェイン摂取量と重度の頭痛または片頭痛の閾値関連の特定を試みた。サブグループ解析により、重度の頭痛や片頭痛に対する食事性カフェイン摂取の影響にサブグループ間で違いがあるかを調査した。カフェインの摂取量に応じて、Q1(最も少ない)〜Q4(最も多い)の四分位に分類した。

不眠症へのベンゾジアゼピン中止のための介入策の効果は?/BMJ

 ベンゾジアゼピン系および類似の催眠鎮静薬(BSH)を中止するための介入について、有効性に関するエビデンスの確実性は低く、患者教育、薬剤の見直し、薬剤師主導の教育的介入がBSHを中止する患者の割合を増加させる可能性はあるが、現状ではエビデンスの確実性が低いため、さらなる質の高い研究が求められるという。カナダ・McMaster UniversityのDena Zeraatkar氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。多くの患者が、転倒、認知機能障害、依存などのリスクがあるにもかかわらず、不眠症の治療にBSHを使用している。しかし、BSHの代替療法に関する知識は限られており、その有害性が明確ではなく、中止を支援する最適な戦略に関するエビデンスは不十分であることが報告されていた。BMJ誌2025年6月17日号掲載の報告。

自閉スペクトラム症に対する非定型抗精神病薬の有効性〜ネットワークメタ解析

 自閉スペクトラム症(ASD)患者は、社会的な交流や行動に関連する多様な症状を呈する。非定型抗精神病薬は、小児および成人ASD患者の易刺激性、攻撃性、強迫観念、反復行動などの苦痛を伴う症状の治療に広く用いられてきた。しかし、その効果と相対的な有効性は依然として明らかではなかった。チリ・Universidad de ValparaisoのNicolas Meza氏らは、ASDに対する非定型抗精神病薬の有効性を明らかにするため、ネットワークメタ解析を実施した。The Cochrane Database of Systematic Reviews誌2025年5月21日号の報告。  小児および成人ASD患者を対象とした短期フォローアップ調査において、易刺激性に対する非定型抗精神病薬の相対的ベネフィットを評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。さらに、短期、中期、長期フォローアップにおける、小児および成人ASD患者のさまざまな症状(攻撃性、強迫行動、不適切な発言など)と副作用(錐体外路症状、体重増加、代謝性副作用など)に対する非定型抗精神病薬のベネフィット/リスクについて、プラセボ群または他の非定型精神病薬との比較を行い、評価した。CENTRAL、MEDLINEおよびその他10のデータベース、2つのトライアルレジストリーを検索し、リファレンスの確認、引用文献の検索、研究著者への連絡を行い、対象研究を選定した(最終検索:2024年1月3日)。ASDと診断された小児および成人を対象に、非定型抗精神病薬とプラセボまたは他の非定型抗精神病薬と比較したランダム化比較試験(RCT)を対象に含めた。重要なアウトカムは、易刺激性、攻撃性、体重増加、錐体外路症状、強迫行動、不適切な発言とした。バイアスリスクの評価には、Cochrane RoB 2ツールを用いた。易刺激性の複合推定値には頻度主義ネットワークメタ解析、その他のアウトカムにはランダム効果モデルを用いて、対比較統計解析を実施した。エビデンスの確実性の評価には、GRADEを用いた。

片頭痛に有効な運動介入は?

 トルコ・Ege UniversityのYunus Emre Meydanal氏らは、さまざまな種類の運動およびその組み合わせが、片頭痛発作および併存疾患に及ぼす影響を検討するため、パイロット研究を実施した。これまで、有酸素運動とレジスタンス運動との組み合わせは、片頭痛患者においてより顕著な症状改善が得られる可能性が示唆されていた。Headache誌オンライン版2025年5月20日号の報告。  本研究は、Ege University Hospitalにおいて、2022年9月〜2024年3月にかけて片頭痛患者24例を対象に、並行群間ランダム化比較試験のパイロット研究として実施した。対象患者は、有酸素運動群、複合運動群(有酸素運動とレジスタンス運動の組み合わせ)、対照群にランダム化した。ベースライン期間に1ヵ月間の頭痛日誌による調査を行った後、両介入群とも同じ有酸素運動を週3日、12週間行った。複合運動群には、有酸素運動に加え、首、背中上部、肩の筋肉をターゲットとした5種類のレジスタンス運動を行った。測定は、ベースライン時、3ヵ月の介入期間後、2ヵ月のフォローアップ期間後に実施した。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数とした。副次的アウトカムには、不安および抑うつレベル、有酸素能力、身体活動レベル、片頭痛関連の生活の質(QOL)とした。

社会との関わりが高齢者の寿命を延ばす?

 長生きしたいのなら、社会と関わりを持ち続けることが大切なようだ。新たな研究で、他者との交流、スポーツや趣味のグループへの参加、慈善活動などを通して社会的関わりを持っている高齢者では、孤独な高齢者に比べて死亡リスクの低いことが明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のAshraf Abugroun氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Geriatrics Society」に5月21日掲載された。  Abugroun氏は、「社会的関わりを持つことは単なるライフスタイルの選択ではなく、健康的な老化と長寿に密接に関連している」と同誌の発行元であるWiley社のニュースリリースの中で述べている。

女性の低体重/低栄養症候群(FUS)は社会で治療する疾患/肥満学会

 日本肥満学会は、日本内分泌学会との合同特別企画として、6月6日(金)に「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome:FUS)-背景、現況、その対応-」のシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、なぜ肥満学会が「女性の痩せ」にフォーカスするのか、その背景やFUSの概念、対応などが講演された。  「なぜ、肥満学会が『痩せ』を問題とするのか」をテーマに同学会理事長の横手 幸太郎氏(千葉大学 学長)が講演を行った。

統合失調症に対する簡易心理的介入の有効性~メタ解析

 統合失調症患者に対する認知行動療法(CBT)は、国際的な臨床ガイドラインで推奨されているにもかかわらず実施率が低い。そのため、CBTで推奨される最低16セッションより短い、簡易な短期の個別心理的介入の開発が進められてきた。英国・Hampshire and Isle of Wight Healthcare NHS Foundation TrustのBlue Pike氏らは、統合失調症患者に対する既存の簡易介入(brief intervention)をシステマティックに特定し、その有効性を評価する初めてのメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2025年5月13日号の報告。

男女の認知症発症リスクに対する性ホルモンの影響

 認知症は、世界的な公衆衛生上の大きな問題であり、そのリスクは性別により異なることが知られている。女性のアルツハイマー病およびその他の認知症発症率は、男性の約2倍であるといわれている。テストステロン値は、高齢者の認知機能に影響を及ぼすと考えられているが、これまでの研究では一貫性のない結果が報告されており、性ホルモンと認知症との関係は、依然として明らかになっていない。中国・山東大学のYanqing Zhao氏らは、大規模データベースを用いて、男女の認知症発症リスクに対する性ホルモンの影響を検討した。Clinical Endocrinology誌オンライン版2025年5月11日号の報告。

精神疾患を併存している肥満者は減量治療抵抗性/日本糖尿病学会

 日本糖尿病学会の第68回年次学術集会(会長:金藤 秀明氏[川崎医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科学 教授])が、5月29~31日の日程で、ホテルグランヴィア岡山をメイン会場に開催された。  今回の学術集会は「臨床と研究の架け橋 ~translational research~」をテーマに、41のシンポジウム、173の口演、ポスターセッション、特別企画シンポジウム「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」などが開催された。  肥満や肥満症の患者では、うつ病、不眠などの精神疾患を併存しているケースが多い。こうした併存症は診療の際にアドヒアランスなどに影響するなど、臨床現場では治療の上で課題となっている。また、精神疾患が体重の増加などにも影響することが指摘されている。

統合失調症の認知機能低下に影響を及ぼす向精神薬

 認知機能低下は、統合失調症でみられる中心的な病態の1つであるが、確立された薬理学的治療法は、いまだ存在しない。統合失調症治療では、主に抗精神病薬が用いられるが、統合失調症患者の認知機能に及ぼす影響については、実臨床における日常的な研究は行われていなかった。米国・The Stanley Research Program at Sheppard PrattのFaith Dickerson氏らは、統合失調症患者を対象としたリアルワールドコホート研究における、向精神薬と認知機能との関連を評価した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2025年5月8日号の報告。